宗興の本棚

第10週『学習意欲の心理学』

第10週
2017/10/7
『学習意欲の心理学』
桜井茂男著 誠信書房

「まず潜在能力を認めるところから」
内発的動機を生み出す学術書。筑波大桜井教授が自身の実験結果を交えながら、内発的動機付けを分かりやすく解説しています。

内発的動機の3つの要素である、1有能感、2自己決定感、3他者受容感。これをベースに大きく二つの観点で感想と決意をまとめます。

一つ目は、内発的学習意欲の発現プロセスである。本書より私達が育てたい知的好奇心、達成意欲、挑戦心などは、内発的学習意欲が源となっていることが分かりました。源:有能感・自己決定感(←他者受容感)→現れ:知的好奇心、達成意欲、挑戦心→感情:楽しさ・満足→源:有能感・自己決定感・・・・と好循環プロセスが内発的学習意欲の発現プロセスです。知的好奇心などを涵養したいと思えば、内発的動機付けがやはり必要なのです。重要性をあらためて認識することができました。

二つ目は、内発的動機付けの具体的な方策です。内発的動機は、有能感と自己決定感が源であり、特に有能感が源中の源となるようです。有能感は平たくいえば「自分はやればできる」と感じること。K君が「やっても無駄」と思っているのは有能感の無さの典型です。

私がしたいことは、まず能力(潜在能力)を認めてあげることをしたい。その為にも観察が必要です。Sさんについては、本心から伸びる能力があると思っています。だから力強く励ますことができます。中1全員に対し、この2ヶ月間のタイミングで、潜在能力をほめられるように観察します。

また、自己決定感も大事です。親や先生に言われて仕方なくやった勉強で上手くいかない場合「やっぱりやらなきゃよかった」となります。よって自分で決めることはこれからも促していきます。

ただ、他者決定ではじめた勉強も好結果が出れば、次はこうしてみようと自己決定感につながる可能性があります。私達がけん引する場面とバランスが重要です。10:0ではありません。

最後は、他者受容感です。教師から受容されていると感じなければ、思い切った勉強はできません。つまり「安心して勉強できる場」が自発性には必要であり、愛情や応答的環境づくり(反応がある環境)が求められます。「僕は君たちがあきらめても、絶対にあきらめません。可能性を信じているから」とこの1ヶ月の間で伝える場をもちたいと思います。

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