宗興の本棚

第24週『辻井伸行 奇跡の音色』

第24週
2018/1/14
『辻井伸行 奇跡の音色』
神原一光著 アスコム

一流のピアニスト辻井伸行さんの歩みを知りたくて手に取った本。

YouTubeで彼の演奏を初めて聴いた時感涙しました。正直盲目でよくぞここまでという個の尋常ならざる努力に対して感動し、人の可能性に震えが出ました。そして、何回かみるうちに、辻井さんの素晴らしい音色自体に感動するようになりました。

辻井さんは、14歳の時ショパンコンクールの批評家賞を、そして20歳の時ヴァンクライバーン国際コンクールで優勝します。盲目というハンデをおった彼が一流になった傍には、やはり優れた指導者がいました。それが恩師・川上昌裕さんです。川上さんは自らピアニストとして東京音大を主席で卒業し、世界的ピアニストを目指し、ウィーン市立音楽院に進学。その後挫折を経験しながら、指導者として東京に帰った際、辻井さんと出会います。目の見えない辻井さんに対し、譜読みテープの作成をはじめ魂の指導で6歳から18歳高校卒業までの12年間共に歩みます。

私は辻井さんというより、川上先生に感情移入しながら読んでいました。ピアニストといいながらアルバイトで生計を立てている自分。東京に帰るか夢を追い続けるかの時に、このままでは趣味の域を出ない。もっと人の役に立つものにしなくてはと東京に帰る決意の所は、苦悶が私自身と重なりました。

ちなみに辻井さんの才能はポジティブ思考(明るさ)。何が起きても停滞も後退もなく前進と捉えられるのだそうです。
(596字)

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