第37週
2018/4/14
『生き抜く力の育て方』
蝦名玲子著 大修館書店
「生き抜く力」とライフスキルは近い部分があり、ライフスキル教育の学術的エビデンスが欲しいと考え手に取りました。
何個も気になるワードが出てきましたが、2つ程書きます。
一つ目は、「レジリエント」について。イギリスの児童心理学者アンマステン教授が、対象者1973名を幼少期から若い成人期までの20年間追跡し、レジリエントな大人になるために不可欠な資源について調べました。結果として、経済状況などの環境要因だけではなく、①「高い計画性や将来へのモチベーション」②「自律性」③「対処スキル」④「大人からのサポート」の4つが関係すると提示しています。①と②について私が考える
「自らビジョンを創る」事が①②の要素を育むと考えています。
二つ目は、「健康生成論」です。レジリエンスより更に焦点をしぼった形で生き抜く力について説明したのが「健康生成論」であり、1970年代にアメリカの健康社会学者アントノフスキー博士が、開発しました。イスラエルに住む女性が更年期に対応しているかを分析した時に、強制収容所を経験したグループの7割に健康問題が見られましたが、3割は問題ないことが分かりました。その3割に着目し、その方々がもつ「元気になる力」を「首尾一貫感覚=Sense of Coherence」と名付けました。そして本書ではSOCは、①わかる感(把握可能感)②できる感(処理可能感)③やるぞ感(有意味感)の3つで構成されていると言っています。
また、健康生成志向になるには、肯定的な言葉を使うことと言っています。人は言葉を使って思考しているため、使う言葉で物事の捉え方や考え方が規定されるからです。これは「サピア=ウォーフの仮説」というもので、言語、認知、思考は密接に絡み合い、用いる言葉が感情や幸福感に影響するそうです。ライフスキル教育でプラスの言葉を使う教育を入れるイメージがわきます。また、その際にエビデンスになります。
(800字)