第44週
2018/6/5
『部下が育つ組織をつくる技術』
喜島忠典著 労務行政社
人材育成が優れた組織を体系的に理解したいと考えて手にとった本です。全体フレームワークが図示されることはなく、体系的に理解することは難しかったのですが、活用したいと思える項目が3つ程ありました。
一つ目は、ビジョン浸透についてです。ビジョンがメンバーに浸透する5段階は①知る②理解する③行動する④腹に落とす⑤伝道師になります。本書で①から②に行くには、大きな壁があることが分かりました。よく従業員満足度調査で「組織の方向性が分からない」という結果が出てきます。その結果に対し、「いつも話していることだ」、「なぜ組織の方向性が分からないのかが分からない」というのが経営層の本音だと思います。ただ、従業員のリテラシーの問題もあり、1回説明しただけではよくてレベル1の「知っている」にとどまります。経営層の傲慢な思い込み、「伝える側」の論理を捨てなければ、伝わることはないのです。①から②に行くにはやはりコミュニケーションの量が重要と学びました。社員に対しても、咲心舎塾生に対しても身につまされる話です。
二つ目は、余分な目標を排除し、フォーカスすべき目標だけに絞ることです。あれもこれもでは能力は伸びづらくなる。咲心舎は都立を目指しており、5教科満遍なくにどうしてもなりがちですが、思い切って英数に絞るなど、勇気をもって絞ることが成長のポイントと思いました。
三つ目は、東京海上日動の例です。日本で一番「人が」育つ会社の取り組みをしており、業績に関する話に偏りがちだったところを、期初面談の対話の順番を変えたところ、「今まで業績の話ばりだったので、むしろキャリアビジョンなどを話すなったのが、本当にありがたかった」という声が若手から上がってきているそうです。これはLIFULL様の研修などの実例に使えます。
(742字)