宗興の本棚

第45週『NPOで働く』

第45週
2018/6/10
『NPOで働く』
工藤啓著 東洋経済新報社

NPOで働くことをより具体的に知りたいと考え、アマゾンで高評価だった本書を手に取りました。著者は認定NPO法人育て上げネット代表の工藤啓さんで、NPO設立から2011年までの軌跡を描きつつ、社員や支援者のこと、組織マネジメントについても詳しく書いており、NPOで働く実情がよく分かりました。

まず、動けば必ず未来が拓ける事を再確認しました。工藤さんは大志をもってひきこもりの若者を社会復帰させるNPOを立ち上げたものの、仕事先の開拓ができておらず、まず最初は「地域の窓ふきをさせてもらう事業」を始めました。無料で商店街を1件1件回るのですが、ボランティアの押し売りのようになり、10日ももたず事業は廃業したそうです。次に工藤さんは突破口が見えない中、町のゴミ拾いをすることにします。1日4時間雨の日も風の日も若者とゴミを拾い続ける活動をされていました。そのうち、「お前らは毎日こころへんで何をしているんだ?」とあるおじさんに問い詰められますが、その方がテナントビルやビジネスホテルのオーナーであり、この出会いから若者の活動先を提供してもらえたとのことでした。稚拙でも良い、動けば何かが変わると、本当につくづく思います。私自身も動いたから今があります。動くことの大切さを心に刻みました。

次に、ニーズの裏付けの重要性に気づきました。工藤さんのNPOは、ある時日本マイクロソフトと若者支援を共に行う企画を進めます。その際工藤さんは『まずは日本社会における無業の若者をIT分野から支援をするニーズの裏付けをとることに奔走しなければならなかった。僕らが、“感覚的にニーズがある”だけではだめで、しっかりと社会的にニーズがあることを提示しなければならない。』と考えました。私達のライフスキル教育は、未来志向型・セーフティーネット型と大別すれば、前者にあたります。そして正直ニーズが見にくいです。この辺り、ETIC起業塾のESを書く際にも苦しかったところです。ライフスキル教育はニーズがあるのか=本当に社会課題なのかを調査し、ニーズがあることを示さなければ、大きなインパクトは与えらないどころか、食うに困る、自己満足的なものとなります。徐々に進めていきます。
(921字)

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