宗興の本棚

第52週『IOTビジネス 入門&実践講座』

第52週
2018/7/28
『IOTビジネス 入門&実践講座』
萩原裕・白井和康著 ソシム

今後経済の中心になる可能性が高いIOTビジネス。ラネット様をはじめ本格的にIOTに取り組み始めたお客様もいる中で、しっかりとした知識を身に着けたく手に取りました。

まずIOTとは何か。『インターネットとリアルの世界とが、あまねく設置されたセンサーを介して接続された世界』です。構成要素は、6つで、ヒト・モノ・環境、インプットデバイス、データ、コネクション、サーバ、アナリティクスです。IOTはセンサーがないと始まらないので、特にセンサーを搭載するインプットデバイス(ウェアラブル端末等)は重要と感じました。一方でセンサーを通してデータを収集しても価値創造が出来なければ意味をなさないので、アナリティクスも重要となります。

次にIOTの領域は全部で6つあり、ヒト、住宅、車両、都市、商業、産業です。印象的だったのは住宅領域のコネクテッドホームの概念でした。冷暖房などのエネルギーの統制や、ガス漏れ・侵入防止などのセキュリティ、高齢者の介護などのヘルスケア、テレビ・ビデオ等の娯楽に分類されとても便利になりそうです。領域として出ていませんが、教育もIOT活用が進むはずです。単純にiPadで学習するのもデータを集め指導に役立てるのでIOTと呼べると思います。

本書はIOTビジネスの要素を体系的に整理し、しかも各要素がMECEと思われるため、とても読みやすく納得度の高いものでした。ベースの知識は入りましたので、後はお客様とも話せるようニュースと結びつけながら使えるものにしていきます。
(638字)

宗興の本棚

第51週『武器としての決断思考』

第51週
2018/7/22
『武器としての決断思考』
瀧本哲史 星海社

決断とは大きな選択です。これまでもこれからも私は決断をし続けるので、その参考になればと思い手に取りました。

本書は学生時代ディベート部に属した著書がディベートの手法を使って決断する方法論を書いています。ディベートの大会ではその場で、賛成と反対の立場が決められるそうです。ということは両方の立場の準備をしておかないといけない。ディベートのように異なる立場の意見を取り入れて考える、つまり複眼的に物事を検討することで最善解を導き出せると著者は言っています。

まず相手の意見を聴く事、常にメリットデメリットを考えることの重要性を再認識しました。

次にエキスパートよりプロフェッショナルという話。エキスパートの条件は下記二つです。
①専門的な知識・経験に加えて、横断的な知識・経験を持っている
②それらをもとに、相手のニーズに合ったものを提供できる
「今の時代、英文会計ができる人材はいくらでもいる。その中でヘッドハンターの対象となるのは、本社がお金を出せないときに、海外支社のBSをもとに銀行にかけあい、お金の借り入れができる人」というヘッドハンターの話や、福島原発の汚染水漏れの問題で、原発の専門家では中々解決策が浮かばない中、最後は水ガラスにより漏れを防げた。その方法はトンネル工事などを行っている建築業界では当たり前だったという話は、全体を見て判断できるプロフェッショナルの重要性を感じます。

他にも、「結婚はいつしたらよいか」ではなく、「結婚は30歳までにするべきか」と議論には問いをイエスノーにすることが大切である。何かを論じるにはエビデンスが大切である。エビデンスは、専門家の意見やマスメディアの報道、統計データ、海外事例、インタビュー内容など。自分の経験は検証ができないので、根拠にならないなど、実用的なキーワードを沢山得ました。
(761字)

宗興の本棚

第50週『ソシオ・マネジメントVol.2 社会事業家100人インタビュー』

第50週
2018/7/14
『ソシオ・マネジメントVol.2 社会事業家100人インタビュー』
IIHOE発行

ETICの課題で社会起業家100名のインタビューの中から、1名ピックアップし、調査をしました。先輩起業家事例を研究するのは、事業推進する上で重要な取り組みです。

■対象企業
今回対象としたのはケアプロ株式会社(川添高志社長)です。
「革新的なヘルスケアサービスをプロデュースし、健康的な社会づくりに貢献する」をミッションに二つに事業を展開しています。
1.セルフ健康チェック事業
ミッション:生活習慣病予防と医療費の適正化に貢献する
ビジョン:手軽な予防医療サービスの提供を行い、ケアプロ健康サイクルを確立・実現させる
(1)商業内施設にワンコイン健診所(中野)をオープン
(2)全国の健診弱者のニーズに応えるため、イベント型のビジネスモデルへと進化
(3)治験会社への登録により、治験会社から健診費用をもらうモデルを作る
(4)鉄道会社と提携し、エキナカを中心に事業開発(登戸駅)
2.訪問看護事業
ミッション:2020年、看取り難民30万人を救う
(1)ケアプロ訪問看護ステーション東京開業
(2)新卒・新人訪問看護師応援サイト「CAN-GO.com」オープン

■本当に価値を提供したい顧客
過去1年以上健康診断を受けていない「健診弱者」(推計全国3300万人)。多くは自営業者やフリーター、主婦、外国人など。

■顧客が抱えるニーズや課題
健診に行きたいが、長い待ち時間、高い費用、受診機会が少なく、健診にいかない。
―自営業者:健診に行きたいが、待ち時間が長く、忙しくて行く暇がない
―主婦:健診に行きたいが、待ち時間が長く、忙しくて行く暇がない。
―フリーター:健診に行きたいが、保険証をもっておらず、費用が高くていかない。

■ニーズや課題の構造
健診が長い、高い、機会が少ない→健診を受けない→生活習慣病り患数増(国民の1割)
→医療費増(全医療費の3割)

■自社の役割と他団体との役割分担
(セルフ健康チェック事業)
自社の役割:コンテンツ作り(イベントのパッケージ化等)、人員調達(看護師登録)、法整備の促進、業務提携、資金調達
他団体の役割:営業(代理店)、集客・場所提供(鉄道会社等)、サービス機会提供(自治体・NPO)

■促された顧客や社会の変化
2014年自己採血検査が法的に認められる。
2018年累計受診者数46万人。

学びは下記3点です。
1.サービス提供対象者とニーズの明確化
(事実)健康診断を受けていない人が自営業、主婦、フリーターが主であるという事を突き止めたこと。その対象者のニーズが待ち時間が長い、費用が高い、機会が少ないという事を突き止めたこと。
(感想)あらためて対象者とニーズの明確化が社会課題の解決のカギを握ると感じた。特に、全対象者(健診弱者3300万人)の中で、サービス提供対象者(自営業・主婦・フリーター)を絞ることが最重要と考えた。社会課題なので話が大きくなりがちだが、通常のマーケティングの考えをする必要がある。
(行動)まずサービス提供対象者を明確にする。具体的には東京都内の公立中学の校長先生に対してインタビューをしていく現実的にはMAX5名ぐらい。全対象(600人)の中で、サービス提供対象者の校長(学校)が絞られてくると考える。そして、その方々のニーズを把握する。8月夏休みを使って何人かにインタビューをするところから(8月31日迄)。

2.新しい社会課題用語の創出
(事実)「健診弱者」という言葉の創出。
(感想)「健診弱者」という新しく分かりやすい言葉を生み出すことにより、社会課題の認知が広がりやすくした。NPOスーリールが生み出した「両立不安」も同じである。
(行動)サービス提供対象者の校長のニーズを把握した上で、自社サービスの内容と鑑み、新しい社会課題の用語を創出する(2019年3月迄)。「ライフスキル教育」「ビジョンセッション」等現時点で使用している言葉もこの時点で見直していく。

3.積極的な役割分担
(事実)営業(代理店)、集客・場所提供(鉄道会社等)、サービス機会提供(自治体・NPO)など他団体と提携している
(感想)自分達ができることのみに絞ることでスピードや実現性が増すとあらためて感じる。自前主義や完璧主義を捨てることを肝に銘じたい。
(行動)提携自体はすぐに動くことはないが、学校にサービス提供しているNPOなど調べ始めてみる(7月31日迄)。

宗興の本棚

第49週『プロ教師力アップ術 55』

第49週
2018/7/7
『プロ教師力アップ術 55』
諸葛正弥著 明治図書

自分の授業の点検をし、スキルアップしようと手に取った本です。著者は早稲アカで13年間指導をし、夏期合宿の生徒評価アンケートで一位をとった方です。大きく二つのことを現場で取り入れていきます。

一つは、発見と達成感の授業づくりです。冒頭「学習する空間づくり」という言葉が目に留まりました。身だしなみや、声、表情、板書など幾つかのポイントがありますが、「この先生の授業を受けるとできるようになる」「この先生の授業は受けないともったいない」と思わせる授業が最重要ポイントとなります。そしてそのような授業には「発見する喜び」と「できるようになった達成感」があると筆者は言っています。生徒が休むのは「受けなければもったいない」授業になっていないのです。「あ、分かった」「こうすれば上手くいく」と塾生が思えるような仕掛けを授業に組み入れていきます。

二つ目、叱るコミュニケーションについて、共感→自覚→提案のフレームワークが役立つと思いました。叱責、指摘、注意ではない所がポイントです。共感は、まず塾生から聴いて状況を把握し冤罪を防ぎます。次に自覚は適切な問いにより自身で気づくことを促します。ある居酒屋の店長が研修時にアルバイトが半分しか水を入れなかったところ、「お前この水出されて嬉しいか?」と問い、アルバイトがはっと気づいたエピソードが書いてありました。問いかけにより自分事として自覚を促す。取り入れていきます。
(600字)