宗興の本棚

第61週『年収1億円になる人の習慣』

第61週
2018/9/30
『年収1億円になる人の習慣』
山下誠司著 ダイヤモンド社

ビジョン実現へスピードを上げるべく新習慣(5TODO)を考えていた中、年収1億円への習慣という具体的な数字に惹かれ、新習慣設定の参考になればと考え手に取りました。

著者は、日本最大級の美容室チェーンのNo.2で現在42歳。専門学校を出て31歳で年収1億に到達しています。読了して思うのは「仕事をする上で本質的な習慣」が多く、強く刺激を受けました。新5TODOの設定に影響を受けた項目を3つほど挙げます。

まず「『年収1億円を越えたければ、仕事を大好きになる事が大前提』」という事。別の書籍にも「メガ成功者は仕事が大好き」と書いてありましたが、その通りだと思います。著者は15年間1日も仕事を休まず、休まなかったから仕事が楽しくなったと言っています。能力や資質のある人が仕事をすればするほど価値は増大し、収益が伸びるのは当然です。私自身昨年少し止まり仕事量を減らしました。しかしここからビジョン実現へスピードを上げるべく、念願の朝型シフト共にもう一度仕事量を増やそうと決意しました。

次に、「お金と時間は目的、目標の実現のために集約する」事です。携帯やiPadなど気晴らしという名の無駄な時間を使わず、深酒も禁止しました。ビジョン実現(仕事・家族)に時間とお金を集約する、その方が逆に潤いが出るはずです。

最後に「年収2000万円の壁を破るには分かちあうこと」という一節。自分のためだけでなく、周りの人にいる人達にも喜んで欲しい。年収云々というより、この感覚には深く共感できます。私の家族、仲間だけでなく、周りの人と一緒に幸せになりたい。もっと分かち合いを増やしていこうと思えました。
(687字)

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第60週『今いるメンバーで『大金星』を挙げるチームの法則』

第60週
2018/9/23
『今いるメンバーで『大金星』を挙げるチームの法則』
仲山進也著 講談社

チームとして組織の力と成果を最大化したい。これが私の思いです。先日イーブックの今井さんが本書を持参され、話を聞いた後すぐに取り寄せました。本書は『GIANT KILLING』という、サッカー監督が主人公の漫画を題材に、大番狂わせを起こすチーム作りの考え方と方策を伝えています。

本書は最高のチームになるためのステップを提示しています。これはタックマンモデルに近く、フォーミング(形成期)→ストーミング(混乱期)→ノーミング(規範期)→トランスフォーミング(変態期)です。

ポイントはストーミング。特徴は、『「私はこう思う!」-各メンバーの本音の意見が場に出る。対立・衝突が起こり、感情的にモヤモヤ・イライラする』『生産性が低下し、コントロールしにくい状況が生まれる』『キャラクターが表出し、相互理解が進む』等。私自身「フォーミング体質」で、すぐにコントロールして改善しようとします。そうすると単なる「グループ」にとどまり、「チーム」にはなりません。

咲心舎は以前よりもチーム化は進んでいますが、まだジャイキリチームまではいかずストーミング途中でしょうか。『「各々の垣根を越えて、自分の役割以上の仕事をする・・・それが俺の憧れる・・・クラブの形だからね」」と主人公の監督が言っています。組織としての活動が「自分ごと化」していき、全員が自分の役割を超える行動が出ると、咲心舎はジャイキリできるチームとしてステージに上がると考えています。「各メンバーが『自分の価値基準』を場に出すのがストーミングの本質」とあるように、ぶつかることではなく、塾生のために、私達同士が本音の意見を伝え合うことが大切です。
(700字)

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第59週『サーバントリーダーシップ入門』

第59週
2018/9/15
『サーバントリーダーシップ入門』
池田守男 金井壽宏著

JBSの和田さんから「サーバントリーダーシップ(SL)でオススメの本がないか」と聞かれ、SLはスルーしており自省の念と共に手にとりました。SLはAT&Tマネジメント研究センター長を務めたロバート・K・グリーンリーフが提唱した考えた方です。訳すと「奉仕・献身のリーダーシップ」ですが、これは小間使いや召使いではなく、ミッションのもとに社員に尽くすという考え方です。

本書では資生堂の池田社長の改革をSLの事例として紹介しています。池田社長は2001年「店頭基点」を掲げ、組織を逆ピラミッドにし、現場のビューティーコンサルタント(BC)を支える形をとりました。25,000全店舗にPOSを入れ、販売額で奨励する仕組みや、生産計画の精緻化、商品づくりに生かす。また100のブランドを30に絞りBCの負担を減らす。ミドルに改革について対話する場や、BCからも意見を聴く場を設けました。『理念・信条・方針にはトップダウンが、日常の実践レベルではメンバーを支えるサーバントの精神が必要なのではないか』と池田さんは仰っています。咲心舎でも「塾生基点」のみを掲げ、英克と浩子を支える考え方がしっくりきます。

また、グリーンリーフセンター所長のスピーアズがSLの10属性を示していますが、③癒し⑧執事役⑩コミュニティづくり、中でも信念と自信の強さからくる「人を癒す深い安心感」は私が身につけたいものです。精進していきます。
(600字)

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第58週『未来の年表』

第58週
2018/9/8
『未来の年表』
河合雅司著 講談社現代新書

企業研修で参加者に未来予測をしてもらいますが、私自身も未来を勉強しておく必要があり手に取った本です。

本書は人口減少にフォーカスをあて、人口減少から引きこされる様々な現象と最後に解決策を提示しています。未来予測といっても、少子化がすぐに改善しない状況をふまえると、ある種確実に起こる未来として捉えても良いかと思います(だから予測ではなく「年表」としていると推察できます)

①2017年女性の高齢者比率(65歳以上)は30.1%。既に女性の3人に1人は高齢者でおばあちゃん大国になっている点は驚きです。

②2018年、2009年以降横ばいで留まっていた18歳人口が減少し始めます。国立社会保障・人口問題研究所(以下社人研)の「日本の将来推計人口」によると、18歳人口は2017年120万人、2024年106万人、2032年98万人と推移する予測になっています。2016年で既に44.5%が私学で定員割れ状態ですが、地方の国立大学でも、大都市圏への流入により、存続危機の大学が増えるでしょう。

③2019年IT技術者が不足し始めます。経産省の調査によると、現在供給が92万人。2019年から退職者が就職者を上回り供給が減っていきます。2015年で既に17万人が不足する一方、需要は増えるので2030年では79万人(市場の伸びが最大の場合)不足が生じると見込まれます。

④2024年ダブルケアの問題。人口問題を語るときは人数が多い団塊世代がキーとなると感じます。2024年には段階世代が全て75歳以上となります。このとき65歳以上は3677万人。3人に1人が高齢者となる超・高齢者大国の出現です。そして、晩婚化で平均出産年齢は30.7歳(2016年)。第二子以降50代で子育て中もありえる中で、介護も必要となるのです。

⑤2033年空家問題。総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年)によると、総住宅数6063万戸のうち空家が820万戸に上り、13.5%を占めています。野村総研の試算によると、2033年総住宅数は7126万戸、空家数は2167万戸、空家率は30.4%。3戸に1戸が空き家となる予測です。ちなみに「自治体の空き家対策に関する調査研究報告書(平成26年3月発行)」によると空き家のもたらす問題として「雑草・悪臭など衛生環境悪化」「景観の悪化」「不法侵入などによる治安の悪化」「生命・身体への被害のおそれ」が挙げられています。

⑥2035年未婚大国。厚労省の「人口動態統月報年計」よると婚姻件数は2016年62万500組み、1万400組も減少し戦後最少を更新しました(ちなみに、うちできちゃった婚は25.3%)。生涯未婚率は2015年厚生労働白書によれば、男性は24.2%。女性は14.9%。これが2035年男性29.0%、女性は19.2%に上がる予想です(1970年男性1.7%、女性3.3%)。男性年収300万円未満で未婚率が多く、女性は600万以上で未婚率が多いそうです。社人研の「第15回出生動向基本調査」(2015年)内の独身調査(25~34歳)では、交際相手のいない未婚者男性69.8%、女性59.1%となっています。内閣府「結婚・家族形成に関する意識調査報告書」(2012年)によると、恋愛が面倒:男性47.3%、女性45.0%、恋愛に興味がない:男性25.3%、女性30.7%になっています。交際に関しては消極的というのが伺えます。単なる出会いの場だけ創出しても難しそうです。

⑦2040年自治体の半数が消滅の危機に。社人研の「日本の地域別将来推計人口」(2013年)によると、2040年減少率は秋田県の35.6%など地方が厳しい人口減にされされますが、なんとアクセスの不便な大都市圏の自治体も減少する予測です。青梅や福生は25%、足立区21.3%、葛飾区19.2%、杉並区も15.5%予測しています。

最後になりますが、筆者は10の少子化対策案を挙げていますが、下記は現実的で実効性もある案だと思います。
・高齢者を75歳以上として、75歳までは生産労働人口とする。
・非居住エリアの明確化
・都道府県の飛び地合併
・社会保障費循環制度。死亡時に公費で賄われた分は返還する。
・第三子以降に1000万円給付
(1752字)

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第57週『社会契約論』

第57週
2018/9/1
『社会契約論』
ジャン=ジャック・ルソー著 桑原武夫・前川貞次郎訳 岩波文庫

自由、平等、人民主権。人の人生が生まれで決まらない世の中に。フランス革命の骨格となった大元の思想はどういうものか知りたくて手に取った本書。かなり難解な文章で、何度か読み返しても意味が取れない部分が多かったです。

本書は『人間は自由なものとして生まれた、しかもいたるところで鎖につながれている。』からはじまります。「ドレイ」という言葉が何度も出てきますが、ルソーはドレイ状態を繰り返し批判しています。そして、自然状態において生存することを妨げる諸々の障害に対して、抵抗する手段は社会契約だとしています。

ルソーが考える、本来の自然状態は、人間には憐れみ(憐憫)の情が備わっており、互いをいたわる状態としています。ただ、私有財産が発生したことで不平等を生み、争いも生まれてきます。自然状態のままでは人間社会そのものが立ちゆかなくなったとき、自然状態に代わる社会をどのように構想すればよいか、その答えが、社会契約です。

社会契約は、人々の一般意志=共通の利益を求める意志に全て従うことになります。自分の意志であり、全体の意志であるからドレイ状態とはなりません。『各構成員の身体と財産を共同の力の全てをあげて守り保護するような統合の一形式を見出すこと。すべての人と結びつけながら自分自身にしか服従せず、以前と同じように自由であること。』を理想の状態とし、それは一般意志に従うことで実現すると述べています。意志というのは自由で、平等で、永遠なのだとあらためて感じます。

ところで、ライフネット生命の会長である出口治明さんは古典の重要性を説きます。『古典は人類の長い歴史の中で選ばれて今日まで残ってきたものであって、いわば市場の洗礼を十二分に受けている。一冊の古典はビジネス書10冊、いや100冊に勝るかも知れない』と言っています。また、出口さんは木田元先生(哲学者)の言説を用い、『きちんと書かれたテキスト(即ち古典)を一字一句丁寧に読み込んで、著者の思考のプロセスを追体験することによってしか人間の思考力は高まらない』と言っています。

次は教育者として読むべきルソーの『エミール』です。また太宗の『貞観政要』とアダムスミスの『国富論』は挑戦したいと思います。
(918字)