第62週
2018/10/6
『言霊はこうして実現する』
大野靖志著 文芸社
横綱稀勢の里が進退がかかる今場所前に読んでいたと新聞記事に載っており、興味があり手にとった本です。
本書は「言霊学(げんれいがく)」と、言霊学と結びつきの強い伯家神道(はっけしんとう)を紹介している書籍と考えています。このような言い回しになった理由が、私自身内容をはっきりと理解ができていないからです。「言霊」という神秘の世界を量子力学に沿い科学的に説明しています。言霊発生のメカニズムは、母音(イエアオウヲワヱヰ)が柱となりS極が陽子(+)である。父韻(TKMHRNYS)はN極電子(―)の働きをしている。父韻と母音が合成すれば、電流が発生し磁界ができる。これが続くと電磁波となりエネルギーが放射されるというのが私の理解です。ただ、オカルト的で若干の忌避感も感じたまま読んでいたこともあり、完全に納得まではいきませんでした。
その中でも一番参考になったのが、「言霊で現実を創造する方法」という章です。ポジティブシンキングやアファーメーションが上手くいかない理由が、「脳が問題の背景にある事の深層を理解していないため」という箇所が腑に落ちました。何かの願望の裏には「不満」「不平」などがたまっていて、それを隠すと脳が事の真相を理解できず上手く機能しないとのこと。そこで言霊を活かす構文の5ステップを本書では提示しています。しっかりと不満を出した上で、肯定的にとらえるやり方であり、「まじめに仕事をしているのに叱られるなんて腹が立つ」→「そこで振り回されても損」という結論まで5段階のステップを通ります。言葉には力があると元々思っていますので、完全には理解しなくとも本書はその思いを後押ししてくれました。
(699字)