宗興の本棚

第69週『オフィスのごみを拾わないといけない理由をあなたは部下にちゃんと説明できるか?』

第69週
2018/11/24
『オフィスのごみを拾わないといけない理由をあなたは部下にちゃんと説明できるか?』
島田慎二著 アスコム

経営理念×PDCAで会社経営をする。これは私の会社経営の基軸となる考え方です。千葉ジェッツを集客数日本一にした島田さんはこの考え方で経営をされています。前著より更に具体的にその経営手法を知るために手に取りました。

本書を読んで一番強く感じたことは、経営理念をより一層大切にし、メンバーの理解、伝達、体現度を着実に高めたいということです。経営理念は私達の存在意義です。メンバー一人一人がどんな業務に携わっていても、私達の存在意義である「自分の道を自分で拓ける人を創る」ことを理解し、語れ、体現できているか。これはまさに経営の最重要ポイントですが、私の努力不足で100点がつけられません。現在毎週のBミーツで理念を含め経営計画書の語り合いをしていますが、ミーツの改訂をします。同時に、経営理念や方針をより強く自然に自分のものにできるよう施策を充実させます。経営理念が真に腹落ちし自分のものになるにはある程度時間も要するので、腰を据えて取り組んでいきます。

次に、計画のステージ分けが印象に残りました。計画は3~5年の中期で考え、幾つかのステージに分けることが大事であると島田さんは言っています。例えば、年間集客数を1万人増やすとした時に、1年目は集客ターゲットの見極めに全力を注ぎ会場を埋める。2年目は会場のエンタメ性向上に注力し、満足度を高める。3年目はファンクラブの活動内容を充実させてリピーターを増やすといった具合に。これは選択と集中であり、絶対にできることを見極め徹底的にやりきるのが重要ということです。NPOの3ヶ年計画は立っており、あとは咲心舎事業の3ヶ年計画を英克、浩子と一緒に作っていきます。
(700字)

宗興の本棚

第68週『逆転のメソッド』

第68週
2018/11/17
『逆転のメソッド』
原晋著 祥伝社

青学、原監督のもう少し突っ込んだメソッドが知りたく手に取った本。結論としては、大半はサラリーマン時代などこれまでの経緯に割かれ、前著に重なっていました。新しい情報が乏しく失敗かなと思いきや、それでも心に残る部分があり二つ列記します。

今回一番参考になったのは、原メソッドの中核である目標管理シートの具体例です。本書には三代目山の神となった神野大地選手のシートが載っていました。たった1枚の紙に、目標が大きく書いてあり、あとは具体案が8つ箇条書きで書いてあるだけ。もっと複雑なものかと思いきや、本当にシンプルなものでした。原監督は練習日誌と合宿プロジェクトシート、試合結果報告書、一分間スピーチなど「自分で考え表現すること」を重視しています。咲心舎でも試験後の振り返りシートや、もっかんシートなど同様の取り組みを行っていますが、「シンプルに一枚にまとめる」事は大切だなと感じます。子供の処理力を鑑み、この辺り英克と浩子とも話して、シンプルな目標設定の仕方を探求していきます。

二つ目は、ステージ論です。
ステージ1「私とあなた」規則正しい生活を理解し、実践できるようになる段階。
ステージ2「1対多」ひとまとまりになり、監督が引っ張る段階。学年長制度を導入。
ステージ3「ホールディング制」オブラートに包みこむ指導する段階。
ステージ4「成熟期」指導者である監督が後ろにまわり部員たちの包み込むように指導する段階。

青学が初優勝できた理由は一言では難しいのは、11年の年月の格闘の歴史があるからです。そして「ステージ1のレベルでいくら自主性を尊重しても結果でないし、うまくいかない」と原監督は言っています。このステージ論は咲心舎の発展に二つの観点で取り入れていきたいです。一つは、学年毎の発展モデルづくり。中3の1学期には自分で目標が立ち、自学が完全にできる状態(ステージ4)を目指すなど。もう一つは、咲心舎自体の発展モデルづくり。中経に似ていると思います。丁度咲心舎の理念の再構築をする予定なので、ビジョンと共に皆で議論して考えていきます。
(864字)

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第67週『魔法をかける アオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』

第67週
2018/11/10
『魔法をかける アオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』
原晋著 講談社

箱根駅伝の優勝だけでも凄い事ですが、四連覇は偉業です。ただ元サラリーマン(営業マン)で指導者という所が自分と重なり、原監督の手腕への競争心で今まで著書を読んできませんでした。今年青学は全日本を勝ち二度目の三冠に届く所まで来ています。結果に脱帽しついに手に取りました。

なぜ、青学が箱根駅伝で優勝できたのか。それは「理念を元にした運営」を徹底したからと私は思います。その理念は「人間形成第一」です。
「人間形成が第一。どれだけ足が速くても性根が腐ってはダメ。」と原監督は言っています。当時の青学陸上部は、たばこ、パチンコ、麻雀など遊びにいそしむ学生が多くとても陸上に打ち込む体質ではなかったそうです。パチンコを禁止したらパチンコ台を持ち込んでいる学生もいるぐらいでした。まず寮の心得の三か条を明示しつつ、規則正しい生活から始めたそうです。

「一、感動を人からもらうのではなく、感動を与えることのできる人間になろう」
「一、今日のことはきょうでやろう。明日はまた明日やるべきことがある」
「一、人間の能力に大きな差はない。あるとすれば、それは熱意の差だ」

重要な採用(スカウティング)も人間第一を徹底しています。結果が求められる中で切羽詰まり記録で採ったところ、3ヶ月で退部という失敗経験も糧になっているそうです。厳しい状況の青学を優勝に導いた事は会社の立て直しと重なります。黒字化だけでなく会社の体質自体を変えていく。これは時間がかかることで、10年かかったのも納得がいきます。

読了し、やはり理念を徹底追及していきたいと心をあらたにしました。社是である「まっとうに誠実に」。これを私自身が率先して追求していきます。
(700字)

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第66週『千葉ジェッツの奇跡』

第66週
2018/11/4
『千葉ジェッツの奇跡』
島田慎二著 角川書店

企業理念をもとにした経営。私が志向することを著書の島田さんがBリーグの千葉ジェッツで体現しています。島田さんが関わった2011年には1試合平均1143人だった動員数が2017年には4503人にし、動員数No.1クラブになりました。そして2017年には天皇杯も優勝しました。厳しい状態だった千葉ジェッツをBリーグ集客No.1にした島田さんの言葉は力強く、説得力があります。

島田さんは「資金」「チーム」「集客」の三段階でジェッツを導きます。まず資金です。2011年のジェッツは、夢を語るがお金がない夢想集団でした。当時の代表を含めスタッフは皆バスケが純粋に好きだが現実的に運営の力がなく資金が底をつきかけ、明るい展望もない状態でした。島田さんはスポンサーに前倒しで支払いをしてもらうなど資金集めに奔走し、計画初年度から黒字化させます。「目標のためには何が何でもお金を集め、夢を語るのはその後でいい」という現実感と行動力が素晴らしく、弊社経営方針の二つ目「理念実現のために、マネタイズと数字を重視する」と共振する考え方です。咲心舎も各人が夢だけでなく現実に対応する力がついてきており、現在の路線を進めていきます。

次に、チームです。これは集まった資金で良い選手を獲得すると共に、チーム理念を作ったことが大きいと思います。ジェッツは「アグレッシブなディフェンスから走る」など、バスケスタイルやビジョン(行動指針的なもの)を作り、他のチームと差別化しています。咲心舎に重ねると、次のステップとして塾自体の理念を皆で再構築したいと思います。かねてから必要と考えていたので、本書で後押ししてもらいました。
(694字)