教育心理の部屋

第45回「ジグソー学習 6章 どのように教えるか」

第45回
2018/12/1
「ジグソー学習 6章 どのように教えるか」

【まとめ】
グループ学習の一形態で、ジグソー学習がある。アメリカの社会心理学者エリオット=アロンソンが提唱した。

自分たちの住んでいる町について調べるという社会科の授業について、児童をいくつかの班に分ける(原グループ)。次に各班から1人づつ集まり、新たなグループをつくる(カウンターグループ)。カウンターグループの一つは、町の交通についての意見を、別のカウンターグループは経済などを調べ話し合う。その後原グループに戻ると、1人一人が各分野の専門家として情報源となり、班内の仲間同士で教えあうことになる。

ジグソー学習は、児童・生徒の人間関係を改善させるために考案されたが、人間関係の改善だけでなく、学習内容の理解や動機付けにも有効であることが明らかにされてきた。原グループにおいて全員が専門家であるため、全成員の自尊感情が高まり、学習成績の向上にも有効であると認められている。

【所感】
『ジグソー法が生まれた背景には、米国における人種統合政策がある。これによって相互理解が深まるどころか学校や地域で対立が生じ、黒人等の子供は学校で萎縮する結果となった。アロンソンは教室が競争的な環境であることがその原因だと考え、教室を協同的な環境に変えるために、相互依存構造を組み込んだジグソー学習を考案した。協同を推奨するのではなく、授業(学習課題)に構造的に埋め込んだところに特徴がある。』(ed-ict用語集よりhttp://www.ed-ict.net/)とあります。

咲心舎でも、授業一コマ使えば、これは可能かもしれません。例えば、地理の授業で、アメリカの地形、農業、工業に分け、それぞれ参考書をもとにカウンターグループで調べ意見交換をしたのち、原グループでそれぞれが意見交換をするイメージです。ただ、単に意見交換をしても、原グループの関係は良くならないかもしれません。また他のパートの知識習得もそこまで進まない可能性があります。協同作業がキーと感じるため、原グループで例えば「アメリカ調べ」の一つの紙を皆で完成させることが必要と考えます。
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宗興の本棚

第70週『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』

第70週
2018/12/1
『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』
雨宮寛二著 NTT出版

現在IT系のお客様にイノベーションをテーマにトレーニングを提供しています。メーカーのイノベーション事例を扱う書籍は多い一方で、IT系を扱うものが少ないこともあり、本書が当該IT企業様の参加者に有益な情報になると考え手にとった本です。

大きく二つの点の印象に残った点について述べます。

まず一つは、3社はイノベーション創出の出発点が優秀な人材の確保としており、採用を経営の最優先課題と位置付けていることです。グーグルは「スマート・クリエイティブ」と称する人材の獲得に注力しており、高度な知識、優れたビジネス感覚、ユーザーへの理解、高いコミュニケーション力等を要したスマート・クリエイティブが自由にものを考えられる環境づくりを設定しています、よって、極力フラット(意思決定者と直接やりとりできる)と機能別組織(横断的に人材や情報を使える)を二大方針にしているそうです。現実的にはこのような超有能人材の採用はどの企業も困難ですが、特別採用枠で破格の報酬での採用が考えられます。また、「個」が重要なことからも、既存社員からそのような「個」が出たときに、引き上げる仕組み(投資・提案制度など)が必要と思われます。

もう一つは、グーグルはオープンイノベーションであり、アップルがクローズイノベーションという対比です。ソースコードまでもオープンにするグーグルは、メーカーや通信キャリア、ソフトウェア開発者など強固なエコシステムを構築しました。結果『アンドロイドは7割近いモバイルOSの市場シェアを獲得』しているそうです。日本ではiPhoneが浸透している印象があり驚きました。実際に調べたところ、日本ではアンドロイド30.4%、iOS68.6%でしたが、世界ではアンドロイド71.9%、iOS19.6%となっていました(株式会社XERAのサイト)。オープンソースがクローズドソースを駆逐する。アップルは自社で質の高いものを提供でき、はじめは市場を席捲しましたが、徐々にグーグルが巻き返したそうです。NPOライフスにおいても、自社だけでなく他社とコラボレーションすることが大切であり、そのためにも資料やメソッドをどんどんオープンにしていきます。自分達からオープンにしシェアしていく事が重要であると再認識しました。
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