宗興の本棚

第72週『坂の上の坂』

第72週
2018/12/15
『坂の上の坂』
藤原和博著 ポプラ文庫

近日藤原さんとお会いする予定で、丁度良い機会なので以前から読みたいと思っていた本書を手に取りました。藤原さんの本は全部で5冊目。一人の作家として私が最も多く読んでいる方であり、それは思想背景が通底するからです。成長社会から成熟社会へ。藤原さんと私の思想背景はこの社会構造の変化にあります。

この変化に対応して、幸福になるにはどうすれば良いか。ポイントとなる所論を幾つか列記します。

『これをやっていればいい、というみんなが追いかける一般解や目標には、あまり意味がなくなってくる。自分が何を追いかけたいのかが問われてくるのです。そうなれば、一人一人は間違いなく「考える」ことを求められるようになります。すなわち自分で考えること、「哲学」が必要になってくる、ということです。』

『人が幸せになるためには、自分自身で「何が幸福なのか」を定義しなければならない。』

『みんな一緒に「上手く生きる」という高度経済成長的なライフスタイルから、それぞれ一人一人が豊かさを楽しむライフスタイルへの移行です。』

『自分なりの「幸福論」を自分自身で編集しつづけている人は、すでに幸せになっている。』

これらが共通提起しているのは「考える」ことではないでしょうか。「ライフスキル教育」の本質も自分の今を、未来を自分の頭で考えることであり一緒です。

ただ、これだけ藤原さんが言い続けていても、成熟社会という言葉自体を知っている人、行動する人は少ない印象です。言葉を知っている人は管理職研修でも3割ぐらい。それは成熟社会を実感する機会がないからだと思います。私の使命は少しでも「成熟社会」のリアルを感じ、考え行動するリーダーを増やす事。より伝わりやすくなるよう、冬休みにもう一度思想の整理をしていきます。
(732字)

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