宗興の本棚

第77週『ファンベース』

第77週
2019/1/19
『ファンベース』
佐藤尚之著 ちくま新書

咲心舎では大量の宣伝をするより、在籍&卒業した塾生と保護者様を大切にしながら、口コミで集客をしていくのが理想的なマーケティングモデルであると考えていました。本書はその考えにぴったりと適合する手法だと感じ手に取りました。

読後感としては、「ファンベース」は心底私達に性が合う手法だと感じます。ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンの支持を土台にしながら、中長期的に売上や価値を上げていく考え方です。人口減少下の日本の中で、新規顧客の獲得難易度は益々高まっています。新規顧客を増やし、長く安定して商品が売れ続けるために、一過性の宣伝・販促活動より、ファンベースの施策が効果を生むと著者は論じています。

ファンベース施策の最初の段階でのキーワードは、「共感・愛着・信頼」です。

・「共感」を強くする
Aファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
Bファンであることに自信をもってもらう
Cファンを喜ばせる。新規顧客より優先する
・「愛着」を強くする
D商品にストーリーやドラマを纏わせる
Eファンとの接点を大切にし、改善する
Fファンが参加できる場を増やし、活気づける
・「信頼」を強くする
Gそれは誠実なやり方か、自分に問いかける
H本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
I社員の信頼を大切にし「最強のファン」にする

この中で4つまず取り組みたいことを列挙します。

A.ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
『ファンが一番喜ぶのは「支持している価値」のぶれない改善である』と著書は言っています。咲心舎では毎年の保護者アンケートで、咲心舎の良さを記入頂いています。その中には「熱心なところ」等共通して書いて頂いている価値があります。ここに、こだわりをもち磨いていくこと、そして「熱心なところ」を含め保護者様・塾生(ファン)から傾聴した言葉をもとに自社サイトの改善に取り組みたいです。
「ファンミーティングの開催」も著者は薦めていますが、これは我が意を得たりであり、以前に考えていました。咲心舎は保護者様や塾生と一緒に創る塾と考え、ファンミーティング的なものの開催も夢想していました。どこかで実現したいと思います。

Bファンであることに自信をもってもらう
著書曰く、ファンは案外自信がないとのこと。自信をもってもらうには、オーガニックなファンの言葉をもっと他のファンに届けることが有効と仰っています。顧客の「自分の言葉」が周りの類友や友人に届くことを「オーガニックリーチ」と呼びます。いわゆる「口コミ」であり、家、車、大型家電など、購入する機会が中々ない&高額なものほど、類友からの言葉が効くとあります。オーガニックな他の保護者様や塾生の名前の声や出来事を通信やブログなどでより一層伝えていくことは意識的に取り組んでいけることと感じます。

D商品にストーリーやドラマを纏わせる
H本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
実はこの二つは類似のものであり、要は私たちのこだわりや仕事の内容を更に発信することと捉えています。ライフスキル教育の開発ストーリーや、合格秘話を発信することも大切ですが、カリキュラム作成、授業準備、もっかんシートのチェックなど、私達は日常で丹精こめていることも多くあります。これらを発信することは、ブログ等ですぐにできると思います。

ファンベースは、『自分たちが生み出し、愛してくれている商品。その価値を支持してくれ、愛用してくれているファンの笑顔を作ることほど、うれしく、誇らしく、やり甲斐のある仕事は他にないだろうか。』という言葉に凝縮されていると思います。

これまで、保護者様や、企業研修など私はこの喜びを感じながら、事業をしてきました。任せて頂いた保護者様の子供、共感して頂いた経営者様の社員と接し、伸ばしていくことは本当にやりがいがあり、無上の喜びです。まずは良質なコンテンツありきで、塾生・保護者様の満足を追求することとは変わりませんが、マーケティングにおいてもこのファンベースで顧客を大切に顧客と共にじっくりと進めていきたいです。
(1649字)