教育心理の部屋

第57回「頭が良いとはどういうことか 9章 知的発達のメカニズム」  

第57回
2019/6/16
「頭が良いとはどういうことか 9章 知的発達のメカニズム」  

【まとめ】
私達が「頭がよい」というのは、何を指しているのか。知能について考えてみる。

知能指数の歴史。
知能テストは、フランスの心理学者アフルレッド・ビネーが作成したと言われている。
標準的な3歳児に出来る問題、4歳児に出来る問題という具合に整理をしてものさしを作った。これが「精神年齢」と呼ばれるものである。精神年齢と実年齢のとの比をとり、この比を100倍したものが知能指数である。100が平均的。ちなみに現在は、同一年齢集団の平均と比較する偏差知能指数が使われている。

はたして「頭のよさ」は1種類なのだろうか。様々な人達が全体的な知的能力を表そうとしてきた。
ルイス・レオン・サーストン(Thurstone 1938):言語、数、空間、記憶、推論、語の流暢さ、知覚
ジョイ・ギルフォード(Guilford 1967):情報の内容・情報が伝えるもの・情報に加える操作の3次元で整理
ロバート・スタンバーグ(Sternberg et al., 1981):実際的な問題解決能力、言語的能力、社会的有能さ
東・柏木(Azuma&Kashiwagi 1987):積極的な社会性、受け身の社会性(自分の分を知っている)、計画性などの優等生的頭の良さ、ひらめき型、物知り型

【所感】
二つ思うことがあります。まず、一つ目、私の考える頭のよさとは何であろうかです。頭がいいというと、私は4つを考えます。先のことを考えられる(想像力)、様々な面から考えられる(多角的視野)、深く掘り下げられる(深化力)、それらを処理するスピード(処理力)です。現象面でいえば、無駄がなく、修正が早く、結論から話し論理的などでしょうか。頭脳面の印象が強いです。頭のよさの探求の歴史を見ると、スタンバーグあたりから、頭の良さが頭脳的側面から、行動的側面にも広がっているのが分かります。ただ、個人的には頭の良さはやはり頭脳的側面の方がしっくりきます。

二つ目は、「頭の良さ」の重みです。本章を読んで、色々と仕事面で照らしても、頭が良いというのは一つの側面であり、自分はそこまで重要視していないのだなと思います。頭脳的側面以上に、行動的側面、スタンバーグでいう実際的な問題解決能力、社会的有能さを重視しています。それが今のライフスキル教育にも反映されています。
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