教育心理の部屋

第58回「知能の発達① 9章 知的発達のメカニズム」

第58回
2019/6/30
「知能の発達 9章 知的発達のメカニズム」

【まとめ】
人間の知的能力はどのように発達するのか。人間の知的発達の理論としてとりわけ大きな影響を与えたピアジェの考え方を紹介する。

赤ちゃんがおっぱいを吸う行動。最初は難しいが、次第に吸えるようになる。吸うという行動はこういうものだと自分なりの構造をもっており、これを「図式」と呼ぶ。

この「図式」を環境にあわせて少しづつ変えることを「調整」と呼ぶ。

また、吸うことはおっぱいだけでなく、他にも吸う行動が組み込まれていき、これを「同化」と呼ぶ。

ピアジェの考え方によると、発達とは同化と調整による図式の変化だと考えることができる。

ピアジェは4つの発達段階を示した。
0~2歳 感覚運動期
2~7歳 前操作期
7~11歳 具体的操作期
11歳~成人 形式的操作期

【所感】
いよいよ、発達理論の大家ジャン・ピアジェ(スイス)の章に入りました。発達とは「同化と調整による図式の変化」という論は、ぐっと核心に迫る感覚です。「図式」というのは、物の捉え方、つまり認識のことと私は解釈しました。

少し話は飛びますが、私は「世界観」とは何かをずっと探求しています。世界観とは、この世界の意味付けを表すものであり、例えば、Wikipediaによると『「この世界は私にとってどんな意味があるのか」「この世界で私はどのような役割を果たしてゆくことが期待されているのか」「世界の中で人間はいかなる役割を果たせば意味があるのか」などの問いに答えようとするものである。』となっています。

ピアジェの理論でいうと、世界観とはその人がもつ世界(この世)の図式でしょうか。子供が世界に対してどのような図式を形成していくかは、同化と調整を繰り返す前提でいえばやはり環境の影響が大きいのだと思います。そして最大の影響力者は当然、親。例えば、この世界は素敵だ、喜びに満ち溢れている、と心底思う親の元であれば、同化と調整により似たような世界観をもった大人ができる可能性は高まるのでしょう。

一方で、希望の薄い世界観をもつ親など、多様な世界観があるのも実情です。公教育の役目として、どのような親の元でも、子供が健全な世界観を育める役目があるかもしれないと、あらためて思いました。
(906字)

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