教育心理の部屋

第59回「知能の発達② 9章 知的発達のメカニズム」

第59回
2019/7/15
「知能の発達② 9章 知的発達のメカニズム」

【まとめ】
ピアジェは4つの発達段階を示した。
0~2歳 感覚運動期
2~7歳 前操作期
7~11歳 具体的操作期
11歳~成人 形式的操作期

2歳から7歳までを、ピアジェは前操作期と呼び、「自己中心性」という概念で特徴づけている。

ピアジェの3つ山問題。
高さと色の違う3つの山を重なって並べ、東西南北の位置に眼鼻のない人形を置く。それぞれの位置で人形から山の見え方はどうなるか、という問題を子供に行ったところ、子供の見方がいくつかの段階に区別できることが分かった。
最初は、自分が見ている風景と似た絵を選ぶ。次に、部分的に山と山との重なりぐあいなどを考慮する。次第に複数の関係を同時に考慮し、適切な絵が選べるようになる。初期の子供の特性を「自己中心性」とピアジェは呼んだ。

7歳から11歳を具体的操作期と呼び、他者の視点を獲得できるとした。前操作期には、底面積の広いビーカーに入ったジュースを細長い容器に移し替え、どちらの量が多いかと問うと、背が高い後者の方を選ぶ子供が多い。これが具体的操作期になると、形が異なっても量が保存されると子供は答えるようになる。

12歳以降を形式的操作期といい、抽象的な思考が可能になる。見た目の具体的なものだけでなく、例えば「密度」のような抽象的概念も扱えるようになる。

私達大人があたりまえと考えていることも、長い発達の過程を通して獲得されることをピアジェは示した。ピアジェは、発達段階を区別し、例えば前操作期の子供に訓練を行うことの効果には否定的だった。しかし、その後の研究は訓練や教育がある程度効果をもつことを示している。

【所感】
ピアジェの「認知発達理論」はなるほど、と頷けるものですが、これを教育にどう生かすのかという点は本書に詳説されていません。ネットで探してみたのですが、教育法として良質な情報は得られませんでした。『ピアジェの理論は科学的な裏付けがあるのですが、(実際に何をさせるか、という)教育システムとして実用的でないという部分がネックでした。』と書いてあるサイトもあり、実用が難しいようです。ただ、以前出てきたレディネスという考え方は、ここでもやはり重要と感じます。無理に早期教育をし発達を促進するより、自然と子供の発達を待つという感覚が健全な子供の成長には有益なのではないでしょうか。
(959字)

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