週の風景

021 初めての趣味

今回は珍しく完全プライベートのネタです。ごくたまーに載せたいなと思います。

私、これまで趣味らしい趣味がなく、趣味は何か?と聞かれると「仕事と読書(これは私の中ではセット)」と答えていました。しかし、2年半前から娘と息子と共にある趣味を始めました。それは将棋です。将棋は小中の頃に従兄や友達と遊びで指してはいましたが、弱すぎて負けてばかり。いつか強くなりたいなと子供ながらに思っており、アキレス腱を切ったのを機に始める事にしました。

これまで週1回の将棋教室とほぼ毎日ゆるりと詰将棋などを行ってきましたが、昨年12月千駄ヶ谷の将棋連盟道場に行き出してから、ものすごくハマることになりました。現在連盟道場で6級です。中級ぐらいでしょうか。ちなみに息子も6級で、常に先を行かれて先月ようやく追いつきました。

そして息子と二人、先週二泊三日で湯河原まで将棋合宿に行ってまいりました。付き添いの親子合わせて総勢80名ぐらいの規模でしょうか。朝から晩まで将棋漬け。プロ棋士の方が何人もいらして、リーグ戦の合間に数回指導対局もして頂きました。

食事の時間などプロの先生方(基本20代)と沢山お話ができ、プロへの過程が異世界過ぎて大変面白かったです。一つ言えるのは当たり前ですが、皆さん将棋が好き過ぎる。幼少期からかけていた時間が莫大です。努力は夢中に勝てません。あとイケメンのプロ棋士が何人もいることも驚きました笑。

仕事が好きで、仕事に没頭してきた人生はとても良かったです。ただ、ハンドルのあそび部分というか、趣味を持つのもいいものですね。目指すは初段!

※写真は基本NGなので、指導対局時にとった盤面のみです。ちなみに中飛車という戦型です。

宗興の本棚

第106週『いきの構造』

第106週
2019/8/20
『いきの構造』
九鬼周造著 角川ソフィア文庫

日本の文化・歴史の見識を深める書籍の五冊目。本書は『現代の「おしゃれ」「クール」のルーツといえる江戸好みの美意識「いき」』を多面的に分析し、日本人固有の感覚を分かりやすく顕出させた良書と感じます。

筆者が述べる「いき」の三要素について、恋愛におきかえて考えていきます。第一の要素の媚態は、『「異性との不安定な、緊張した関係」をもちこむことである』とあります。異性との関係が「いき」の根本要素となっており、「いきごと」は「いろごと」を意味するそうです。男女が出会い、関係が濃くなる途上で成就するかどうかの不安定な状態。そこから生まれる「ドキドキ」感を求める態度が媚態と解釈できます。そしてこの媚態は、つかず、離れずを維持するという厄介で繊細なものでもあります。

第二の要素の意気は、意気地のことで、『下等な私娼や相手かまわず身を安売りする芸妓を卑しむ凜とした意気』とあり、武士道的な誇り高い姿勢を表しているそうです。不安定な状態ながら、決して自分からは告白しない感覚でしょうか。

第三の要素の諦めは、『運命に対する「諦め」と、その「諦め」に基づく淡々とした境地とが含まれていることは否定できない事実である。』とあります。別れたとしても、鬱々とせず割り切って次に進む感覚でしょうか。無常観を感じます。

著者の凄さは、分析・表現力にあります。例えば、「いき」と関連諸概念の体系として、渋味・野暮・上品・下品など8つの言葉を頂点とした六面体を描き、さび・きざ・雅などの言葉と比較し「いき」がどの面に位置するかを明示しています。また「いき」な身体的表現(言葉、姿勢、衣装など)や、「いき」な芸術的表現(模様、色、建築、音楽など)を明示していますが嘆息ものです。

最近は「いきだね」「いきな人」という言葉は耳にしません。それでも私達の中に「いき」という日本人固有且つ深遠な感覚が存在しているというのは、何か嬉しいものです。
(800字)