週の風景

025 創意工夫がありがたい

先週火曜日は、前半最後の清瀬VSでした。

今回のテーマは社会を知る。夏休みに調べた仕事を発表する会です。

今回も一つの組に張り付きみることにしたのですが、「一人生徒がいない」と結局VSが始まらない事態に・・・。トイレに行っていたそうなのですが、現場は色々と起りますね<苦笑>。ただ、セッション自体は先生に回し切っていただき、無事終了しました。

その後、一緒に見ていた荒川校長から

「先生達、話し合って足並みそろえているわね」と言われ、

ハッと気づいたことがあります。

全クラス、調べたことだけでなく「2月に行った職場体験の内容を発表してもよい」と書いてありました。つまり、調べてこない生徒もいることを想定し、先生方が事前に話をしてどううまくいかせるかを考えられていたのです。

プログラムの弱い部分を、まさに先生方の創意工夫に援けて頂いた形です。本当にありがたいです。

先生方からあがってきた提案やリクエストを形にしていった今年の4月から潮目が変わった気がします。

来週水曜日にはいよいよ、先生方へ後半のテキストを渡し解説をする説明会があります。先生方からの提案やリクエストを更に細かく組み込み形にしました。先生方主体というこの「流れ」をより加速し、今期のゴールである「先生方に安心して授業をしてもらう」を目指していきます。

教育心理の部屋

第63回「母子のきずな 10章 人格発達の基礎」

第63回
2019/9/22
「母子のきずな 10章 人格発達の基礎」

【まとめ】
幼児期の経験が人格発達に重大な影響をもつことを示すものとして、米ハリー・フレデリック・ハーロウ教授のアカゲザルの赤ちゃんの研究(Harlow, 1971)がある。

アカゲザルの赤ちゃんを母親から分離。
A-1 針金製の母親の模型にしこまれた哺乳瓶からミルクを飲む
A-2 針金製の母親で非授乳
B-1 布製の母親の模型にしこまれた哺乳瓶からミルクを飲む
B-2 布製の母親で非授乳

結果として、B-1、B-2と接触する時間がA-1、A-2より多くなることが分かる。(15時間以上対1時間以内)。ここから、子ザルが母親に愛着を示すのは、母親が空腹を満たしてくれるからではない。母親との暖かい接触を求める欲求がることが分かる。

また、見知らぬ巨大なおもちゃに接触して恐怖を感じるときも子ザルは布製の母親にしがみつく。ここから暖かい接触を与えてくれた「母親」が自分を守ってくれる安全基地となること。安全基地があってはじめて積極的に自分から外に向かっていけるようになることが示唆されている。

更に、ハーロウの研究で生後母親から隔離された子ザルとそうではないサルの成長を比較した。結果、身体的には成熟しているが性行動で差異が出た。隔離されてきたオスはうまくメスを支えられず、受精できない。メスはオスの接触に怯えるとのこと。またメスは自分で生んだ赤ちゃんをすぐに放り出して逃げる行動がみられた。

最後に英ルネ・スピッツ教授(Spitz, 1946)の研究。両親と分かれて施設で育てられる乳幼児について、たとえ施設の衛生面や栄養面で十分な注意が払われていても、通常の子供達と比較して病気への抵抗力や発達の遅れ、無感動・無関心など抑うつ的傾向がみられた。

これは保育者との「母性的な」接触が少ないこと(母性はく奪)によると考えられる。
(ちなみに、スピッツ教授の研究は「愛着理論」の形成に大きな影響を与えた)

母性は必ずしも母親である必要がない。乳幼児期における応答的な「保育者」との暖かい感触が「基本的信頼感」を獲得するなど、人格発達に影響をもつ。

【所感】
非常に示唆に富む章でした。娘と息子が0歳~2歳のときよく「だっこ」と抱っこをせがむんできたことを思い出しました。特に娘はだっこから置くと泣き出す子だったので、だっこちゃん、甘えっこちゃんだなあと思っていました。この章を読むと、それはまだまだ「不安」でいっぱいだったからと推察できます。当時はあまりだっこをし過ぎると、「だっこグセがつく」なんていう話も聞いていたのですが、今しかないからと相方も私も構わずだっこをし続けていました。この章を読んで健全な発達のためには、あらためてそれで良かったのだと思います。

もう一つ「母性」提供する人は、母親や女性である必要がないということは新たな発見でした。母性は父親でも提供できるし、血のつながらない人でもできる。大切なのは「応答的な保育者との暖かい感触」と書いてありました。私の頭ではどこかしら母性は「母親が一番」と思っている節はありました。一番かどうかというより、「応答的・暖かな感触」が重要なのです。母親だから母性を、父親だから父性をというより、父親でも何でも母性提供を大切にしていきたいと感じました。
(1335字)

宗興の本棚

第111週『結果がでる仕事の「仕組み化」』

第111週
2019/9/22
『結果がでる仕事の「仕組み化」』
庄司啓太郎著 日経BP社

クライアント企業様に提供している「仕組み化」のノウハウをもう少し補強したいと考え手に取った本です。3点参考箇所がありました。

まず、働き方改革の「働きやすさ」と「生産性向上」の二つの側面について。企業の実態として、残業の削減、柔軟な勤務形態など働きやすさの環境整備は進んでいる一方、生産性向上は後回しになっているとのこと。確かに働く時間を減らしても、業務全体を見直さなければ成果が減少するだけです。参加者に業務全体の見直しを一層推奨できる材料になりました。ただ図式としては「働きやすさ」×「業務の見直し」=「生産性向上」の方がしっくりきます。企業にとっての働き方改革の目的は、生産性の向上と私は考えているからです。

二つ目は、仕組み化の端緒となる3分類の仕分けが参考になりました。A感覚型(経験や知識から高度に判断)、B選択型(一定のパターンから選択)、C単純型(誰がやっても同じ)です。マネジメント職向けに業務の見直しをするワークの中で、観点として提示できると思いました。更にやめる、減らすの二軸だった見直し方法を、変えるという観点があることもインプットできました。報告書の印刷をデータ配布にするなどが変えるにあたります。

最後に、本書の仕組み化はITを活用した「マニュアル化」を指しますが、JR東日本フードビジネス社(「ベックスコーヒーショップ」を85店舗展開)などの事例は参考になりました。印刷した分厚いマニュアルは参照、更新、周知に手間がかかり、季節毎のフェアメニューや新商品展開時には、全国からの店長を集めていました。そこでクラウド型のマニュアルに一元化しつつ、店舗に1台タブレットを配布し参照できるようにしました。結果、年間1000時間以上の出張時間削減、更に正しい調理や盛り付け方法が的確に伝わるようなり「お客様からの声」の件数も、以前より80%削減されたそうです。事例として紹介できます。
(799字)