教育心理の部屋

第67回「行動療法①系統的脱感作法 10章 カウンセリングとは」

第67回
2019/11/10
「行動療法①系統的脱感作法 10章 カウンセリングとは」

【まとめ】
3つの心理療法
1.クライアント中心療法
2.行動療法
3.認知療法

今回は行動療法について。心理学が対象にすべきものは意識ではなく、客観的に観察・測定できる行動を対象にすべきであるという考え方。ジョン・ワトソン(Watson, 1913)が提起。(ワトソンは行動主義心理学の創始者 wikipediaより)
スキナーやパブロフの学修理論はこの考えによるもの。

系統的脱感作法。ジョセフ・ウォルピ(Wolpe, 1958)が提唱。(感作とは繰り返される刺激によって反応が徐々に増大していくプロセス)

脱感作法は不安と相容れない反応を引き起こし、不安反応を全面的ないし部分的に抑制する方法。弛緩(リラクゼーション)、呼吸(深呼吸)、摂食(何かを食べる)。

①患者の不安反応を抑止できるリラクゼーション反応を習得させる
②患者に不安反応を引き起こす刺激場面を挙げさせ、不安階層表を作成する
③不安階層表の各場面の容易なものから順番に患者をイメージさせ、引き起こされた不安をリラクゼーションによって制止。これを繰り返す。

【所感】
感情のコントールは大人でも難しいこと。子供であったら尚更です。息子は2年生からアンガーマネジメントに取り組んでいますが、その手法の一つで妻から提唱されたものに、「爆発しそうな場面でハンカチを吸う」というのがあります。このハンカチは妻の香水がつけてあり、実際に息子に聞いても「いやなことがあって爆発しそうなとき、ハンカチを吸うと落ち着く」のだそうです。これが今回勉強した「行動療法」だったとは露知らず。妻が我流で考案した落ち着き法だと思っていたのですが、勉強して考えた策でした。(先程妻にDBT(弁証法的行動療法)の本を手渡されました<笑>)。

私自身も不安にさいなまれた時、自分に意識をむけ深呼吸するようにしています。完全に不安を払拭することは生きている以上難しいと思います。しかし、少しでも楽に、生き生きと進むには俄かに起こる不安と上手くつきあっていくことが大切ではないでしょうか。自身の心身で行動療法を試していきます。
(866字)

宗興の本棚

第118週『ストライカーを科学する』

第118週
2019/11/10
『ストライカーを科学する』
松原良香著 岩波ジュニア文庫

私はサッカーが好きで1993年Jリーグ発足以降、ずっと日本代表を応援していました。日本代表は間違いなく25年前より強くなっています。ただ、当初から言われ続けているのが「決定力不足」です。本書はこの課題に切り込んだ初めてのサッカー論ということで、私の課題意識とマッチし手に取りました。

ストライカーの要素として、とても印象的だったのが「賢さ」です。ウルグアイ代表のタバレス監督は、稀代のストライカーである同国のルイス・スアレス選手について『「とても賢くて吸収力があり、色々なことを学んでいきました。」』と述べています。グスタボ・ポジェコーチも、『「フィジカル面よりも賢さが、彼を現在のレベルに押し上げたと思う。」』と言っています。著者はこの「賢さ」について、『自分に足りないものを知り、それを改善する努力ができること。』いわば『自分を客観視する力である』とまとめています。

この賢さはサッカーだけでなく、ビジネスにもひいては人の成長全般に通用することです。そして、これがかなり難しい。プロの世界でも監督やコーチの言うことを素直に受け止めきれない選手がいるそうです。ビジネスの世界におきかえれば、上司の言うことを素直に受け止め仕事の中で改善努力をすること。プラス、自身の課題を解決するために勤務時間外でも読書をはじめ個人トレーニングをすることが伸びるには大切だと確認できました。

著者は日本人ストライカーを養成するために、様々な施策を提言しています。その中で私は「ストライカーコーチ」のライセンスを創ることが、一番実効性が高いと感じます。現行で「GKコーチ」のライセンスはあるそうですが、著者曰く「ストライカー」養成も特殊な専門領域となるとのこと。日本のラグビーが長谷川慎スクラムコーチのおかげで世界に並ぶスクラムが実現できたことは記憶に新しく、是非施策を実施し、世界的なストライカーを輩出して欲しいです。
(798字)
光の加減で上手く写真がとれず娘に持ってもらいました