教育心理の部屋

第68回「行動療法②オペラント条件づけ 10章 カウンセリングとは」

第68回
2019/11/25
「行動療法②オペラント条件づけ 10章 カウンセリングとは」

【まとめ】
3つの心理療法
1.クライアント中心療法
2.行動療法
3.認知療法

行動療法の中の「オペラント条件づけ療法」について。小林重雄ら(小林, 1985)の研究を紹介。

登校できない小学1年生の児童、1学期は問題なかったが、2学期から登校をしぶるように。登校の準備の際に、泣いたり、部屋の隅に座り込むようになったりした。登校時、登校班に入ると支障なく登校でき、学校でも何の問題もなく過ごすことができる。治療者は、本児が単独で集合場所まで行けることを目的とした。

自宅から集合場所まで8段階で設定をし、まずは至近まで母親が同行し、それが達成されると少し離れた場所まで母親が同行する、と段階的に移行をはかり、最終的に自宅から単独行が達成された。

これはシェーピングの考え方だが、このためには報酬による強化が必要であり、この事例では、児童が母親と分かれて集合場所へ向かう際に、母親から1枚~3枚のシール(児童にとって価値がある賞品)が与えられ、児童の行動は強化された。児童の帰宅後、自らが用意した「がんばり表」にシールを貼った。その時に、母親は「大変よくできた。この次もがんばろう」と言葉により、強化をした。さらにシールがたまると、就寝時母親が添い寝をして、本を読んであげた。シールの獲得量が多いほど、その時間も長くするようにした。

結果、開始から約9週間後に集合場所への単独行が達成された。その後も、問題なく登校できているとのこと。

【所感】
行動療法の代表格として、スキナーの道具的条件づけが挙げられます。オペラント条件づけはこの道具的条件づけと同義です。これはいわばアメとムチ的な考えで、外発的動機づけにより行動変容を促すものです。本人の内発的動機を喚起することなく、アメでつるようなやり方は本当に子供のためになるのか?と常々疑問を感じてきました。よって、我が家では毎日の些細なことに称賛はしますが、だからといってご褒美的におもちゃなどの賞は極力あげないようにしてきました。
今回の章を読み、人が行動変容をし、前に進むには両方のアプローチが必要なのだなと感じました。たとえ外発的動機付けであっても、今回の不登校児が元気に単独行ができるようになったことで、本人や家族がどんなに嬉しかったことでしょう。皆の笑顔が見えてきます。
小2の息子が学校で落ち着いてきているのも、毎日の行動チェックシートに花丸(落ち着いて活動をできた印)を沢山もらってきたときに、妻が思いっきりキスとハグをしてきたからだなとあらためて感じます。
(1048字)

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