週の風景

042 劇的な成長

引き続き年初から研修などで忙しくしており、ありがたい限りです。正直、研修や会食など書きたい事が沢山あります。その中で一つ書くとすれば先週はやはり創業期からお任せ頂いているモバイル通信会社様のマネージャー・店長研修の最終回のことです。

9月に一旦本編は終了し、自走期間を経てこの1月にサーベイをとり先週の木曜日に研修を実施しました。そしてこの会社様は当日懇親会時に毎期MVPを表彰するのですが、今回は迷いました。というのも今回は全員受講姿勢が抜群で、現場実行度が高く、また成果としても10ヶ月で収益を上げた方が多かったからです。これは人材開発の方々が研修転移策を設計し、実践されたことによります。
※9月に書いたブログです(「過去最高の成果」)。
http://muneoki-yoshida.com/wp/wp-admin/post.php?post=820&action=edit

その中でも抜けた成果を上げた方が4名。更にしぼって突き抜けた成果を出した方は2名。実行(サーベイ結果)、成果、変化の3軸でMVPを決めるのですが、人材開発の皆様とも意見が割れ、嬉しい迷いとなりました。

そして決めたMVPの方、つい半年前はそこまで豪胆なタイプではなかったと思います。それが今は高い目標を掲げ挑戦することにある種の快感や楽しさを覚えたのか、店長会議でエリアの上司や他店長が「大丈夫か?」というぐらいに「高い目標」を掲げ、まず初月達成をしたとのこと。これまでの延長線上の成長ではなく完全に違う路線に入った印象で、これこそが私が追求する劇的成長です。純粋に嬉しいですし、ひたむきな取り組みと成果創出に本当に感謝です。

ふと考えると6年前は、まず実行レベルで大変だった社員の方が、成果で競うようになり、今は非連続の成長が決め手となる。激動の通信業界の中で、会社がどんどん進化されていくのを感じます。私ももっと進化しなくては。

今週は報告、そして制作WEEKです。

宗興の本棚

第128週『経営の教科書』

第128週
2020/1/26
『経営の教科書』
新 将命(あたらし まさみ)著 ダイヤモンド社

5年前ぐらいに、今も大変お世話になっている経営者の方が、「新さんの経営方針が良い」と話題に出していたことを人づてに聞き購入した本です。当時はその経営者の方がどんな経営をしたいのかを理解する目的で読みましたが、今回は自身の新たな経営方針を設計するため再度手に取りました。

本書の内容は不易流行の不易部分である「経営の原理原則」をまとめたものです。琴線に触れる箇所が多くあり、沢山の折れと線が出来ました。その中で三つ程、記載します。

一つ目は、合言葉を自分で何個も作っている点です。直接「合言葉を持て」と言及してはいませんが、本書には何個も合言葉が出てきます。例えば、「多・長・根」という合言葉。これは陽明学をもとに筆者がまとめたもので、大局観を身につけるために必要な考え方です。多は、多面的・複眼的なものの見方。長は、長期的な視点、根は、目的など「そもそも」の視点です。社を預かった瞬間から『「多・長・根」「多・長・根」と“念仏”を唱えながら意思決定を行ったことが、私には非常に役に立った。』と筆者は述べています。他にも、人間関係能力づくりのために心がけていた「丁褒感微名」(ていほうかんびめい)。ダメな会社の3K(カミ、カイギ、コミッティ)など、再現性のあるフレームワークのように合言葉にしている所が秀逸だなと思いました。

二つ目は、「CSの前にES」です。筆者が提唱する勝ち残る企業づくりの流れは、経営(者)品質→社員品質(満足)→商品・サービス品質→顧客・社会満足→業績→株主満足→経営(者)品質・・・となっています。経営者品質である経営力、リーダーシップ、倫理観などのあとに、社員品質(満足)が来ており、『顧客満足を実現する当事者はだれか。銀行でもなければ、評論家でも証券会社でも、コンサルタントでもない。社員である。』と著者は述べています。ホワイト企業大賞の授賞式でも強く感じたことですが、私もやはり社員のやりがいを最重要におく経営をしていきたいと思います。

三つ目は、心の強さの章で出てきた数々の言葉です。
『私の経営者としての経験では、楽しいことよりもシンドイことのほうが多かった、というのが正直な思いである。』
『苦境のたびに立ち止まり、涙を流していられるほど人生は長くない。』
『5年、10年と経つうちに痛みはやがて癒えていく。』
『すぐれた経営者とは、気分転換が上手な人でもある。』
という筆者の言葉は、心の強さを希求する自分には心に響きました。

ちなみに、筆者も42歳の時にジョソン・エンド・ジョンソンの経営者になった際、米国総本社会長の『何かをやっていい結果を出したいなら、FUNでなくてはならない』『真剣であっても深刻になるな』言葉により、苦境でも切り替えられるようになったそうです。
(1144字)

週の風景

041 月曜日に出社したくなる会社

先週の日曜日に、ホワイト企業大賞の授賞式に出席しました。
http://whitecompany.jp/#aWC

これは現在私が通塾している天外塾代表の天外さん主催の賞であり、「ホワイト企業=社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」と定義しています。私自身「新しい経営の在り方」を設計しようとしており、そのためのインプットとして参加致しました。

授賞式~大賞企業の講演~ワールドカフェ形式の対話、という流れの中、心奥に達するような大変深い気づきのある場でした。

例えば・・・

・思い切って「やりたくないこと」を一切やめるとして、「やりたいこと」だけを社員に出してもらい、社員が話し合い決め、そこから生産性ややりがいなどが飛躍的に上がった大賞企業GCストーリー様。社員が仕事の解釈をし直し、自己決定するような「考える機会」を都度提供することは大切。

・社員の9割以上が「月曜日にワクワク出社する」西精工様、同じようなやりがい企業のネッツトヨタ南国様。衝撃。共通するのは社員が「居場所がある」と感じ、仲間とのつながりが強く、また皆で会社のために貢献しようという気持ちがある。

・この場の受賞企業や参加企業は、皆経営者が社員にやりがいをもってもらうことに心を砕いている。粉骨砕身して社員と組織のために尽くすというか。それが嫌ではなく、当然ながら経営者自身がそれを楽しみ、やりがいをもち、手ごたえをもっている。

要は「本気」で社員の幸せと働きがいに向き合う。これですね。

先週は毎日研修がある週で、緊張感はありますが張りがあり充実しました。忙しいのは、ありがたいことです。
今週も研修WEEKです。

※ちゃっかり発表してます


宗興の本棚

第127週 『超効率 勉強法』

第127週
2020/1/19
『超効率 勉強法』
メンタリストDaiGo著 Gakken社

未読の書籍を含め、本棚に食指が動く本がなく、またアマゾンの検索でもピンとくるものがなかったため年始に書店へ行きました。そこで8冊ぐらいまとめ買いした中の1冊。咲心舎の塾生、自分、娘・息子に役立ちそうだと思い手に取りました。

内容は、著者が学術研究で裏付けられたテクニックを紹介するもので、冒頭で掲載された間違った勉強法7つには軽くショックを受けました。これは2013年アメリカのケント州立大学が200件を超える勉強法の検証を行い「効率が悪い」と判断したものです。特に7つの中で下記3つはこれまで私が非効率とは知らず、教育者として知っておいてよかったと強く感じたものです。

一つ目、ハイライトやアンダーラインは「重要な情報」を選別するだけで、「この内容には覚える価値がある」とまで脳は考えず、覚えたいことを脳に刻み込むにはまったく使えないそうです。考えてみれば、選別と記憶は確かに別物です。

二つ目、「自分の学習スタイルに合わせる」のも非効率だそうです。近年インディアナ大学が、数百万人のデータ検証を行い「自分が好きなスタイルで勉強をしてみてもテストの成績は全く向上しなかった」と報告していると著者は言っています。咲心舎では塾生に自分なりの勉強法を確立しようと言っていますが、『本当に効く勉強法には個人差などない』とのこと。自分なりの前に、まず効率的な勉強法をおさえることが重要と感じます。

三つ目、「忘れる前に学習する」というのも非効率だそうです。忘れる前ではなく、「忘れかけた時点」で復習するのが効率的とのこと。著者は分散学習という研究者のピョートル・ウォズニアックが過去の膨大なデータをもとに考え出したインターバル復習法を紹介しています。これは①最初の復習は1~2日後②2回目の復習は7日後③3回目の復習は16日後④4回目の復習は35日後⑤5回目の復習は62日後というように、記憶した情報の量が90%まで減ったタイミングで復習を行うよう設定されています。咲心舎の80点テスト(単元テスト)は、エビングハウスの忘却曲線を元に、忘れる前に実施する設計でしたが、忘れかけた時点に設計し直すのも良いかもしれません。

上記に加え、インターリビングの考え方も参考になりました。はさみこむ、交互に配置するという意味ですが、1回の練習の間に複数スキルを交互に練習する手法を指します。野球の投手だったら1回の練習で「カーブ→フォーク→スライダー」などの投球練習をするイメージです。2015年南フロリダ大学が行った実験で、二つのパターンの勉強法を指示しました。①1つの方程式をマスターしたら次に進む(ブロック練習)②1回の授業でさまざまな方程式の使い方を学ぶ(インターリビング)。すると、翌日のテストではインターリビングを使ったグループのほうが25%も成績が良く、さらに1ヶ月後の追試では、両グループの得点差は倍近くに開いたそうです。この結果はパワフルです。これは脳が刺激に敏感に反応するためで、一つのことより複数の方が刺激があるからと著者は言っています。企業研修でもインターリビングの考え方を伝えていこうと思いました。

最後に、著者Daigoさんの参考文献は全て海外論文でした。日本語訳もありません。完全な一次情報であり、そのこと自体、私に刺激になりました。
(1366字)

週の風景

040 年頭の感謝

明けましておめでとうございます。

咲心舎の冬期講習もあるので、私達は1/4(土)が仕事はじめでした。初週、冬期講習の熱気と笑いが溢れる塾は高橋が全て運営し、私は研修報告や制作、翌期のプランの提案など大変立て込んだ週でした。高橋が責任をもって運営していること自体ありがたいですし、そもそも仕事が忙しいのもクライアント企業様のおかげであり、本当にありがたいことです。ありがとうございます。

また、年賀状のやりとりで普段中々会わない方から「ブログ見てるよ~」と言ったお声をかなり頂きました。ブログはメールと違い誰に届いているか分からず、時折心もとない感覚になるため、こういった声を頂けるととても励みになります。ありがとうございます。

大体年初にビジョンの見直し及び、目標と行動計画を設定をしますが、今年の有言実行策を一つ。体力をつけるため週2回ランニングします!実は昨年仕事をしたくても体がついてこず、自身の想定より生産性が上がらないことがありました。ずっとバリバリやりたい私は50代以降に向けて体力をつける必要性を痛感し、一念発起して大の苦手であるランニングを始めることに。そして早速昨日から開始しましたが、たった30分で恐ろしい程にバテました。股関節やひざがいたい・・・。手足に力が入らない・・・。前途多難ですが、続けます!

今年はこれまでにないエネルギーで走りたいと思っています。
宜しくお願い致します。

宗興の本棚

第126週『動機づける力 モチベーションの理論と実践』

第126週
2020/1/12
『動機づける力 モチベーションの理論と実践』
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 ダイヤモンド社

学術研究により生み出された考察や理論は、数多の情報が氾濫しエビデンス重視の現代においては重要性を増していると感じます。本書は代表的なモチベーションの理論と実践を集めた論文集です。今回私達の研修でも言及しているハーズバーグの2要因理論について新しい気づきを2つ記載します。

一つ目は、『KITA』という言葉。論文の冒頭に出てくる言葉で、「尻を蹴飛ばせ:Kick in the pants」の文字を組み合わせています。そしてKITA的な施策はモチベーションにならないと筆者は言い、効用が乏しいのにも関わらず次々にKITAが生み出されていく流れをシニカルに描写しています。

まずKITAは①労働時間の短縮②賃上げ③フリンジベネフィット(諸手当)からはじまります。しかし、効果が出ず社員の金銭欲も怠け心も飽くことがないことがわかったとき、マネージャーが人間の扱い方を知らないことが原因とされます。そこで④人間関係トレーニングが導入され、その後自分を直視する必要性が生まれ⑤感受性のトレーニングへと移行します。更に、より他者との関係を考える⑥コミュニケーション論が導入されますが、モチベーションは喚起されず、一方的なコミュニケーションが原因とされます。この流れから⑦ツーウェイコミュニケーションの必要性が叫ばれ、モラールサーベイ、提案制度、労使双方のコミュニケーションが開始されます。しかし、これでもモチベーションは改善されず、人間は自己実現を欲するものという心理学に焦点があたり、ネジを締めている行員に「シボレーを作っている」と教えるなど⑧仕事への参画意識をもたせる取り組みがなされます。それでも意欲喚起が難しいため、社員は何か患っているという結論を出し⑨カウンセリングが導入されます。『使い古された積極的KITAが飽きられると、また新種が開発さていくわけである。』とあるように、著書曰くこれらの施策はあくまで全てKITAであると主張しています。

現代で使われている様々な施策が、50年以上前に一巡していることが驚きです。著者は『KITAの効果は短期的である』と言い切っており、アメとムチの効果が一時的であることに強い裏付けとなります。

もう一つは、『仕事の充実化』(Job enrichment)という造語です。これは『仕事の拡大』(Job enlargement)へのアンチテーゼです。著者は、動機づけ要因をうまく操作し、仕事の充実化を図れば社員のモチベーションは持続すると主張しています。仕事の充実化の手法として、より高い目標数字の設定や、同種の仕事の増加という「水平的職務負荷」ではなく、権限と責任を増やし、統制を省くなど「垂直的業務負荷」をかけることを提唱しています。実際の実験でも、「垂直的負荷」を新たに導入したグループの業績格差が半年で10%以上の差となりました。ちなみに、最初の3ヶ月は新たな業務への不安などから、業績が下がっていることも注目です。

まとめると、著者は『苦痛を避けようとする動物的な欲求ではなく、心理的に成長しようとする人間的な欲求』を重視し、人間の心の奥底にある向上心に着目しています。メンバーから給与や休みの不満を言われているマネジメント職に『仕事の充実化』という言葉を含め、新たな手法を伝えていけそうです。

二次情報ではなく、原文、原典という一次情報に触れることは、対象となる項目の根本理解に必須であると再認識しました。論文系は完読するのに物理的な時間を多く要しますが、今年10本程度は挑戦したいと思います。
(1456字)