週の風景

046 久々の清瀬

先週は久しぶりにNPOライフス人格で清瀬に訪問しました。午前中は清瀬二中の学校連絡協議委員会(学校を外部の方にみてもらう会)に参加をし、午後は中2の先生方の研修会でした。

様々なことを鑑み、現在ビジョンセッションは一旦お休みをしています。研修会という名ではありますが、何かを教えるものというより、先生方とこれからどうしていくのかを対話をする場でした。

「夢、希望、自信をもって卒業する」ことをビジョンに掲げる清瀬二中。一人でも多くの生徒をこの状態で卒業させるには?という問いを立てつつ、いつもより踏み込んで私も意見を言いましたし、先生方も本音で話をして頂いたような気がします。

その中で、
「ワークに乗ってくる子がいて、もし吉田さんがやったらどうなるだろうというのがいつも頭にあった。」
という先生の言葉が印象的でした。

なるほどというか、やはりというか、「心底これが大事」と感じている人が提供者になると、やはり違いますよね。
4月以降どうしていくか、何かヒントになるような。
期末試験前の多忙な中、お時間を頂いた先生方に再度感謝です。ありがとうございました。

今週は比較的穏やかな週です。

宗興の本棚

第132週 『ビジョナリー・ピープル』

第132週
2020/2/24
『ビジョナリー・ピープル』
ジェリー・ポラス、スチュワート・エミリー、マーク・トンプソン著 宮本喜一訳 英治出版

アカツキの塩田代表が著書で言及しており、また好著『ビジョナリーカンパニー』の著者ジェリー・ポラス氏が書いていることから手に取りました。原題は『SUCCESS BUILT TO LAST』。永続的に続く成功をおさめるには、という所でしょうか。

本書は短期的な成功ではなく、長期に続く成功を分析したものです。分析対象となった200名以上のインタビュー対象者は、『ひとつあるいは多数の分野で最低20年以上強烈な影響力を発揮していること』が条件です。そもそも本書で言う成功の定義は、よくある富、名声、権力の獲得ではありません。『ビジョナリーな人にとって、成功の本当の定義とは、個人的な充実感と変わらない人間関係を与えてくれる、そして自分たちが住んでいるこの世界で、自分にしかできない成果を上げさせてくれる、そんな生活や仕事のことだ。』としています。

結論として、この永続的に続く成功をおさめる秘訣は『自分の生きがいに対する誠実さ』に集約されます。その「誠実さ」を持ち続けるために、本書から今の私にとって必要なことを二つ抽出しました。

一つ目はキャリアに固執せず自身の「静かな叫び」を聴くこと。この項目で触れられていたのは映画化もされた軍事小説『レッドオクトーバーを追え』の作者トム・クランシーです。トムは子供時代、戦争のおもちゃと宇宙が大好きで、10代は海軍の歴史に対する情熱を燃やしていたそうです。しかし、視力が弱く海軍入隊を断念し、保険の仲介業をはじめた後、妻の祖父が経営する証券会社に入り、のちにその会社を買います。所謂「よい生活」でしたが、12年ぐらい自分の夢を思い描きながら、その「静かな叫び」を耳にしていたそうです。そして上記自作の小説が世に出るまで20年の年月がかかっています。『周りの人たちによって価値があると評価されても、されなくても、人生のある時点で彼らは自分の夢をよしにつけ悪しきにつけ、大切にしようとする。永続的な成功への道はこれ以外ない。』と本書は言っています。静かな叫びに答えること、沁み込む言葉です。

二つ目は、「大義」の話。この項目で触れられていたのはサウスウエスト航空の創業者ハーブ・ケレハーです。優秀な弁護士だったケレハーは経営者に転身するのですが、航空業界に価格破壊をしかけ、その認可が下りる前にライバルからの訴訟に巻き込まれています。そういった困難を乗り越えて同社を素晴らしい企業へと導いた原動力は「大義」とのことです。『大義には自分自身を熱狂させるようなカリスマ性がある』というのがケレハーの信念だったそうです。これはすごく実感しています。取り組むだけの価値あるから「誠実」になれるのですが、自分のやりたいことが大義と重なると、とてつもないエネルギーが湧きます。
(1152字)

週の風景

045 部長の皆様に感謝

先週は、連日あるIT系企業様の部課長研修を実施しました。

その中で部長研修が、クライマックスを迎えました。それは、自部署ビジョンの発表です。

私達のプログラムでは、個人軸、社会軸、会社軸の3つの真ん中を自部署ビジョンとおくのですが、前回までじっくり自分と向き合って頂き、個人の価値観を明確にしてきました。そして今回は5年後の社会や、会社(事業)を経営者のつもりになって考え(経営者の追体験)、最終的に自部署ビジョンへ統合していくワークが宿題でした。

実はワークの負荷をどの程度にするかはプログラム作成者として毎回悩む所です。軽すぎると深みがなく成長幅も少なくなる一方、重すぎると実践型とはいえモチベーション自体上がらなくなります。皆さんの多忙度と負荷の度合いを鑑みながら、思考の往来を繰り返し、うんうんと考えつつ正解のない中、解を出します。

今回も部長陣にどこまで向き合って頂けるか不安もありましたが、皆さん見事なアウトプットを出してきました。「きつかった」「大変だった」という声はありましたが、「普段考えていなかった5年後の世の中変化など、楽しかったです」という方もいらっしゃいました。

「楽しかった」と言って頂けた・・・。皆さん、ありがたいです、本当に。人が立ち上がる支えとなり、困難の中でも前に進む姿をみるのが好きな私。安堵と共に少し感動しながら、部長陣の頑張りに応えられるよう、もっとプログラムを磨いていこうと決意を新たにした先週でした。

今週も研修が続きます。そして久々NPOで清瀬の先生向け研修もあります。

宗興の本棚

第131週『成熟社会のビジネスシフト』

第131週
2020/2/16
『成熟社会のビジネスシフト』
並木将央著 総合法令出版

日本は2008年から人口減少に転じ、「成熟社会」が到来しています。それにも関わらず書店では「成熟社会」とついた書籍は多くない印象です。今回久々に「成熟社会」と名のついた書籍と出会い軽く感激しました。そして、研修参加の管理職にリーダーシップやマネジメントの仕方などを伝える上で、プラスがないかと思い手に取りました。

まず、成熟社会は『誰も困っていない社会』であると筆者は言っています。「不足」「不便」「不安」「不満」「不経済」の不がある程度解消され、そこそこ満足が行き渡った社会になっているとのこと。私も常々日本は成熟社会に入り、人々の消費欲求が希薄化していると考えています。その流れは自身を通しても実感でき、物欲に関して私はほとんどなく、先月1ヶ月個人的に使ったのは医療費だけでした。筆者の『不安は消えない。でも不満がない状態』というのは上手い表現です。

そして、この成熟社会では消費者は答えをもっていな点を筆者は強調しています。『プロダクトアウトもマーケットインも通用しない』世界です。確かに「ランチは何を食べに行く?」と聞かれても食べたいものは浮かばないかもしれません。ただ「ラーメンはどう?」と提案されると、明確に答えは出ます。つまり顧客は『ウォンツに関しての肯定否定はできる』のです。顧客は答えに気づいていないだけだと著者は主張しています。

よって、成熟社会で収益を伸ばすには、こちらから提案を繰り返し、共感を喚起する必要があります。『思いついたアイデアやコンセプトをファンにぶつけて肯定否定を受けながら、方向性を見極める』とあるように、共感を得ながら商品を作っていくことが重要と筆者は主張しています。

結論として、「何が欲しいですか」という御用聞きのスタンスはもはや通用しません。成熟社会で大切なことは「共感」を呼ぶまで顧客に提案をし続けることです。このメッセージは強く管理職に届けられそうです。
(799字)

※今日は某大学のカフェから。

週の風景

044 やっぱり凄い

週の風景は、連続で咲心舎です。

先週月曜日に中3受験生のビジョンセッションを実施しました。最終回の担当は私吉田です。

内容としては2時間強で、もう一度ビジョンづくりをしました。自分史の振り返り×相互インタビューを通して価値観を抽出し、ValueTreeで価値観を整理しながら、What(何をしたいか)・Why(なぜしたいのか)・How(どうやって実現するのか)でライフビジョンを描いていきます。

終わってみてあらためて感じたことは、手前味噌で恐縮なのですが、やっぱり「咲心舎の塾生は凄い」ということです。

出てきたWhatの例は、
「○○クリエイターになる。自分の根は、創・作・造」
「スポーツに関わり、スポーツの楽しみを伝えたい」
「音楽×教育をしたい」
「苦んでいる人を救いたい」
「自分が小さくて着るものが限定される。もっと皆が服を楽しめるようなファッションデザイナーになりたい。そのために、アメリカの▲▲大学に行く!」

ちなみに一番最後は小4から5年間在籍している、生粋の咲心舎girlのビジョンです。皆、内容も良質ですが、何より熱が込められていて心が打たれました。咲心舎の塾生は、様々なテーマで何度も何度も内省する機会をもったからでしょう、自分の心の声を聴き、自分の未来を表現することに慣れていると感じました。ワークのスピードも速いのです。塾生が誇らしい!

というか咲心舎の塾生だけでなく、本当はやり方によって、世の中の中学生はここまで「描く力」を伸ばせるはずなのです。あらためて子供の可能性を感じる夜となりました。

退院後、2週間は禁酒と運動停止となり、ペリエでしのいでおりますが、中々きつい・・・修行です。
今週は研修WEEKです。

宗興の本棚

第130週『3つの真実』

第130週
2020/2/9
『3つの真実』
野口嘉則著 ビジネス社

先週、痔ろうの手術のため一泊二日で入院をしていました。ゆっくり本を読む時間ができたので、何冊か読んだ中で読了した一冊です。本書は、通塾中の天外塾同期である田中伸一さんのブログからインスピレーショが湧き手にとった本です。田中さんは人材育成のコンサルタントとして独立をしながら、ダウン症の息子さんを抱え、人生観と共に人生が変わった歩みをブログに書かれています。入院前、偶然田中さんのブログの56話を読み、胸を打たれました。https://tanaka-shinichi.hatenablog.com/entry/independencefails

本書はベストセラー『鏡の法則』の作者が書いたものです。目標必達メソッドを編み出し起業し右肩上がりに事業成長させた人材開発の社長が、大きなアクシンデントに見舞われました。その夜、ふと現れた老人との対話により「3つの真実」に気づいていく物語です。

一つ目、中心軸の話がまず印象に残りました。「人生を通じて最も望むもの」が中心軸です。これは、自分に起きてくる出来事を判断する際の「ゆるぎない価値基準」となります。中心軸が定まっていないため、その場の感情や衝動によりあらぬ現実を引き起こしていくとのこと。私自身、家族が健やかであり続けることや、母親が余生を楽しむことなど、人生を通じて望むものは「幸せの軸」として幾つか持っています。「幾つか」だからこそなのか今回「最も」という所がぐっと刺さりました。ここ最近の自身の極度な揺れから、定まっていると思っていた中心軸が未だ定まっていないことも痛感しました。孔子の言う不惑というのは、この中心軸が定まることかもしれません。

二つ目、人間の行動動機は突き詰めると「愛」か「恐れ」のどちらかしかない、ということです。例えば、社会的な成功を求めるのは、往々にして自分の存在が社会に埋もれる恐れから来ていると解釈できます。部下を叱るのはコントロールしないと、目標が未達になり上からの信頼を失う恐れから来ていると捉えられます。この状態だと社会的に成功しても、目標を達成しても、ずっと恐れに支配され幸福度は高まりません。

一方、人は愛に生きるとき、本当の幸せがもたらされる、と著者は言っています。そして、愛に生きる鍵は感謝です。感謝=愛に近く、人とつながりを感じることができるとのことです。これも大いに共感します。感謝は筋力であり、感謝をしていないと感謝力は落ちてくると私は考えています。よって毎朝感謝の手紙を読んでいるのですが、初めた約3年前と比べると自己肯定感や幸福度は格段に高まりました。様々な方々との深い「つながり」を感じることができ、これにより人生の根底の部分で支えができた感触です。何があっても大丈夫な感じというか。

中心軸を定めることと、より愛を動機に生きていくための行動として、毎朝のルーティンに加え、週末のどこか月1回1時間以上の「内観TIME」を設けることにしました。ちなみに現在の毎朝のルーティンは、4つです。①20分の瞑想②5年日記③感謝の手紙④30分の読書です。内観TIMEは、瞑想後、現在の不安や感動とじっくり向き合い、自分の心の声や感情を感じ取ること。また、今週一番感謝したいと思った方への感謝のコメントを書いていきます。既に2回行いましたが、不安感が薄まり、静かで暖かなエネルギーが湧出してきます。日々の喧騒の中で忘れがちな大切なことをじっくり「感じる」時間にしていきます。

本書の世界観は、自分の心の在り方が現実世界に投影され、出来事が引き起こされていくという非科学的なものであり、賛同しない方も多いかもしれません。若干「アヤシイ」感じ<笑>。量子や光子分野で人の想い(エネルギー)が現実化する学術研究も進んでいるようですが、科学的証明にはまだ遠い気がします。数字を含む言葉を駆使し、分けることで真理を探究した西洋思想のアプローチ。その対極にある全ては一つであり感じることで真理の体感を目指した東洋思想のアプローチ。本書は東洋思想アプローチに近く、またオットーシャーマ教授の『U理論』、天外さんの『実存的変容』とつながる話です。

すこし俯瞰的な視点でいえば、私は人類が恐れを中心に築き上げてきた社会の最終系がこの資本主義社会ではないかと感じます。そして今、人類の内的転換、つまり社会や歴史を創る前提が転換しており、有史以来最大の転換期をむかえているとも言えます。現在は、恐れから作る社会ではなく愛から作る社会へと転換する過程であり、フロー経営や、ティール組織はまさにその象徴と言えます。子供への体罰禁止なども考えてみれば、2000年以上恐れにより止められなかったことが今実現しています。資本主義の限界が叫ばれるのは、実は人類の内的転換を求める叫びなのかもしれません。
(1977字)

週の風景

043 都立推薦合格!

今週は久々の咲心舎ネタです。

今年もいよいよ最終コーナーを回り、都立一般入試の日(2/22(金))が近づいています。ただ、都立の推薦入試は一足早く行われており、金曜日に合格発表がありました。

結果、文京高校に2名合格しました!

咲心舎が位置する旧第四学区(文京区、豊島区、板橋区、北区)の偏差値トップ3は、1位竹早、2位北園、3位文京です。文京高校は人気が高いこともあり中々壁が高く、私達もこれまで合格者を輩出していませんでした。それが今年一気に二人も合格者が出ました。これまでついてきてくれた塾生に感謝です。本当にありがとう。そして心配も募る中、これまで信じて任せて頂いた保護者様にも感謝致します。本当にありがとうございました。

さらに、昨年から咲心舎は高橋が全学年を指導し運営をしていますが、高橋が凄い。辛抱強く塾生と向き合いこの結果を出しました。実績=実力であり、間違いなく心技体が伸びています。プレッシャーもある中、前に前に進んできたことに感謝します。心からありがとう。

喜びをかみしめつつも気づくと一般入試まであと19日。焦らず目の前の塾生の伸びを楽しみつつ、高橋と進みます。

今週は制作と今進めている新プロジェクトが一旦佳境に入ります。

PS 高橋記載の咲心舎ブログからも興奮が伝わります。宜しければご一読頂けると嬉しいです。
http://blog.sakushinsha.com/

宗興の本棚

第129週『リーダーシップ理論 集中講義』

第129週
2020/2/2
『リーダーシップ理論 集中講義』
小野善生著 日本実業出版社

今年の読書テーマの1つとして、リーダーシップがあります。現在のブルームウィルのリーダーシップ論を練磨し、更に進化したものを世に提示していきたいと考えており、インプットの方向を決める道しるべとして手に取りました。

本書はコッター教授をはじめ6人のリーダーシップ論の大家が、講義形式で自論を伝えていくものになります。新しい発見として、下記二人(三人)の方を挙げます。

まず、ウォレン・ベニス教授です。著者が『現在のリーダーシップ研究の第一人者』と言っている方です。ベニス教授は、優れたリーダーの4つの特性(戦略)を示しています。①人を引きつけるビジョンを描く②あらゆる方法で「意味」を伝える③「ポジショニング」で信頼を勝ち取る④自己を創造的に活かす。

この中で特に、②のあらゆる方法で「意味」を伝える、がとても参考になりました。「あらゆる」という言葉に込められた徹底姿勢は感奮ものであり、人としての強さがそこにあります。そして「意味」という言葉からも、ビジョンの背景にある価値観を共有していく重要性を感じました。②の説明の中には、インパクトのある言葉についても言及がありました。ベニス教授は、キング牧師の『I have a dream』、コマツ坂根社長の『ダントツ経営』など、新たなビジョンを象徴する言葉の使用を奨励しているそうです。私達もビジョン策定の際、キャッチコピー化を取り入れていますが、この学術的エビデンスを元により一層推し進めていけそうです。

次に、コンガー教授とカヌンゴ教授です。二人はカリスマ的リーダーシップの代表的論者として、マックスウェーバーの章に紹介されています。もう少し調べて見ると、ジェイ・オルデン・コンガー教授は、米クレアモントマッケナ大学の教授。ラビンドラ・カヌンゴ教授は、カナダマギル大学の教授であると分かりました。

二人が示したのは、カリスマ的リーダーの6つの行動特性です。①ビジョンを打ち出す②環境の変化を察知する③型にとらわれない行動をする④リスクをとる⑤フォロワーの気持ちを察知する⑥現状に満足しない。

上記理論は、コッター教授の変革型リーダーシップと『非常に近い関係にある理論』と著者は言っています。確かにそう感じますが、③と④の部分、つまりリーダーの挑戦的行動について、より明示されている気がします。私達が提唱している「挑戦と実行」の学術的エビデンスとなりそうです。

道しるべとして簡便かつ的確な本でした。今後の道筋は、まずコッター教授とベニス教授の著書を熟読したいと思います。
(1052字)