第131週
2020/2/16
『成熟社会のビジネスシフト』
並木将央著 総合法令出版
日本は2008年から人口減少に転じ、「成熟社会」が到来しています。それにも関わらず書店では「成熟社会」とついた書籍は多くない印象です。今回久々に「成熟社会」と名のついた書籍と出会い軽く感激しました。そして、研修参加の管理職にリーダーシップやマネジメントの仕方などを伝える上で、プラスがないかと思い手に取りました。
まず、成熟社会は『誰も困っていない社会』であると筆者は言っています。「不足」「不便」「不安」「不満」「不経済」の不がある程度解消され、そこそこ満足が行き渡った社会になっているとのこと。私も常々日本は成熟社会に入り、人々の消費欲求が希薄化していると考えています。その流れは自身を通しても実感でき、物欲に関して私はほとんどなく、先月1ヶ月個人的に使ったのは医療費だけでした。筆者の『不安は消えない。でも不満がない状態』というのは上手い表現です。
そして、この成熟社会では消費者は答えをもっていな点を筆者は強調しています。『プロダクトアウトもマーケットインも通用しない』世界です。確かに「ランチは何を食べに行く?」と聞かれても食べたいものは浮かばないかもしれません。ただ「ラーメンはどう?」と提案されると、明確に答えは出ます。つまり顧客は『ウォンツに関しての肯定否定はできる』のです。顧客は答えに気づいていないだけだと著者は主張しています。
よって、成熟社会で収益を伸ばすには、こちらから提案を繰り返し、共感を喚起する必要があります。『思いついたアイデアやコンセプトをファンにぶつけて肯定否定を受けながら、方向性を見極める』とあるように、共感を得ながら商品を作っていくことが重要と筆者は主張しています。
結論として、「何が欲しいですか」という御用聞きのスタンスはもはや通用しません。成熟社会で大切なことは「共感」を呼ぶまで顧客に提案をし続けることです。このメッセージは強く管理職に届けられそうです。
(799字)
※今日は某大学のカフェから。