第137週
2020/3/31
『本当の仕事』
榎本英剛著 日本能率協会マネジメントセンター社
この3月は私自身の新たなビジョンを描くため、私共のリーダーシッププログラムで提供しているワークを自分自身で行っています。その中で「個人軸」を深めるため、別の角度から光を当てたいと考え手に取った本です。著者はコーチング企業のCTIジャパンの創立者です。
印象深いキーワードは3つありました。「存在意義」「純粋意欲」「天職創造」です。
一つ目は、「存在意義」について。著者は「仕事とは自らの存在意義を探求し、それを表現すること」としています。素晴らしい定義で、感銘を受けました。元々「仕事は自身が伝いたいメッセージの表現手段である」という考え方はしており、自らの存在意義を探求する、という部分が琴線に触れました。
そして、筆者は存在意義というのは「他者や世の中との『関係性』の中で初めて見出せるものである」としています。よくある「自分が幸せになること」は厳密にいえば存在意義ではないと。あなたはなぜ生きているのか、と言ったときに「幸せになるため」という答えは、全人類に当てはまることであり、確かにその人固有の存在意義にはなりえないと思います。
更に筆者曰く、存在意義は進化するということです。仕事を内なる仕事(=探求)と外なる仕事(=表現)に分け、自らの存在意義を探求し続けていくことが大切と著者は主張しています。私は存在意義は変化しないと考えていたため、なるほどと膝を打つ感覚でした。
二つ目は、「純粋意欲」です。いい言葉ですね~。純粋意欲とは、「自分の奥底から湧いてくるような『これがやりたい』という気持ちのこと」です。他人の目を気にして、不安や恐れの気持ちから発生する意欲ではなく、「なぜだかわからないけどとにかくそれがやりたい」といったものです。その仕事をして、魂が潤うかどうかがバロメーターになるとのこと。純粋意欲に沿ったものでないと、一生懸命やっていても魂が擦り減っていくそうです。
三つ目は、「天職創造」という言葉。著者は自分を仕事に合わせるような「適職」という考え方に違和感があり、「私たちは、職業という小さな箱にうまく収まるほどちっぽけな存在ではありません。」と言っています。厚労省発行の『職業分類』によると約17,000種ある職業のうち、多くの職業がここ50年程で出きたそうです。何屋かというのは自分で創造すれば良いのです。天職創造というプロアクティブな考え方に大変共感しました。
自身の「個人軸」を深堀する意味でも、私共のプログラムを進化させる意味でも、有意義な書籍でした。
(1039字)