宗興の本棚

第147週『一番になる人』

第147週
2020/6/15
『一番になる人』
つんく♂著 サンマーク出版

今年のテーマである筆力強化。筆力を高めるには、根本のメッセージや、構成だけでなく、「人の心を動かす言葉」が必要であることを知りました。おもしろい言葉、目を引く言葉、刺さる言葉、そういった言葉のテクニックが詰まった本ということで、オススメされていたのが本書です。学生時代、モーニング娘。のファンだったので、つんくさんは知っていましたが、まさかつんくさんの本を手に取るとはという感じです。

【読者として】
特に響いたのは、「売れる人を徹底的に分析する」ということです。

「売れなかった二年間。僕は必死で『売れる音楽とは何か』を研究しました。」とあります。150万部以上売れたコンマリさんを世に出した名編集者、高橋朋宏さんが「ベストセラーを徹底的に分析した」と仰っていたことがすぐに頭に浮かびました。また、綾香さんやYUIさんを世に出した音楽プロデューサー西尾芳彦さんも、ヒット作を徹底的に分析したと仰っていました。やはり売れるものを生み出す方々は、売れているものを分析し、独自の「ヒットの法則」を編み出しています。

【書き手として】
伝えたいことを、伝わりやすく書く力をひしひしと感じました。まさに「人の心を動かす言葉」をもっている方だなと感じます。身に着けたいと思う点は二点です。

・オリジナルかつ目をひく言葉
「教室内ニッチ」、「勝負パンツをいつもはいておく」、「『四位』こそが大衆のなかの一位」、「エネルギー業者」、「サクセスストーリーはピンチ―ヒッターから」等。これだけで「おもしろそう」となりました。

・身近でリアルな言葉
つんくさんの歌詞は、非常に身近でリアル。いつも秀逸な歌詞だなと感心していましたが、「ヒントはいつも自分のいちばん近いところにある」とあり、その謎がとけました。

ちなみにお気に入りの歌詞は、
「選挙の日はうちじゃななぜか、投票行って会食するんだ~」(モー娘。『ザ・ピース』)
です。あまりこういう家庭はなさそうだけど、リアリティがあり絶妙です。

この本でも、「売店のおばちゃん」や「おしゃれな中学二年生」、「『チャック空いてるで』と言われるやつ」「我が家の手伝い」など、誰でもイメージができる「身近な」シチュエーションが頻発します。

要は、読者に寄り添い言葉を生み出すことです。プロは凄い!
(945字)