宗興の本棚

第157週『思うことから、すべては始まる』

第157週
2020/8/23
『思うことから、すべては始まる』
植木宣隆著 サンマーク出版

「筆力強化」のための第7弾は、サンマーク出版社長の著書です。サンマーク出版は出版業界の売上が半減したこの25年間に、『生き方』『脳内革命』などミリオンセラーを8冊も出しています。本書はその陣頭指揮をとる植木社長の大切にしている考え方をかるた形式でまとめた本です。強く印象に残った4つの項目を紹介します。

1.手のひらに、一冊のエネルギー
これはサンマーク出版のグランド・コア・コンセプト(会社運営の中核となる考え方)です。植木社長は2002年に社長就任後、経営理念を確立するべく社員全員と1年半かけて経営理念をつむぎあげてきました。「手のひらに、一冊のエネルギー」はその結晶として生まれた言葉です。本はエネルギー体であり、「そのエネルギーの大きさが、人を惹きつけるのです。」と植木社長は言っています。

そして「手のひらに、一冊のエネルギー」という言葉をみた瞬間、心が震えました。それに続く「本=エネルギー論」はしびれました。まさにそうだなと。本は単なる「まとめ」で知的満足を満たす物ではなく、そもそも、著者と編集者のエネルギーの産物だということです。

想念を物質化したものが本である、とも植木社長は言っていますが、考えればこれまで読んできた本からは、ある程度強いエネルギーを感じます。そもそも強く伝えたいものがあるのか、これが大切だとあらためて感じます。

2.抜きん出た強みのある著書か
植木社長は企業経営者や個人事業主の方からよく出版の打診を受けるそうです。その際にいつも「出版企画をうんぬんする前に、ご自身の持ち場で、抜きん出た圧倒的な成果を上げることが先決です。」と伝えているとのこと。

これもその通りだなあと。圧倒的な成果が出ていなければ多くの人から共感を得るのは難しいです。しかも、「抜きん出た」という所がいいですね。

3.大ヒットする書籍に共通する5つの要素
1.驚きを生むタイトルになっている
2.心と体を癒し、健康に関わっている
3.それを読むことによって、読者自身が変われる
4.田舎でも売れる本になっている
5.女性に応援してもらえる本である
総じて、「病人のお見舞いにもっていける本」である、と植木社長は言っています。これもなるほどーとついうなってしまった言葉です。「愉しみや喜びや癒し」になるような本ですね。

しかし、この5つはミリオンセラーの必要条件に過ぎず、「ミリオンセラーに方程式は存在しない」と植木社長は言っています。必要十分条件になるためには、よくわからない『何か』がなくてはならず、その上でも結局、必要条件をどこまでやり切るか、ということが問われてくるそうです。

マスに届けるというメディア業界ならではの所がこの「何か」なのだと感じます。通常ビジネス世界では自社のお客様がだいたい決まって(ターゲティングして)いる。マスもある程度ターゲティングをしますが、20代~30代女性としても千差万別過ぎて何がニーズかは大変掴みにくいです。ただ、とどのつまり解に近い原則や法則を突き詰めて実行していく、これが成功の前提なのだと思います。

4.真理はひらがな
「わかりやすさこそ真理」「一流の人は、難しいことをやさしく伝える。」と植木社長は言っています。「やさしさ、わかりやすさにこそ、凄みを感じる。」とも。

やさしくて深い世界があるということを知りました。確かにこれまで取り上げた『アウトプット大全』『1分で話せ』『超筋トレが最強のソリューション』『父が娘に語る経済の話』などの10万部を超える本は、平易で分かりやすい。そして、前々職の社長も「モチベーション」という目に見えない難解なテーマをやさしく、わかりやすくして、伝えていたことを思い出しました。世に広げようという気概があれば、必然的にやさしく、わかりやすく、ということに辿り着くのでしょう。

真理はひらがな。凄く残る言葉です。
(1585字)

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