宗興の本棚

第161週『一流トップ15人の経営ビジョン』

第161週
2020/9/21
『一流トップ15人の経営ビジョン』
日本能率協会マネジメントセンター編 『人材教育』編集部協力

今年の読書テーマの一つ「ビジョン」。経営者がどんなビジョンを語るのか、興味があり手に取った本です。

ただ、本書のビジョンというのは、企業が成し遂げたい全体像というより、経営者が語る「自社の社員と、社員の成長を支える人事・人材開発への熱い想いと期待」のことを指しています。ビジョン探究というより、リーダーシップの探究に近いかもしれません。

印象に残った経営者の言葉を4つ書きます。

「夢にむかって一目散に進む時、人は最高のエネルギーを発揮する。」(唐池恒二 JR九州会長)

「大切なのは、人の心に灯をともすこと。」(岡本一郎 日軽金HD社長)

「経営理念からぶれないこと。そのうえで、細かい分析はいったんおいて置き、自分たちが何をしたいかという“主観”を大切にしてほしい」(川崎健一郎 VSN社長)

「社員には『夢』と『目標』をもってほしいと語り続けています。」(寺田千代乃 アートコーポレーション社長)

「ビジョンが可能性を拓く」というのが、私の大切にする考え方です。印象に残り線を引いた箇所は、この考えに近い方々の言葉でした。私の生き方、経営方針はやはりこれだなとあらためて確認できました。

どの経営者のお話も示唆に富んでいますが、中でも日軽金HDの岡本社長のお話は、灯をともすための具体的な施策などを語られていて強く印象に残っています。30代~40代との少人数座談会「座FIVE」、職場に誇りをもたせる企画を若手に考えてもらう「日軽金プライド」、描いた後のフォローを大切にする「次世代経営研修」など。これらは、「どうしたらこの人の心に灯をともせるかな?」ということをいつも考えていた結果、出てきた施策とのことです。

「会社に求められるのは、本人が『こういう人になりたい』という気持ちを持てる環境づくりをすることでしょう。」と言い切る岡本社長は、清々しく惹きつけられます。「ビジョンが可能性を拓く」という信条を経営で体現できるよう、一歩一歩進んでいきます。
(806字)

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