宗興の本棚

第167週『新1分間マネジャー』

第167週
2020/11/1
『新1分間マネジャー』
ケン・ブランチャード+スペンサー・ジョンソン著

1分間シリーズの最初の本。1983年に刊行されて以来、世界1500万部の大ヒットとなっています。

マネージャーとして成功するために、たった1分間でできる3つのこと(1分間目標設定、1分間称賛、1分間修正)を提示しています。それぞれ私なりにポイントと思う部分を書きます。

まず、1分間目標設定です。目標を絞って一緒に立てることも重要ですが、目標を都度見返すようにする、これがポイントだと思います。

「部下と上司に仕事の内容を聞くと、別々の答えが返ってくることが多い。」とあるように、メンバーが自分の職務と思っている範囲と、上司が思っている範囲にズレが生じることがあります。互いに、都度目標を見返すのはズレがなくなるために効果的な手段です。

次に、1分間称賛のポイントは、私は間をおく部分だと思います。

正しかったポイントを具体的に伝え、自分にとってどんなに嬉しいか伝える。そして、「少し間をおいて、自分の行動に対する満足感を味わわせる。」と書かれています。具体的に誉める、はよくあることですが、間をおいて満足感を実感してもらう、というのは新たな発見です。

最後に、1分間修正のポイントは、細かくフィードバックを与えていく部分です。

ありがちなのは、ミスや指摘事項をため、あとで一度にたくさんのフィードバックを与えてしまうことです。メンバーは一気に押し寄せる波に対処ができません。「早めにミスを見つけて、こまめにフィードバックを与えていくこと」と書かれているとおり、都度の修正がメンバーにとって助かるのです。

本書では逆のパターンを「ほったからしてバッサリ」式のコミュニケーションと名付けています。そうならぬよう頻繁に細かく、終わったらカラッとする。これが1分間修正のポイントだと感じます。
(735字)

宗興の本棚

第166週『1分間リーダーシップ』

第166週
2020/11/1
『1分間リーダーシップ』
ケネス・ブランチャード+P・ジガーミ+D・ジガーミ著 ダイヤモンド社

LIFULL社外取締役の中尾さんの著書に、名著と書いてあったシリーズ。短い本で、1時間もあれば読めてしまう分量なのですが、なるほどと頷く部分が多くありました。

本書は業績を上げるリーダーの手法として状況対応型リーダーシップを提示しています。それは、指示型、コーチ型、援助型、委任型を、メンバーの成熟段階によって変えるものです。メンバーのその仕事への適正能力が低いうちは、指示型から始めます。そこからコーチ型、援助型を経て委任型へと移行していくやり方です。

印象に残ったことを二つ書きます。

一つは、人の成熟段階によって変えるというより、その人の能力とタスク・目標との関係によって使い分けるということです。

同じ人でも仕事の種類と成熟度が違えば、4つのリーダシップスタイルを使い分ける必要があるのは、見落としがちな点です。例えば、営業成績が優れた営業兼講師のメンバーがいたとします。営業成績が優れているのでつい委任型にしそうなのですが、研修講師として経験が乏しければ、その部分は指示型で導いていくことが効果的です。

もう一つは、目標設定と「取決め」が大切であることです。

経験が乏しいメンバーに対して、いきなり指示型のマネジメントをすると、管理が厳しいと思われる。一方、経験豊富なメンバーに、何も言わず委任型をすると、放置されていると思われる。私もそのような経験があります。「なぜそのように行動をしているか」を告げないと、間違って受け取られるのです。

よって円滑にメンバーを導くには、目標設定と、その際にどのようなスタイルをとるか、しっかりと伝える(=取決め)、共に歩むことが重要と感じます。

ちなみに状況対応型リーダーシップとしていますが、本書が伝えているのは日常のコミュニケーションの仕方であるため、状況対応型マネジメントの方が、私にはしっくりきます。
(769字)