第166週
2020/11/1
『1分間リーダーシップ』
ケネス・ブランチャード+P・ジガーミ+D・ジガーミ著 ダイヤモンド社
LIFULL社外取締役の中尾さんの著書に、名著と書いてあったシリーズ。短い本で、1時間もあれば読めてしまう分量なのですが、なるほどと頷く部分が多くありました。
本書は業績を上げるリーダーの手法として状況対応型リーダーシップを提示しています。それは、指示型、コーチ型、援助型、委任型を、メンバーの成熟段階によって変えるものです。メンバーのその仕事への適正能力が低いうちは、指示型から始めます。そこからコーチ型、援助型を経て委任型へと移行していくやり方です。
印象に残ったことを二つ書きます。
一つは、人の成熟段階によって変えるというより、その人の能力とタスク・目標との関係によって使い分けるということです。
同じ人でも仕事の種類と成熟度が違えば、4つのリーダシップスタイルを使い分ける必要があるのは、見落としがちな点です。例えば、営業成績が優れた営業兼講師のメンバーがいたとします。営業成績が優れているのでつい委任型にしそうなのですが、研修講師として経験が乏しければ、その部分は指示型で導いていくことが効果的です。
もう一つは、目標設定と「取決め」が大切であることです。
経験が乏しいメンバーに対して、いきなり指示型のマネジメントをすると、管理が厳しいと思われる。一方、経験豊富なメンバーに、何も言わず委任型をすると、放置されていると思われる。私もそのような経験があります。「なぜそのように行動をしているか」を告げないと、間違って受け取られるのです。
よって円滑にメンバーを導くには、目標設定と、その際にどのようなスタイルをとるか、しっかりと伝える(=取決め)、共に歩むことが重要と感じます。
ちなみに状況対応型リーダーシップとしていますが、本書が伝えているのは日常のコミュニケーションの仕方であるため、状況対応型マネジメントの方が、私にはしっくりきます。
(769字)