宗興の本棚

第178週『コーチングの「基本」が身につく本』

第178週
2021/1/24
『コーチングの「基本」が身につく本』
学研プラス社 本間正人著

コーチングについても、よりよい課題図書が無いか探し続けています。特に今回は初歩的で分かりやすいものを書店で探す中で、これはと思う本を購入してみました。

私にとっての新たな発見を二つ書きます。

1.心情を把握する
「任せて任さず」とありますが、人を育てるコツを端的に表した良い言葉です。

体感値として「任せる」ことが難しいマネジメント職の方が多いと感じます。
そもそも任せられない、もしくは任せても放置するか、両極端な感じです。

本書では、適切にフォローすることの重要性を伝えており、具体的な3ステップである
①観察
②把握
③フィードバック
の中で、②について状況把握に加え、「心情把握」をする記載に目が留まりました。

「どうなっている」と「どう感じている」とメンバーの心情まで把握するのがコーチングらしくて素晴らしい観点です。

2.解決策を探る質問
①過去ベスト 「今まで一番うまくいった方法は?」
②未トライ 「まだ試したことないやり方は?」
③組み合わせ 「AとBを組み合わせたらどうだろう?」
④逆発想 「それとは逆に考えたらどうなる?」
⑤極論 「こんなのありえない、という方法は?」
⑥オーソドックス「一番オーソドックスな方法は?」

これら解決策を探る際の6つの選択肢・質問は、コーチングらしい問いかけで使いやすそうです。「王道で行ったら?」「奇策とすれば?」こんな風に自分で変えて使えそうです。

本書最後の「ケーススタディ10」は、現場でよく起こりがち、かつリアリティある対処法で、受講者の方々に特に有用なものと感じました。本書も課題図書になるかは分かりませんが、最後のケースを中心に、おススメ本としては推薦できると感じました。
(703字)

宗興の本棚

第177週『図解モチベーション大百科』

第177週
2021/1/24
『図解モチベーション大百科』
池田貴将著 サンクチュアリ出版

モチベーションについて、よりよい課題図書が無いか探し続けています。書店で探す中で、これはと思う本だったので、購入してみました。

本書は100個の心理・行動実験を紹介し、そこから得る「モチベーション」の法則を紹介しています。今回はプログラム内で伝えやすい3つの実験を書きます。

■キャンディ効果
ショーン・エイカーが紹介する3人の心理学者による実験
<実験>
架空の患者の症状や病歴を読み上げ、経験豊かな医者達に診断してもらう。

Aチーム:何もしない
Bチーム:事前に、医療関係の記事を読んでもらう
Cチーム:事前に、キャンディをあげた(食べる食べないは関係なく)

<結果>
Cチームは、Aチーム、Bチームと比べ、2倍の速さで正確に診断した。

<結論>
「『いい気分』をつくってから仕事にとりかかってもらった方が、結果的に作業がはかどり、ミスも減る。」

<活用>
マネージャーが朝会を行い、気分をよくして皆がスタートする動機付けになります

■経験の自己と記憶の自己
行動経済学者ダニエル・カーネマンの実験
<実験>
被験者たちに携帯を渡し、数週間にわたった不定期にメールや電話などで、その瞬間瞬間の「幸福感」をたずねた。

<結果>
前提として、不定期に何度も調査することで、幸福感はその時々の「状態」というより、長く続く「特徴」であることが分かった。

「経験の自己」より「記憶の自己」
いまを楽しむことによって得られる幸福感より、
振り返ったときに、楽しかったと継続的に幸福を感じられるのは「記憶の自己」だった。

<結論>
「穏やかに快適に暮らす幸せもある。けど、あとで振り返ったときに『あのときは大変だったけど、よい経験だった』と思える方が、脳はより幸福を感じる。」

<活用>
「ずっと困難やストレス、変化を避け続けていると、『楽だったけど、もっとなにかできたのではないか』という苦しさに、じわじわと追いかけられることになります。」という著者の言葉が、いいですね。この実験は、成長企業に入り日々忙しくしている方へのエールに使おうと思います。

■感情表現
アメリカのある病院でおこなわれた実験
<実験>
Aチーム:「危険」「不可能」「無理」等のネガティブな言葉が数分づつスクリーンに映る
Bチーム:「できる」「可能」「価値がある」等のポジティブな言葉が数分づつスクリーンに映る

そのあと、唾液を採取して、ホルモン量を測定する

<結果>
Aチームは、コルチゾールが上昇
Bチームは、コルチゾールが減少
※コルチゾールはストレスを感じた時に分泌されるホルモン

<結論>
「触れる言葉、使う言葉によって、ストレス量は変化する。」

<活用>
ネガティブな言葉は、自他のストレスを増やすため、できる限りポジティブな言葉を使うこと。そのエビデンスとしてマネジメント職やメンバーに伝えられます。

以上です。

課題図書として組み入れるかは熟考が必要ですが、おススメ本としては推薦できるぐらい分かりやすく、説得力のある内容でした。
(1212字)