宗興の本棚

第189週『人は話し方が9割』

第189週
2021/5/4
『人は話し方が9割』
永松茂久著 すばる舎

今回は書き手目線でお伝えします。

60万部を突破し、コロナ渦を支えたビジネス書特別賞受賞ということで、ヒットの法則をさらにアップデートしたく手に取りました。

現在、ベストセラーを分析して出した吉田が勝手に考えるヒットの法則3.0は下記です。
(1)身近×関心の高いテーマ
(2)読みやすい(平易である、わかりやすい)
(3)おもしろい(ためになる、斬新である、好奇心にかられる、笑いがある)
(4)やりやすい(実践しやすい)

この中でも多くの人に手に取ってもらうには特に(3)おもしろい、が最重要と考えています。ここは貢献性×独自性、つまり「ためになる」×「これまでにない」が要素となります。

本書の(3)は「話し方は『聞き方が9割』」という主張です。「話し方において一番大切なことは、聞くことである」という著者の主張に読者ははっとします。話し方だと思っていたのが、実は聞き方が重要だったと。私も「そうか。そうだった、そうだった。」と膝を打つ感覚でした。

営業をする前は、売れる人は話し上手の人だと思っていました。しかし、実際に営業をしてみると営業で業績を上げる人は聴き上手であることに気づきました。もっというなれば、相手の困り事の本年を引き出せる人。これは今でも変わっていません。少し忘れていたそんなことを思い出させる主張でした。

本書は当然(3)だけでなく、その他の(1)・(2)・(4)も満たしていると感じます。では、本書がミリオンに届くにはあと何が必要なのでしょう。サンマーク出版の植木社長は「ミリオンセラーに方程式はない」と仰っていますが、その上で共通する項目を5つ挙げています。
1.驚きを生むタイトルになっている
2.心と体を癒し、健康に関わっている
3.それを読むことによって、読者自身が変われる
4.田舎でも売れる本になっている
5.女性に応援してもらえる本である

本書は上記2.4.5も微妙に満たしている気がします。例えば、「苦手な人と話す必要はない」「笑顔も立派な会話」など話下手と思っている人に癒しとなる内容も盛り込まれています。

植木社長はミリオンになるには上記に加え「何か」が必要とのこと。その「何か」は時代の風なのでしょうか。本書がミリオンセラーになったら分析してみたいと思います。
(939字)