宗興の本棚

第192週『できるリーダーは、「これ」しかやらない』

第192週
2021/5/23
『できるリーダーは、「これ」しかやらない』
伊庭正康著 PHP研究所

仕事柄多くのマネジメント職に接していますが、自らががんばり、任せられない方。任せるがメンバーの心を掴んでいない方は案外多いなと体感値で思います。いわゆる任せ下手の上司です。そんな方々に何かヒントになる良い本はないかと探す中で手に取った本です。本書が10万部を突破していることからも、いかに任せ下手で悩む人が多いかも分かります。

本書を通して、任せ上手と下手の区分けは、
①力の入れどころを変えること。
②任せると放任の違いを理解すること。
この二つに尽きると感じました。

任せると放任の具体的な違いは、
「部下がやっている作業を『具体的』に答えられる。」
「部下が感じる“不便・不安・不満”を『事実』で答えられる。」
になります。非同期・同期を問わずコミュニケ―ションを通してメンバーをしっかり把握できているのですね。これは現場で使え、マネジメント職がピンときそうです。

本書で一番印象に残ったのは「ボス充」という言葉です。本書ではリクルートマネジメントソリューションズの「ボス充実態調査(2017)」のデータが紹介され、「『ボス充』は武器になる」と結論づけていました。実際にサイトに行きましたので、調査結果を紹介します。

「多くの若い部下にとって、理想の上司は人間的な幅が広く、早く帰る人である」
「理想の上司(管理職)に関する結果をご紹介します(図表3)。対形式の項目に対して、どちらの特徴をもつ人物が理想の上司(管理職)かをたずねたところ、20代一般社員の方が『(仕事は生活の中心ではなく)仕事は生活の一部』(75.3%)、『(遅くまで仕事をしているのではなく)早く帰る』(75.3%)、『(仕事での専門性が高いことより)人間的な幅が広い』(60.8%)を多く選択していました。」
(引用 リクルートマネジメントソリューションズ ボス充調査#1 個人の働き方#2 https://www.recruit-ms.co.jp/research/2030/report/individual2.html)

若い世代には仕事人間の上司は魅力に映らないことが、はっきりしましたね。私共のクライアント企業様の多くは成長企業で上司は基本多忙です。このボス充調査の結果は、マネジメントの仕方を見直す一助になると感じます。
(942字)

宗興の本棚

第191週『2040年の未来予測』

第191週
2021/5/15
『2040年の未来予測』
成毛眞著 日経BP社

元日本マイクロソフト社長の成毛さんの未来予測本です。信用度の高さで手に取りました。

今回一番ピンときたのは、お金のところです。

「そもそも、『老後2000万円問題』は老後のために『預貯金以外の金融サービスを使って老後資金をつくりなさい』という金融庁のメッセージだ。」という一文。

2000万円貯金するのはそんなに簡単なことではないと思います。人生100年時代の中で、お金のリテラシーを高め、投資にシフトしていく必要があるかなと感じていました。

先日、橋下徹さんが近著で「貯蓄だけの資産形成は難しい」「一般の人々も貯蓄から投資へとマインドを転換する必要があるだろう。」と言っていました。そして、今回成毛さんの一文と出会い、投資の必要性が確信になりました。

更に面白いのは、投資の必要性だけでなく、二人ともその国の株価指数に連動する投資信託を勧めています。成毛さんは日経平均やダウ平均に連動するよう運用している「インデックスファンド一択」と言っています。橋下さんも「ETF(上場投資信託)」を挙げています。複雑性がなく、初心者でも手が出しやすいからです。

僕はこれまで投資はしてきていませんが、僕の友人はサラリーマンをしながら新卒2,3年目ぐらいから株式投資をして、かなり大きな額を稼いでいます。いつの時代でも自分(や自分の家族)は自分で守ることが必要です。更にお金のリテラシーを高める勉強をしていきます。

もう一つ、衝撃的だったことは、アメリカの大学の学費。2019年度の私立大学の平均授業料は3万6900ドルで、日本の4倍以上するそうです。そして約7割の学生が学費のためにローンを組み、平均約4万ドルの借金を背負って社会に出るとのこと。確かに、うまく高給の職につけたらローン返済は可能ですが、つけなかった場合は「借金地獄」となります。

「アメリカでの大学進学は、富裕層以外ではすでにギャンブルだ。」と成毛さんは言っています。

凄い世界ですね。私は、自分の子供の教育が投資、ギャンブルとなることはしません。
(844字)