宗興の本棚

第205週『FIRE 最強の早期リタイア術』 

第205週
2021/9/12
『FIRE 最強の早期リタイア術』 
クリスティー・シェン&ブライス・リヤン著 岩本正明訳 ダイヤモンド社

今話題となっている書であり考え方でもある「FIRE=経済的自立早期リタイア」。受講者の中にも将来の夢に「FIRE」という言葉が見られるようになり、興味が湧き手にとりました。

著書は生まれた中国で貧国を経験しています。農村部で世帯年収が161ドルで、当日の中国平均の3分の1。飢えまではいかないものの、おもちゃがないため医療廃棄物の山から漁っていたそうです。

とても面白かったのが、「(まだ)自らの情熱に従うな。」という章です。著者は「情熱に従うことが人生のカギといった言葉こそが最大の嘘なのです。」と言い切っています。「お金のためなら血も流す」ほどの欠乏マインドをもった著者だからこその言葉です。

親の頑張りで中産階級になった後、物語を書くという夢をもっていた著者は大学の学科選びで迷います。ライティング科か、コンピューター・エンジニア科か。そして心躍ることはないけれども、学費や稼ぎの投資対効果などを分析し、著者はコンピューター・エンジニア科を選びます。

著者曰く、人は変わるものであり、ハーバード大学の研究で1万9000人の参加者のうち、ほぼ全員が過去10年間に自分の情熱を注ぐものが大きく変わったと答えたそうです。確かに私も情熱を注ぐものが変わりました。

「まずはお金を追いかけましょう。好きなことはその後でもできるのです。」
「あなたが私の本を読んでいるのは、私が最終的に作家になれたからなのです。」

とても現実的であり多くの人に希望となるような考え方だと思います。だから売れているんでしょうね。まず稼ぐ!その後自己実現!!
(660字)

宗興の本棚

第204週『しあわせな二人』

第204週
2021/9/12
『しあわせな二人』
引田かおり ターセン著 KADOKAWA

共にデジタルデトックスしている妻からふと薦められた本。リタイアしている夫婦が吉祥寺で送る日々をつづり、「しあわせに暮らす」ための仕掛けや工夫を紹介しています。

はじめにで、お二人はこのように書いています。

「『静かで、退屈な日常』は、実はとんでもなくかけがえがなくて、『ごはんが美味しい』とか、『家でくつろげる』とか、そういうことが本当のしあわせだということ。この年になるとよく分かる。」

「私たちの日常は淡々としていて、本当にありふれた毎日です。でもいちばん大切なのは、そんな時間なのだと分かる年齢になりました。」

デジタルデトックスをして1ヶ月、私もこの感覚が分かるようになりました。これは私の言葉でいえば「日々を味わう」感覚です。電子機器を極力見なくなってから、仕事後の時間感覚がゆっくりとなり、総じて平穏無事の繰り返しがとてもありがたいものと実感できるようになりました。例えば、家族同士の会話の頻度と笑いが増え、つながりの深まりを実感できるように、流し読みをしていた新聞や雑誌も丁寧に一つ一つじっくり読めるように、毎回の食事もこれまで以上においしさや楽しさを味わえるようになりました。

本書から一つ取り入れたことは、「住む場所に『ありがとう!』と言ってみる」ことです。
奥様は誰もいなくても、「いってきまーす」「ただいま」と家に挨拶をします。そして「ありがとう」も忘れないそうです。これまでの家族の動静を家はちゃんと見て、知っていて、その家を大切にされていることが伝わってきます。

「家を世界一好きな場所に」「住まいをパワースポットに」と魅力的な言葉が並びます。確かに家が最高のパワースポットになったらいいですよね。まずは家への感謝から。必ず声に出して「ありがとうございました。」と感謝を伝えてから寝るようにしています。
(757字)