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第183週『モチベーション3.0』

第183週
2021/3/14
『モチベーション3.0』
ダニエル・ピンク著 大前研一訳 講談社

こちらも組織人事のプロの方に「モチベーションはこれがいいですよね」と薦めて頂いた本。再読になるのですが「名著は何度も読む」ということで、今の自分の印象的に残った部分をまとめます。

今回一番大きいのは、
「満足感を得るためには目標設定だけでは十分ではない。正しい目標の設定が必要だ」
ということであり、
エドワード・デシ教授、リチャード・ライアン教授等の追跡研究から導かれた結論です。

教授陣はロチェスター大学の卒業予定者からサンプルとなる学生を選び、人生の目標についてたずね、卒業後1、2年後に学生たちの様子を調査しました。

結果として、目的志向型の目標(内発的目標)の設定をしいた人は、それを成し遂げつつあると感じている人は、大きな満足感と主観的幸福感を抱き、不安や落ち込みレベルはきわめて低かったそうです。

一方、利益志向型の目標(外発的目標)を抱いていた人は、目標を達成している人も学生時代よりも不安、落ち込み、その他のネガティブな指標が「強まった」そうです。

これらより「ある目標を達成しても幸福に影響を与えず、実際には不幸を助長する」と結論づけられました。

ライアン教授の言葉を引用します。
『豊かさを求めて外発的目標を高く掲げる人は、その豊かさを手に入れる可能性が高い。それでも、彼らはやはり幸せではない。』
『高い目標を書考えて達成する人が、不安や憂鬱に取りつかれる理由の一つとして、良好な人間関係の欠如が挙げられる。金儲けや自分のことに精一杯で、愛情や配慮、思いやり、共感など、本当に大切なことにかける余裕が人生にないのだ。』

目標設定は人の意欲を高める重要な手段です。ただ、意欲を高めるには、利益だけでなく、目的と利益を志向するハイブリッド目標が組織内ではベストではないかと考えます。ただ、目的と利益両方を志向した目標を設定しても、利益志向は強くなりがちです。よって日常的に目的に立ち返る仕組みを作ることが必要です。
(805字)

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