宗興の本棚

第70週『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』

第70週
2018/12/1
『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』
雨宮寛二著 NTT出版

現在IT系のお客様にイノベーションをテーマにトレーニングを提供しています。メーカーのイノベーション事例を扱う書籍は多い一方で、IT系を扱うものが少ないこともあり、本書が当該IT企業様の参加者に有益な情報になると考え手にとった本です。

大きく二つの点の印象に残った点について述べます。

まず一つは、3社はイノベーション創出の出発点が優秀な人材の確保としており、採用を経営の最優先課題と位置付けていることです。グーグルは「スマート・クリエイティブ」と称する人材の獲得に注力しており、高度な知識、優れたビジネス感覚、ユーザーへの理解、高いコミュニケーション力等を要したスマート・クリエイティブが自由にものを考えられる環境づくりを設定しています、よって、極力フラット(意思決定者と直接やりとりできる)と機能別組織(横断的に人材や情報を使える)を二大方針にしているそうです。現実的にはこのような超有能人材の採用はどの企業も困難ですが、特別採用枠で破格の報酬での採用が考えられます。また、「個」が重要なことからも、既存社員からそのような「個」が出たときに、引き上げる仕組み(投資・提案制度など)が必要と思われます。

もう一つは、グーグルはオープンイノベーションであり、アップルがクローズイノベーションという対比です。ソースコードまでもオープンにするグーグルは、メーカーや通信キャリア、ソフトウェア開発者など強固なエコシステムを構築しました。結果『アンドロイドは7割近いモバイルOSの市場シェアを獲得』しているそうです。日本ではiPhoneが浸透している印象があり驚きました。実際に調べたところ、日本ではアンドロイド30.4%、iOS68.6%でしたが、世界ではアンドロイド71.9%、iOS19.6%となっていました(株式会社XERAのサイト)。オープンソースがクローズドソースを駆逐する。アップルは自社で質の高いものを提供でき、はじめは市場を席捲しましたが、徐々にグーグルが巻き返したそうです。NPOライフスにおいても、自社だけでなく他社とコラボレーションすることが大切であり、そのためにも資料やメソッドをどんどんオープンにしていきます。自分達からオープンにしシェアしていく事が重要であると再認識しました。
(944字)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です