宗興の本棚

第20週『モチベーション3.0』

第20週
2017/12/16
『モチベーション3.0』
ダニエル・ピンク 著

子供達への自発的な動機をどのように引き出すか。この難題に対して更に知見を深める目的で読んだ本です。

モチベーション1.0は生存を目的とする動機、モチベーション2.0は信賞必罰に基づき引き出される動機、そしてモチベーション3.0は自分の内面から湧き出る動機であり、ルーチンワーク中心の時代は2.0が有効だったが、創造性が必要な21世紀は、モチベーション3.0が必要であるという事が論旨です。

まず印象に残ったのは、冒頭に出てくるハリー・ハーロウの実験(1949)です。八匹のアカゲザルがいる檻に、ピンを抜き、フックを外し、金具を持ち上げるという3手順必要な仕掛けを置いたところ、外部から報酬も罰もないのに、サルは熱心に仕掛けで遊び、実験開始から2週間経って、腕が上がっていました。

一方、ごほうびとして餌を与えた場合、以前と比較し成功率がずっと低くなった。ここからハーローは「課題に取り組む自体が内発的報酬にあたる」という当時では斬新な仮説を立てました。

他にも、保育園でお迎え遅刻の罰金を設けたら、逆に遅刻が増えたという調査。賞がもらえると分かっている幼稚園児のグループは絵を描くことが仕事となり続かず、何も知らせされてないグループは楽しんで絵を描き続けるというレッパーとグリーンの研究等、「交換条件つき」の報酬が自律性(やる気)を失わされるという興味深い調査や実験が数多く載っていました。

ブルームウィルで取り入れたいと思うことは二つあります。一つは20%ルールです。Googleでも行っている、このルールは、自律性をや創造性を促進する目的で、勤務時間の20%を何でも好きなプロジェクトに充てられるものです。週5日のうち丸1日をそこに充てることになり、授業が毎日ある咲心舎では20%は難しいですが、10%=半日を充てるぐらいはできると思います。

もう一点はライフスキルシートの運用です。結論として今のまま塾生に任せるのが良いと思っています。勉強はルーティンワークの部分が多く、モチベーション2.0が効きやすくモチベーション3.0が効きにくいものかもしれません。ライフスキルシートだけは自分で自由に目標設定し行動も決めていく、という事で創造性を発揮して欲しいと感じています。
(928字)

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