第86週
2019/3/23
『アウトプット大全』
樺沢 紫苑著 サンクチュアリ出版
昨年の後半、大きな話題になった本書。「ビジネス書ランキング1位、25万部突破」という紹介を毎日東京FMで聞いていました。その時は食指が動きませんでしたが、社員の高橋が「とてもいいですよ」と薦めてくれて読むことにしました。
筆者は、人の成長はアウトプットの量で決まる、と言っています。逆にインプットはただの「自己満足」と言い切っています。そして、アウトプット(話す、書く、行動する)は運動性記憶であり、読んで覚える暗記の意味記憶とは異なり、身につきやすいとのことです。
また、コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士の実験を出し、成長にはインプットとアウトプットの比率を3:7とするのが丁度よいと言っています。実験では、小3から中2までの100人以上の子供達に「人名年鑑」に書かれた自分物プロフィールを9分間で覚えるよう指示。グループ毎に覚える、練習するの時間割合を違えて結果をみたところ、覚える時間に40%費やしたグループの得点が一番高かったそうです。また年長になると覚える時間に約30%の時間を費やしたグループが高得点だったのこと。
成長におけるアウトプットの重要性は認識していましたが、このように脳科学、生理学的な見地から伝えられ認識に深みが増しました。
加えて、引用された学術研究は、有用なものが多く、
ザイオンス効果ではコミュニケーションの質より量の重要性を、
ヤーキーズ・ドットソンの法則では、適度な緊張がパフォーマンスを高めることを、
ハインリッヒの法則では、ヒヤリハットを重視するリスク管理の重要性を
イリノイ大学の長寿研究では、感謝や幸福度の大切さを、
それぞれ示しています。早速登壇時に、参加者にも伝えていきたいと思います。
「へえ」が沢山ある本でした。ベストセラーの条件の一つは「へえ」が沢山あることかもしれません。
(760字)