宗興の本棚

第23週『大局観』

第23週
2018/1/8
『大局観』
羽生善治著 角川新書

今から6年前2011年渡辺竜王に負けた当時に羽生さんが書いた本です。羽生さんの著書は『決断力』に続き2冊目です。

羽生さんは将棋を指すときに、「直感」と「読み」と「大局観」の3つを駆使するとのこと。大局観の定義は本書に書いていませんが、「経験からくる直感的な俯瞰視野」と考えます。

幾つか特徴を書きます。
大局観により、ぱっとその局面をみて今の状況はどうか、どうするべきか判断する。
大局観により、複雑な状況で割断を下すとき、無駄な読みを排除できる。
大局観は若い人はないが、大局観を身に着けていくと、大筋で間違っていない選択ができる。
大局観は年齢を重ねるごとに強くなり進歩する。
大局観は経験を積めば積むほど精度が上がっていく。
大局観はいかに読まないか。
大局観を身に着けると、未知の場面にも対応できるようになり、失敗を回避できる。
大局観は直感と違うのだが、証明しづらい。
大局観はその人の本質的な性格や考え方が反映されやすい。

大局を「全体の流れ」とすれば、やはり社会・会社・個人の3つの輪で形成したビジョンが大局観(判断材料)の大元になりえると感じます。となれば、やはりビジョンに沿って選択するというのが、難しい苦しい局面で適切な判断になるのでしょう。

最後に、『私がいちばん面白いと感じたのは、いくらやっても勝つためのコツがわからないことだった。そのために、好奇心や探求心がさらにかき立てられて、ますます将棋にのめりこんでゆくのだ』という一説が印象的でした。私は逆に早く答えが欲しい、正解を早く作りたい方です。このあたり違うなと思いました。本当に好きなことにのめりこんでいる人は、その奥深さに惹かれていくのでしょう。
(702字)

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