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第50週『ソシオ・マネジメントVol.2 社会事業家100人インタビュー』

第50週
2018/7/14
『ソシオ・マネジメントVol.2 社会事業家100人インタビュー』
IIHOE発行

ETICの課題で社会起業家100名のインタビューの中から、1名ピックアップし、調査をしました。先輩起業家事例を研究するのは、事業推進する上で重要な取り組みです。

■対象企業
今回対象としたのはケアプロ株式会社(川添高志社長)です。
「革新的なヘルスケアサービスをプロデュースし、健康的な社会づくりに貢献する」をミッションに二つに事業を展開しています。
1.セルフ健康チェック事業
ミッション:生活習慣病予防と医療費の適正化に貢献する
ビジョン:手軽な予防医療サービスの提供を行い、ケアプロ健康サイクルを確立・実現させる
(1)商業内施設にワンコイン健診所(中野)をオープン
(2)全国の健診弱者のニーズに応えるため、イベント型のビジネスモデルへと進化
(3)治験会社への登録により、治験会社から健診費用をもらうモデルを作る
(4)鉄道会社と提携し、エキナカを中心に事業開発(登戸駅)
2.訪問看護事業
ミッション:2020年、看取り難民30万人を救う
(1)ケアプロ訪問看護ステーション東京開業
(2)新卒・新人訪問看護師応援サイト「CAN-GO.com」オープン

■本当に価値を提供したい顧客
過去1年以上健康診断を受けていない「健診弱者」(推計全国3300万人)。多くは自営業者やフリーター、主婦、外国人など。

■顧客が抱えるニーズや課題
健診に行きたいが、長い待ち時間、高い費用、受診機会が少なく、健診にいかない。
―自営業者:健診に行きたいが、待ち時間が長く、忙しくて行く暇がない
―主婦:健診に行きたいが、待ち時間が長く、忙しくて行く暇がない。
―フリーター:健診に行きたいが、保険証をもっておらず、費用が高くていかない。

■ニーズや課題の構造
健診が長い、高い、機会が少ない→健診を受けない→生活習慣病り患数増(国民の1割)
→医療費増(全医療費の3割)

■自社の役割と他団体との役割分担
(セルフ健康チェック事業)
自社の役割:コンテンツ作り(イベントのパッケージ化等)、人員調達(看護師登録)、法整備の促進、業務提携、資金調達
他団体の役割:営業(代理店)、集客・場所提供(鉄道会社等)、サービス機会提供(自治体・NPO)

■促された顧客や社会の変化
2014年自己採血検査が法的に認められる。
2018年累計受診者数46万人。

学びは下記3点です。
1.サービス提供対象者とニーズの明確化
(事実)健康診断を受けていない人が自営業、主婦、フリーターが主であるという事を突き止めたこと。その対象者のニーズが待ち時間が長い、費用が高い、機会が少ないという事を突き止めたこと。
(感想)あらためて対象者とニーズの明確化が社会課題の解決のカギを握ると感じた。特に、全対象者(健診弱者3300万人)の中で、サービス提供対象者(自営業・主婦・フリーター)を絞ることが最重要と考えた。社会課題なので話が大きくなりがちだが、通常のマーケティングの考えをする必要がある。
(行動)まずサービス提供対象者を明確にする。具体的には東京都内の公立中学の校長先生に対してインタビューをしていく現実的にはMAX5名ぐらい。全対象(600人)の中で、サービス提供対象者の校長(学校)が絞られてくると考える。そして、その方々のニーズを把握する。8月夏休みを使って何人かにインタビューをするところから(8月31日迄)。

2.新しい社会課題用語の創出
(事実)「健診弱者」という言葉の創出。
(感想)「健診弱者」という新しく分かりやすい言葉を生み出すことにより、社会課題の認知が広がりやすくした。NPOスーリールが生み出した「両立不安」も同じである。
(行動)サービス提供対象者の校長のニーズを把握した上で、自社サービスの内容と鑑み、新しい社会課題の用語を創出する(2019年3月迄)。「ライフスキル教育」「ビジョンセッション」等現時点で使用している言葉もこの時点で見直していく。

3.積極的な役割分担
(事実)営業(代理店)、集客・場所提供(鉄道会社等)、サービス機会提供(自治体・NPO)など他団体と提携している
(感想)自分達ができることのみに絞ることでスピードや実現性が増すとあらためて感じる。自前主義や完璧主義を捨てることを肝に銘じたい。
(行動)提携自体はすぐに動くことはないが、学校にサービス提供しているNPOなど調べ始めてみる(7月31日迄)。

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