宗興の本棚

第105週『死ぬこと以外かすり傷』

第105週
2019/8/11
『死ぬこと以外かすり傷』
箕輪厚介著 マガジンハウス

麻野君の著書にも出てきて、ラジオでも名を聞いた編集者箕輪氏。刺激的な題名も興味をそそり、搭乗前に手に取りました。

内容は箕輪氏の仕事論です。全体のトーンは、熱く疾走がある本。しかし、爽やかとは程遠いドロドロとした毒気を感じるものです。いわばネパールやベトナムのような発展途上国の土埃が舞う猛暑の中、汗だくで駆け抜ける、そんな本です。刺激があり、心を揺さぶられました。

本書は「情熱の先にある熱狂」の一つに集約されると感じます。

『マスにヒットするコンテンツというのは、突き詰めると特定の誰か一人に鮮烈に突き刺さるものだ。』

『実力がある人間など世の中に掃いて捨てるほどいる。しかし、上位1%の本物の天才以外は換えの効く存在だ。』

『僕より編集という技術が上手い編集者などごまんといるだろう。しかしムーブメントを起こし熱が生むことができる人はほとんどいない。』

(いわゆる成功者を見るとき、間近で見ていていつも思う)『「これだけ血の滲むような圧倒的努力をしていたら、そりゃ成功するに決まっているわ。」と。』

『まずは何かに入れ込め。周りが引くくらい没入して、夢中になって、一点突破で突き抜けろ。』

『努力は夢中に勝てない。』

『目の前の仕事に熱狂し、本なんて書く時間のない人を強引に口説いて本を書かせたい。問われるのはその1冊が誰かの心に深く突き刺さるか。』

私が琴線に触れ、線を引いたこれらの言葉の底流にあるのは「熱狂」です。企業でも咲心舎でも清瀬でも「情熱が大切でその方法がビジョン設定です」と私は伝えていますが、情熱のその先に熱狂があることを本書は教えてくれました。私自身、起業して3年は夢中でした。そこから少し落ち着いた3年を過ごし、ありがたく充実した日々を送れています。ただ、今熱狂に憧れる自分がいます。

これからも自分が停滞した時に読み返し、そうだったそうだったと心を揺さぶり奮起を促す劇薬。そんな本でした。
(800字)

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