宗興の本棚

第78週『1000人確実に集客できる方法』

第78週
2019/1/26
『1000人確実に集客できる方法』
関根典子 ディスカヴァー・トゥエンティワン社

花まる学習会の高濱代表の講演を聴きにいったことがあります。その際、新宿の文化センターに2000名ぐらい集まっていました。たった1回きりの講演ではなく、複数回講演をされている中、1回で2000名も集めるとはと驚嘆したことを覚えています。

どんなに良いコンテンツをもっていても、伝わらなければ広まっていきません。今後「ライフスキル教育」でイベントを行うなども考えられ、今のうち集客施策の知識を深めておこうと手に取りました。

特に印象に残った項目3つを列記します。

一つ目は、イベントプランニングシートです。イベントのテーマ、目的、根拠、イベントの魅力など15個の項目を順番に書いていくと、企画書が出来上がります。体系化され且つ各項目自体に納得感があるため、このシートをどんなイベントを企画する際にも活用すれば、Planの品質は担保できると感じます。

二つ目は、日頃から情報発信を積み重ねることです。中学時代の友人が30年ぶりに訪ねてきて、再会を喜びあい昔話に花が咲いていたのですが、最後に「今度選挙に出る」と言われ、興ざめした方の話が載っていました。確かに何の音沙汰もないのに、自分が何か頼みたいときだけ連絡してくるのは都合の良い話です。日頃からSNSなどを含め、近況報告など時折でも発信をしていれば相手に安心感をもたらすと著者は言っています。近況を少しでも継続的に発信していくことは、以前から考えていました。個人ブログも開設しているので、どう活用していくか、ゆるりと考えていきます。

三つ目は、「マグネットパーソン」に協力してもらうことです。マグネットパーソンという用語が面白いなと思いました。多数のネットワークをもち人をひきつける人です。ぱっと思い浮かぶのはFB5,000名の登録がある人かなと思いました。
(748字)

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第77週『ファンベース』

第77週
2019/1/19
『ファンベース』
佐藤尚之著 ちくま新書

咲心舎では大量の宣伝をするより、在籍&卒業した塾生と保護者様を大切にしながら、口コミで集客をしていくのが理想的なマーケティングモデルであると考えていました。本書はその考えにぴったりと適合する手法だと感じ手に取りました。

読後感としては、「ファンベース」は心底私達に性が合う手法だと感じます。ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンの支持を土台にしながら、中長期的に売上や価値を上げていく考え方です。人口減少下の日本の中で、新規顧客の獲得難易度は益々高まっています。新規顧客を増やし、長く安定して商品が売れ続けるために、一過性の宣伝・販促活動より、ファンベースの施策が効果を生むと著者は論じています。

ファンベース施策の最初の段階でのキーワードは、「共感・愛着・信頼」です。

・「共感」を強くする
Aファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
Bファンであることに自信をもってもらう
Cファンを喜ばせる。新規顧客より優先する
・「愛着」を強くする
D商品にストーリーやドラマを纏わせる
Eファンとの接点を大切にし、改善する
Fファンが参加できる場を増やし、活気づける
・「信頼」を強くする
Gそれは誠実なやり方か、自分に問いかける
H本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
I社員の信頼を大切にし「最強のファン」にする

この中で4つまず取り組みたいことを列挙します。

A.ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
『ファンが一番喜ぶのは「支持している価値」のぶれない改善である』と著書は言っています。咲心舎では毎年の保護者アンケートで、咲心舎の良さを記入頂いています。その中には「熱心なところ」等共通して書いて頂いている価値があります。ここに、こだわりをもち磨いていくこと、そして「熱心なところ」を含め保護者様・塾生(ファン)から傾聴した言葉をもとに自社サイトの改善に取り組みたいです。
「ファンミーティングの開催」も著者は薦めていますが、これは我が意を得たりであり、以前に考えていました。咲心舎は保護者様や塾生と一緒に創る塾と考え、ファンミーティング的なものの開催も夢想していました。どこかで実現したいと思います。

Bファンであることに自信をもってもらう
著書曰く、ファンは案外自信がないとのこと。自信をもってもらうには、オーガニックなファンの言葉をもっと他のファンに届けることが有効と仰っています。顧客の「自分の言葉」が周りの類友や友人に届くことを「オーガニックリーチ」と呼びます。いわゆる「口コミ」であり、家、車、大型家電など、購入する機会が中々ない&高額なものほど、類友からの言葉が効くとあります。オーガニックな他の保護者様や塾生の名前の声や出来事を通信やブログなどでより一層伝えていくことは意識的に取り組んでいけることと感じます。

D商品にストーリーやドラマを纏わせる
H本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
実はこの二つは類似のものであり、要は私たちのこだわりや仕事の内容を更に発信することと捉えています。ライフスキル教育の開発ストーリーや、合格秘話を発信することも大切ですが、カリキュラム作成、授業準備、もっかんシートのチェックなど、私達は日常で丹精こめていることも多くあります。これらを発信することは、ブログ等ですぐにできると思います。

ファンベースは、『自分たちが生み出し、愛してくれている商品。その価値を支持してくれ、愛用してくれているファンの笑顔を作ることほど、うれしく、誇らしく、やり甲斐のある仕事は他にないだろうか。』という言葉に凝縮されていると思います。

これまで、保護者様や、企業研修など私はこの喜びを感じながら、事業をしてきました。任せて頂いた保護者様の子供、共感して頂いた経営者様の社員と接し、伸ばしていくことは本当にやりがいがあり、無上の喜びです。まずは良質なコンテンツありきで、塾生・保護者様の満足を追求することとは変わりませんが、マーケティングにおいてもこのファンベースで顧客を大切に顧客と共にじっくりと進めていきたいです。
(1649字)

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第76週『教育行政と学校・教師』

第76週
2019/1/12
『教育行政と学校・教師』
髙橋 靖直著 玉川大学出版部

公教育にライフスキル教育を展開するには、行政と共に進めていく必要があります。教育行政の構造を理解する目的で、本書を手に取りました。

まず教育行政の定義は、『国及び地方公共団体が教育政策実現のために行う規制作用、助成作用および教育事業の実施を意味する。』とあります。これで教育行政の行うことをシンプルに規制と助成という枠組みで把握することが可能になりました。

そして、日本の教育行政の歴史は大変勉強になりました。
簡潔に言えば、戦前は勅令主義、戦後は法律主義。戦前は中央集権、戦後は地方分権。と表すことができます。

まず日本の教育行政は1871年の文部省設立、1872年の「学制」の頒布に始まります。中央政府は教育の内的事項を決め、地方政府は学校の設置など外的事項に関わります。教育は天皇の命(勅令)ということで、帝国議会からは切り離され、内容は文部省と枢密院を中心に決められ強烈な官僚主導のものとなりました。

戦後はGHQにより教育改革が実行されました。「民主化」「地方分権化」「一般行政からの独立」の三原則を体現したのが、1947年の「教育基本法」です。本書の中でも教育基本法の条文が随所にでてきており、教育行政ひいては教育自体も法律に基づくものという印象を持ちました。この教育基本法の目玉は、地域の希望を反映させる形で、教育委員会制度の設置と考えてよいと思います(あわせて教育委員会法も成立)。教育委員会の委員を地域住民の選挙で行う、ただし教育長は免許をもった専門家で、「素人支配と専門家指導」の組み合わせで運営を行う仕組みにしました。

しかし、冷戦の影響を受け1956年には教育委員会法が廃止され、「地方教育行政法」が制定されます。行き過ぎた地方分権の是正を目指し、教育委員の選任を首長による任命制に、教育長の免許制が廃止されあいまいなものになりました。また、文部大臣―都道府県教育委員会―市町村教育委員会の連携を強化し、教育委員会からの予算作成権限の委譲を行いました。一言でいえば、首長に従属することになったと捉えてよいです。

冷戦が終了後、1998年中央教育審議会から「地方分権と学校の自主性確保」が提唱され、
1999年国の地方に対する「地方分権一括法案」が成立しました。教育長任命承認制度の廃止など、地方分権と規制緩和が大幅に実現された。ちなみに2001年文部省は文科省となります。

公教育に関わる方々と接する上で、これらの歴史をふまえた上で、目に見える形でなくともとても有意義なものと感じます。何度も見返し、引き続き知見を深めていきます。
(1068字)

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第75週『小さな会社生き残りのルール』

第75週
2019/1/6
『小さな会社生き残りのルール』
市川義彦著 長崎出版

厚く重い本が続いたこともあり、少しライトなものをと手に取りました。著者の市川さんは、九州の警備会社の社長。24歳の時に立ち上げ、幾多の試練を越え、現在自社ビル、社員寮を保有し、完全無借金経営をされています。

本書はデフレ経済下で小さな会社が生き残る「守りの経営」を説いた本です。「小さくても強い会社」になる経営者のノウハウが書かれています。しかも、強い口調で。ノウハウというより「喝」でしょうか。この喝の中で特に心に響いた3つを書きます。ちなみに装丁は黄色、イラストも落書きのようなかなり「刺激的」な本です。

まずは「小さな会社の経営者にプライドは不要」。経営者は先頭に立って、留保金を資本金の10倍になるまで、先頭に立って寝る間も惜しんで働け。役など一銭にもならないから引き受けるな。車や装飾品なども安くてよい。そもそもデフレ時代に売上拡大路線が偉いと考えるな。「社長は良心に従うサムライ」であれ。など、見栄やプライドなどどうでもよいという主張が何度も出てきます。それだけ経営者がプライドに執着すること、それが会社を衰退させることを自他の経験から実感しているのでしょう。この喝は私にとって以前だったら「耳が痛い」ものでしたが、今は不思議と心地が良いです。私は自社のミッションの遂行、ビジョンの実現にまい進すればよいわけで、段々体現し始めているのかもしれません。

次に、「中真面目」。真面目過ぎると頑固で融通がきかず、息も詰まる。遊びなども人並みにやるが、分を守って決して深入りをしない「中真面目」が一番良いとあります。私は全て仕事に結びける仕事一辺倒人間であり、最近ようやく趣味ができました。それでも「ビジョン実現に向け、趣味に時間使ってよいのか?」と自問する時があり、この「中真面目」で安心しました。

最後に、経営者に求められるリーダーシップとは実は「社員の支持があるかないか」であること。上の二つも要は社員に支持を得られるかに帰結すると思います。私は社長が社員から支持を得ていない会社は、お客様に対しての価値も最大化しないと考えています。年1回の全員サーベイはやはり続けていきたいです。
(892字)

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第74週『学習する組織』

第74週
2018/12/31
『学習する組織』
ピーター・M・センゲ著 英治出版

約4ヶ月かけて少しずつ読み進めてきた本書。この本を700字程度でまとめるのは困難であり、今回は「学習する組織」を構築する5つの原則の一つ「自己マスタリー」についてのみ書きます。

学習する組織を一言でいえば「変化をし続けられる組織」であり、トップに依存することなく、組織の至るところで個の能力と意欲が解き放たれ最大化し続けている組織、と私は捉えました。その組織の構築のために、まずセンゲ教授は「自己マスタリー」というディシプリンを挙げています。マスタリーは「熟達」という和訳がよく出てきますが、本書では「心技体を磨いていく過程」と意訳した方がしっくりきます。

『自己マスタリーというディシプリンは継続的に私たちの個人のビジョンを明確にし、それを深めることであり、エネルギーを集中させること、忍耐力を身に着けること、そして現実を客観的に見ることである。』
『自己マスタリーのディシプリンは、まず私たちにとって本当に大切なことを明確にし、自分の最高の志に使える人生を生きることである。』とあります。
つまり、単なるスキル向上にとどまらずに、能動的に自分の人生をより良くし続けていくことを指しているのだと思います。

そして自己マスタリーと個人ビジョンはセットであり、ビジョンと今の現実のはっきりしたイメージを対置させたときに「創造的緊張」と呼ばれるものが生まれる、とあります。『自己マスタリーの本質は、自分の人生においてこの創造的緊張をどう生み出し、どう維持するかを学習することだ。』と言っています。自己マスタリーが高いレベルの人にとって、ビジョンとは単なる良い考えではなく天命となると言っていて、このあたりも腑に落ちます。
また、感情的緊張と創造的緊張を混同してはいけないともセンゲ教授は言っています。感情的緊張=不安に耐えられないとき、ビジョンの引き下げが起こりやすいからです。

私達が提唱している「ライフスキル教育」も、個人ビジョンありきです。自分の価値観をもとにした心の底からありたい姿を明確にし、随時更新していく力が成熟社会で幸福度を高めるには必要と考えています。なぜなら成熟社会は社会が生きる目標や目的を示してくれず、自分で考える必要があるからです。本章を読み、学術的研究のパワーにまた一つ背中を押してもらえた感じがします。
(957字)

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第73週『伸びる子の育て方』

第73週
2018/12/22
『伸びる子の育て方』
漆紫穂子著 ダイヤモンド社

漆先生ともお会いする予定があり、本書を手に取りました。漆先生は、品川女子学院の中等部新入生が5名という危機的状況から、7年間で偏差値を20ポイント以上高め、入学希望者が60倍になるまでに導きました。また生徒が28歳の時から逆算したライフデザイン教育を推進し、企業とコラボレーションし課題解決型の授業も実施されています。
今回は親目線を含め3つ程、心に残った部分を列記します。

一つ目は、子供の成功体験を認めて、ほめることが、未来のために達成感や自信の「貯金」につながるとのこと。これは「自信貯金」と呼んでもいいと思います。どこの教育本にも承認の重要性は書かれているのですが「貯金」という概念が素晴らしいと思いました。会食に同席したLIFULLの井上さんからも「あまり出来がいい方ではなかったけど、何かできたときは母親がめっちゃほめてくれた」と仰っていたことで、承認の大切さを再認識しました。また、子供が壁にぶつかったときに、過去の成功体験を話すことで「自信貯金」が想起され、自己肯定感の芽が育つという話も印象的でした。最近4年生の長女への承認が少なくなっていた自覚があったので、意識的に承認をしていきます。

二つ目は、親が過保護・過干渉を卒業し、むしろたくさんの失敗と、もめ事をプレゼントすること。朝、中々起きられない子供と話し合い「毎朝1回だけは起こして欲しい、その後自分で起きる」と合意したところ、自分で起きてきたエピソードが載っていました。そして『子供がひとりで起きられる力を、いままで自分が奪っていたことに気づきました。』という保護者の言葉が印象に残りました。もっとかわいい我が子に「旅」をさせます。

三つ目は、自己肯定感はやり直しがきくということ。漆先生自身も苦い思い出をもち、それが自己肯定感を低めていたそうです。周りからは「え、あなたが?」と言われたそうですが、自己肯定感はあくまで自己評価=内的評価に起因するものです。漆先生はトライアスロンの大会に出場し完走したことで、自分の約束を後回しにしないことが達成でき、自己肯定感が高まったそうです。『自己肯定感はいくつになっても、育てることができるのです。私自身、それを手に入れることができたのは、つい昨年のことだったから』という言葉から温かさを感じます。自分自身との約束、私を守っていきます。
(973字)

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第72週『坂の上の坂』

第72週
2018/12/15
『坂の上の坂』
藤原和博著 ポプラ文庫

近日藤原さんとお会いする予定で、丁度良い機会なので以前から読みたいと思っていた本書を手に取りました。藤原さんの本は全部で5冊目。一人の作家として私が最も多く読んでいる方であり、それは思想背景が通底するからです。成長社会から成熟社会へ。藤原さんと私の思想背景はこの社会構造の変化にあります。

この変化に対応して、幸福になるにはどうすれば良いか。ポイントとなる所論を幾つか列記します。

『これをやっていればいい、というみんなが追いかける一般解や目標には、あまり意味がなくなってくる。自分が何を追いかけたいのかが問われてくるのです。そうなれば、一人一人は間違いなく「考える」ことを求められるようになります。すなわち自分で考えること、「哲学」が必要になってくる、ということです。』

『人が幸せになるためには、自分自身で「何が幸福なのか」を定義しなければならない。』

『みんな一緒に「上手く生きる」という高度経済成長的なライフスタイルから、それぞれ一人一人が豊かさを楽しむライフスタイルへの移行です。』

『自分なりの「幸福論」を自分自身で編集しつづけている人は、すでに幸せになっている。』

これらが共通提起しているのは「考える」ことではないでしょうか。「ライフスキル教育」の本質も自分の今を、未来を自分の頭で考えることであり一緒です。

ただ、これだけ藤原さんが言い続けていても、成熟社会という言葉自体を知っている人、行動する人は少ない印象です。言葉を知っている人は管理職研修でも3割ぐらい。それは成熟社会を実感する機会がないからだと思います。私の使命は少しでも「成熟社会」のリアルを感じ、考え行動するリーダーを増やす事。より伝わりやすくなるよう、冬休みにもう一度思想の整理をしていきます。
(732字)

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第71週『勝ち続ける理由』

第71週
2018/12/9
『勝ち続ける理由』
原晋著 祥伝社

青学原監督の著書はこれで3冊目になります。前の2冊は初優勝の後、そして今回は連覇の後に書かれた本です。題名通り勝ち続ける秘訣をつかみたく手に取りました。まず、勝ち続けるための前提があります。それは強い組織を作ることです。これは原監督の前著にもあったステージ論です。青学も初優勝までに11年かかっています。その上で、ポイントは大きく二つあると感じました。

まず大切なことは「準備とこだわり」です。2015年全日本に負けた時、青学が猛練習したかといえばそうではなく「当たり前のことを当たり前にやろう」と訴え確認しただけだったそうです。『準備をきちんとやって、負けるのであれば、それは仕方のないことだ。しかし、準備を疎かにして負けたら悔いが残る。』とあるように、強いチームには余計なことは必要なく、計画通りに粛々と進めるのみということでしょう。結果、箱根駅伝を連覇しています。この中で「細かいことを言い続けること」が大切ともあります。準備をやり抜くには、細かいことを言い続けることが必要なのでしょう。

もう一つは大義をもって、ブレずに進むことです。2004年の就任当初に原監督が掲げた大義は「箱根駅伝出場」。次は「箱根駅伝優勝」。現在の大義は「陸上界を華やかにすること」です。目標に向かう大前提として、大義を掲げそれを実現するためのプログラムをつくり、実現していくスタイル。その際、大義が3割の人に賛同を得られるものであれば推し進めるそうです。

著書三冊それぞれ活用できる所がありました。特に運用を開始した目標管理シートはシンプルで効果が期待できそうです。ステージ論も視野に入れ、咲心舎を発展させていきます。
(698字)

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第70週『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』

第70週
2018/12/1
『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』
雨宮寛二著 NTT出版

現在IT系のお客様にイノベーションをテーマにトレーニングを提供しています。メーカーのイノベーション事例を扱う書籍は多い一方で、IT系を扱うものが少ないこともあり、本書が当該IT企業様の参加者に有益な情報になると考え手にとった本です。

大きく二つの点の印象に残った点について述べます。

まず一つは、3社はイノベーション創出の出発点が優秀な人材の確保としており、採用を経営の最優先課題と位置付けていることです。グーグルは「スマート・クリエイティブ」と称する人材の獲得に注力しており、高度な知識、優れたビジネス感覚、ユーザーへの理解、高いコミュニケーション力等を要したスマート・クリエイティブが自由にものを考えられる環境づくりを設定しています、よって、極力フラット(意思決定者と直接やりとりできる)と機能別組織(横断的に人材や情報を使える)を二大方針にしているそうです。現実的にはこのような超有能人材の採用はどの企業も困難ですが、特別採用枠で破格の報酬での採用が考えられます。また、「個」が重要なことからも、既存社員からそのような「個」が出たときに、引き上げる仕組み(投資・提案制度など)が必要と思われます。

もう一つは、グーグルはオープンイノベーションであり、アップルがクローズイノベーションという対比です。ソースコードまでもオープンにするグーグルは、メーカーや通信キャリア、ソフトウェア開発者など強固なエコシステムを構築しました。結果『アンドロイドは7割近いモバイルOSの市場シェアを獲得』しているそうです。日本ではiPhoneが浸透している印象があり驚きました。実際に調べたところ、日本ではアンドロイド30.4%、iOS68.6%でしたが、世界ではアンドロイド71.9%、iOS19.6%となっていました(株式会社XERAのサイト)。オープンソースがクローズドソースを駆逐する。アップルは自社で質の高いものを提供でき、はじめは市場を席捲しましたが、徐々にグーグルが巻き返したそうです。NPOライフスにおいても、自社だけでなく他社とコラボレーションすることが大切であり、そのためにも資料やメソッドをどんどんオープンにしていきます。自分達からオープンにしシェアしていく事が重要であると再認識しました。
(944字)

宗興の本棚

第69週『オフィスのごみを拾わないといけない理由をあなたは部下にちゃんと説明できるか?』

第69週
2018/11/24
『オフィスのごみを拾わないといけない理由をあなたは部下にちゃんと説明できるか?』
島田慎二著 アスコム

経営理念×PDCAで会社経営をする。これは私の会社経営の基軸となる考え方です。千葉ジェッツを集客数日本一にした島田さんはこの考え方で経営をされています。前著より更に具体的にその経営手法を知るために手に取りました。

本書を読んで一番強く感じたことは、経営理念をより一層大切にし、メンバーの理解、伝達、体現度を着実に高めたいということです。経営理念は私達の存在意義です。メンバー一人一人がどんな業務に携わっていても、私達の存在意義である「自分の道を自分で拓ける人を創る」ことを理解し、語れ、体現できているか。これはまさに経営の最重要ポイントですが、私の努力不足で100点がつけられません。現在毎週のBミーツで理念を含め経営計画書の語り合いをしていますが、ミーツの改訂をします。同時に、経営理念や方針をより強く自然に自分のものにできるよう施策を充実させます。経営理念が真に腹落ちし自分のものになるにはある程度時間も要するので、腰を据えて取り組んでいきます。

次に、計画のステージ分けが印象に残りました。計画は3~5年の中期で考え、幾つかのステージに分けることが大事であると島田さんは言っています。例えば、年間集客数を1万人増やすとした時に、1年目は集客ターゲットの見極めに全力を注ぎ会場を埋める。2年目は会場のエンタメ性向上に注力し、満足度を高める。3年目はファンクラブの活動内容を充実させてリピーターを増やすといった具合に。これは選択と集中であり、絶対にできることを見極め徹底的にやりきるのが重要ということです。NPOの3ヶ年計画は立っており、あとは咲心舎事業の3ヶ年計画を英克、浩子と一緒に作っていきます。
(700字)