宗興の本棚

第29週『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』

第29週
2018/2/18
『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』
本間浩輔著 ダイヤモンド社

リンクのマネージャー時代、私はメンバーと毎週業務の問題解決をする1on1をしていました。また月に1回は必ずキャリアシートを元に、成長促進の1on1を行っていました。このやり方は非常に奏功しました。毎期、高い目標でしたが私のチームは目標達成をし続け、且つメンバーが育ちMVPを獲得する者もいました。

この成功体験をもとに自身で編み出した1on1を企業研修でも参加者に推奨しています。本書を手に取った理由は、より1on1の知見を入れ技術を高めることと、Yahooという有名企業を好事例として研修で1on1を促進するためです。

結論としては、既に行っていることが多く、目新しい技術は取得できせんでした。ただ、Yahooは1on1を「経験学習の促進」「才能と情熱を解き放つ」という目的の明確にしています。研修で参加者が会議体の整理をする際に、この目的の明確化を強調します。

また、レコグニションという考え自体は、とても共感できました。相手が「業務量が多い」と感じていたら、客観的に業務量は多くなくとも「そう感じている」とまず認識することが大切です。レコグニションなしには建設的な対話や議論はできません。

具体的行動としては、社員や塾生に対してやはりまず聴き、考えや感情の認知をすること。引き続き行っていきます。

最後に、研修の課題図書まではいきませんが、参考図書としてこの本を組み入れたいと思います。
(593字)

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第28週『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』

第28週
2018/2/12
『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』
駒崎弘樹著 ちくま文庫

社会起業家、駒崎氏の体験本です。現在37歳の駒崎氏は慶応在学時にITベンチャーの経営をする中「病児保育問題」を知り、社長を辞し、解決のためNPO法人フローレンスを設立。今や駒崎さんは社会起業家の代表格です。ビジョン実現に向け社会企業の実情やマネタイズ方法のヒント掴むため手に取りました。

マネタイズの仕方は少し掴んだ程度でしたが、決意を新たに出きました。NPOの役割は、行政や民間が担えない所の問題にリーチする役目です。ただ、いつまでもその分野が解決されない事が多く、その理由はマネタイズできず皆がパワーが注げないからです。そこで出てくるのが社会起業家。社会起業家の使命は問題にリーチする且つ市場を創ることです。当時子供が病気になった時預ける先はボランティアで小児科が扱う保育所ぐらい。駒崎氏は試行錯誤を繰り返す中、マネタイズする方法を編み出し、国や他のプレイヤーが追随し市場を創ります。

駒崎氏をはじめ志と開拓力をもった方々によって土台が築かれた結果、社会問題が解決されていきNPOや社会企業の認知度が高まりました。このような先達の方々の上で私は何をするか。「自分の道を自分で拓く」こと。自分が必要、したい思う事をするだけです。

私の今年の動きは3つです。
1.ライフスキル教育の技術を磨いていく
2.ICT分野の勉強を進め、ライフスキル教育との組み合わせを編み出す
3.マネタイズを学習し実践していく
(596字)

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第27週『「普通の人」が上場企業をつくる40のヒント』

第27週
2018/2/4
『「普通の人」が上場企業をつくる40のヒント』
井上高志著 ダイヤモンド社

恩師であるLIFULL(前ネクスト)の井上さんが、2006年東証マザーズ上場時に出された本です。先日井上さんが「世界平和」を語る姿を見て、今の自分に大切なものを確認しようと手にとりました。

読み返す中で、目に留まった所は、井上さんも多くの方に援けられてきているという事です。創業時、叔父さんが事務所を無料で貸してくれた。資金ショート時に、前職の先輩が100万円無担保で貸してくれた。高校時代の同級生が技術代表として入ってくれた等。

40のヒントの中で、これら「つながり」を表すものは4つ出されています。「よき理解者を増やすには」「あなたには協力者何人いますか」「損得勝ち負けより大切なものは」「『縁』の大切さを感じたことはありますか」。共通するのはビジョンを語る、意志を伝える、信頼を
積み重ねる、という事と感じます。

昨年「夢・ビジョン」を語ってない(語れない)1年でした。だから私は苦しみました。今年からこれまで以上に「夢・ビジョン」を語る機会を「自ら」創っていきます。月3~4回外部の方と会食などをし語っていきます。

一方で、リーダーが社内にすべき2つの事として、「ビジョンを共有する」「戦略を練り、戦術を示す」とあります。外にビジョンを語るだけでなく、仲間の社員達にビジョンを共有し続けることが大切とあらためて思います。具体的には毎週月曜日のBミーツの内容を少し変更し、ビジョン共有を入れていきます。
(599字)

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第26週『子供が夢を確実に叶える方法』

第26週
2018/1/27
『子供が夢を確実に叶える方法』
伊藤美乃り著 スターツ出版

卓球のみう・みまの一人、伊藤美誠選手のお母様が書いた本です。美誠選手は「2016年オリンピックに出場」「2020年で個人・団体で金メダル」という目標を掲げ、2016年は銅メダルを獲得しています。実来と宗真が夢を叶える支援に参考になると思い手に取りました。

私が驚いたのはまずその練習量です。「世界チャンピオンになる」という夢の為に、美誠選手は3歳の時は平日3時間。4歳からは1日7時間以上毎日お母様と練習をしていました。内容は基礎練習中心。美誠選手は「嫌だった。母は『鬼』だった。」と回顧しています。この特訓は12歳まで続きます。正直言葉が出ません。子供の頃から睡眠時間5~6時間という、やや異常な状態です。しかし実来も宗真も、そして僕も大成するには、どこかでこのクラスの「圧倒的努力」が必要なのでしょう。

また反抗期の対応も印象に残りました。実来も宗真も反抗期は来ます。親というだけで「拒否」であり、美誠選手も小6から始まったそうです。お母様は3ステージ、本気で傷つく、本気で話し合う、笑い飛ばす、で対応していました。まず本気で傷つく。その言動が他人にどれだけ不快な思いをさせるかを分かって欲しいと。要は全身全霊でつきあうことが大事なのです。

最後に「世界チャンピオンになる」は美誠さんが自分で決めた事です。お母様から「なりなさい」と言われたことがないそうです。やはり自分で決める。これが大事です。

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第25週『人を育てるアドラー心理学』

第25週
2018/1/20
『人を育てるアドラー心理学』
岩井俊憲著 青春出版社

人材育成の専門家としては押さえておこうと考え手に取った本。特に最強のチームはどう作られるのかという所に興味がありました。

全体感としては、アドラー心理学のベースにあるのは、自己受容、信頼感、貢献感。つまり開放型マネジメントと理解しました。ただ、内容は、数々のコーチングの本などで叙述されている事とほぼ変わらず斬新さはありませんでした。逆にこのアドラー心理学が脚光を浴びるということは、それだけ旧来の統制型マネジメントが根強いとも感じます。

そうは言っても取り入れたいことが出てきました。下記2つです。

まず一つ目は、相手の私的論理を重視する。おそらくこれがアドラー心理学のベースの行為と考えます。部下も塾生も自分なりの考えや価値観があり、ここが分かりあわないと出発しません。よって聴くことが重要であると思います。

二つ目は、共同体感覚を高めること。つまり居場所があるということ。これは私が想っている子供の「第三の場所」になると同義です。英克、浩子にも共同体感覚を。塾生達にも共同体感覚を持って欲しいと感じます。

第三の場所という最高の場所作りのためにも、本書にあった最強組織の4つの手法を皆で実践していきたいです。1.「ヨイ出し」で勇気づける。2.「プロセス重視」で勇気づける。3.「失敗から学ぶ姿勢」を身につける。4.「感謝」で勇気づける。これを私達同士も塾生にも行っていきたいと考えています。
(592字)

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第24週『辻井伸行 奇跡の音色』

第24週
2018/1/14
『辻井伸行 奇跡の音色』
神原一光著 アスコム

一流のピアニスト辻井伸行さんの歩みを知りたくて手に取った本。

YouTubeで彼の演奏を初めて聴いた時感涙しました。正直盲目でよくぞここまでという個の尋常ならざる努力に対して感動し、人の可能性に震えが出ました。そして、何回かみるうちに、辻井さんの素晴らしい音色自体に感動するようになりました。

辻井さんは、14歳の時ショパンコンクールの批評家賞を、そして20歳の時ヴァンクライバーン国際コンクールで優勝します。盲目というハンデをおった彼が一流になった傍には、やはり優れた指導者がいました。それが恩師・川上昌裕さんです。川上さんは自らピアニストとして東京音大を主席で卒業し、世界的ピアニストを目指し、ウィーン市立音楽院に進学。その後挫折を経験しながら、指導者として東京に帰った際、辻井さんと出会います。目の見えない辻井さんに対し、譜読みテープの作成をはじめ魂の指導で6歳から18歳高校卒業までの12年間共に歩みます。

私は辻井さんというより、川上先生に感情移入しながら読んでいました。ピアニストといいながらアルバイトで生計を立てている自分。東京に帰るか夢を追い続けるかの時に、このままでは趣味の域を出ない。もっと人の役に立つものにしなくてはと東京に帰る決意の所は、苦悶が私自身と重なりました。

ちなみに辻井さんの才能はポジティブ思考(明るさ)。何が起きても停滞も後退もなく前進と捉えられるのだそうです。
(596字)

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第23週『大局観』

第23週
2018/1/8
『大局観』
羽生善治著 角川新書

今から6年前2011年渡辺竜王に負けた当時に羽生さんが書いた本です。羽生さんの著書は『決断力』に続き2冊目です。

羽生さんは将棋を指すときに、「直感」と「読み」と「大局観」の3つを駆使するとのこと。大局観の定義は本書に書いていませんが、「経験からくる直感的な俯瞰視野」と考えます。

幾つか特徴を書きます。
大局観により、ぱっとその局面をみて今の状況はどうか、どうするべきか判断する。
大局観により、複雑な状況で割断を下すとき、無駄な読みを排除できる。
大局観は若い人はないが、大局観を身に着けていくと、大筋で間違っていない選択ができる。
大局観は年齢を重ねるごとに強くなり進歩する。
大局観は経験を積めば積むほど精度が上がっていく。
大局観はいかに読まないか。
大局観を身に着けると、未知の場面にも対応できるようになり、失敗を回避できる。
大局観は直感と違うのだが、証明しづらい。
大局観はその人の本質的な性格や考え方が反映されやすい。

大局を「全体の流れ」とすれば、やはり社会・会社・個人の3つの輪で形成したビジョンが大局観(判断材料)の大元になりえると感じます。となれば、やはりビジョンに沿って選択するというのが、難しい苦しい局面で適切な判断になるのでしょう。

最後に、『私がいちばん面白いと感じたのは、いくらやっても勝つためのコツがわからないことだった。そのために、好奇心や探求心がさらにかき立てられて、ますます将棋にのめりこんでゆくのだ』という一説が印象的でした。私は逆に早く答えが欲しい、正解を早く作りたい方です。このあたり違うなと思いました。本当に好きなことにのめりこんでいる人は、その奥深さに惹かれていくのでしょう。
(702字)

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第22週『小さな習慣』

第22週
2018/1/1
『小さな習慣』
スティーヴン・ガイズ著 田口未和訳 ダイヤモンド社

著者は2004年より自己成長ストラテジーの調査と執筆を行っています。

内容としては、所謂自己啓発本ですが、本書はモチベーションを使わず、「腕立て伏せ1回」という馬鹿馬鹿しいぐらい小さな目標を行うことを薦めています。脳が習慣と認めれば、ストレスが起きず行動は継続する、という脳の原理に基づき、その為にも反復とご褒美の二つが必要ということを伝えています。小さ過ぎて失敗するはずのない目標は、もっとやりたいと自分に思わせることができ、またやらない日はないので自己嫌悪のストレスがないのです。確かに腕立て伏せ30回と決め、毎日苦痛に顔を歪め1ヶ月後にはやめているよりも、1回や5回や30回の日もある
が、毎日継続している方が、優れています。

これは咲心舎の習慣化に適用できる考え方だと思います。具体的には、二つの段階に分けられます。最初の段階で、小学生は1日1分だけ、もしくは1日100マス1枚など、必ずできる「小さな目標」を立ててもらう。気分が良いときは、100マスだけでなくCOREも行えばよいのです。
次の段階としては、徐々に習慣化してきても、目標を上げないことです。最低1日1分だけ、としておけば、ストレスが自分にかかることなく、自律的に勉強量を決めできる事が増えていけば、勝手に量も増えていくからです。本書是非浩子と英克にも読んでもらい、自分や塾生の習慣づけに適用して欲しいと思います。
(590字)

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第21週『人生を楽しむ人が勝利者になる』

第21週
2017/12/24
『人生を楽しむ人が勝利者になる』
武宮正樹 著

囲碁界のプロ棋士、武宮氏の著書。現在66歳の武宮氏は「宇宙流」と言われる独特なスタイルを確立し、名人・本因坊のタイトルをとる1流の棋士です。12月自分の懊悩が極致に達した時に、「楽しんでいる1流」という感覚に導かれるように手を取った本です。

結論としては、前半の囲碁に関わる所は読みごたえがあったのですが、後半の世の一般論的なものになると、途端に魅力が失われ、読む気が失せてきました。ただ、その中でも強く感じる部分がありました。それは、『感じるままに生きていると道は拓けていくのです』という言葉です。プロは何手先も読んでいる訳ではなく、感じて浮かんだ手が間違っていないのかどうかを確認しているとのこと。読んでいたら遅く、「読むのは音速、感じるのは光速」という事でした。そして皆多かれ少なかれ感じているはずなのに、それを素直に言動として出す事ができない人が多く、勇気をもって実行した方が良いと著者は言っています。

自分に置き換えれば、「子供達へのライフスキル教育に時間を使いたい」という気持ちを閉ざすことなく解放し、実行していくことです。金曜日に伝えた通り、英克、浩子に実務・業績を任せていき、ライフスキルの洗練化に注力することです。

最近「感覚的に〇〇」という言葉をあえて封印してきましたが、もっと多用しようと思います。まず感じてみる。それが自分が生き生きとするために大切と思います。
(589字)

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第20週『モチベーション3.0』

第20週
2017/12/16
『モチベーション3.0』
ダニエル・ピンク 著

子供達への自発的な動機をどのように引き出すか。この難題に対して更に知見を深める目的で読んだ本です。

モチベーション1.0は生存を目的とする動機、モチベーション2.0は信賞必罰に基づき引き出される動機、そしてモチベーション3.0は自分の内面から湧き出る動機であり、ルーチンワーク中心の時代は2.0が有効だったが、創造性が必要な21世紀は、モチベーション3.0が必要であるという事が論旨です。

まず印象に残ったのは、冒頭に出てくるハリー・ハーロウの実験(1949)です。八匹のアカゲザルがいる檻に、ピンを抜き、フックを外し、金具を持ち上げるという3手順必要な仕掛けを置いたところ、外部から報酬も罰もないのに、サルは熱心に仕掛けで遊び、実験開始から2週間経って、腕が上がっていました。

一方、ごほうびとして餌を与えた場合、以前と比較し成功率がずっと低くなった。ここからハーローは「課題に取り組む自体が内発的報酬にあたる」という当時では斬新な仮説を立てました。

他にも、保育園でお迎え遅刻の罰金を設けたら、逆に遅刻が増えたという調査。賞がもらえると分かっている幼稚園児のグループは絵を描くことが仕事となり続かず、何も知らせされてないグループは楽しんで絵を描き続けるというレッパーとグリーンの研究等、「交換条件つき」の報酬が自律性(やる気)を失わされるという興味深い調査や実験が数多く載っていました。

ブルームウィルで取り入れたいと思うことは二つあります。一つは20%ルールです。Googleでも行っている、このルールは、自律性をや創造性を促進する目的で、勤務時間の20%を何でも好きなプロジェクトに充てられるものです。週5日のうち丸1日をそこに充てることになり、授業が毎日ある咲心舎では20%は難しいですが、10%=半日を充てるぐらいはできると思います。

もう一点はライフスキルシートの運用です。結論として今のまま塾生に任せるのが良いと思っています。勉強はルーティンワークの部分が多く、モチベーション2.0が効きやすくモチベーション3.0が効きにくいものかもしれません。ライフスキルシートだけは自分で自由に目標設定し行動も決めていく、という事で創造性を発揮して欲しいと感じています。
(928字)