宗興の本棚

第9週『目標達成ノート』

第9週
2017/9/30
『目標達成ノート』
原田隆史著 ディスカバー21

「自信は毎日の積み重ね」
元公立中学の体育教師であった原田先生の「原田メソッド」をツール化した書籍。担当中学の陸上部が7年間で13回の日本一を実現したことで、脚光を浴びた「原田メソッド」は企業も注目し、原田先生には350社7万人が指導を受けている。非認知能力育成メソッドとして高い評価を得ています。

この原田メソッドで印象的だったことは3点あります。

一点目は、「自信」というものが成長や、能力発揮、問題解決にとても重要であるという事でした。原田先生が赴任した中学はいわゆる荒れた学校であり、問題行動の裏には自信が極めて低く、元気もないやる気もない、夢もないという心の問題であることに気づいたそうです。

民間でロケット開発をしている植松さんも自信のなさが他の人の幸福を奪っていく諸悪の根源であるという趣旨の話をされていました。あらためて「自信」のもつ影響力の大きさを感じました。今の塾生を見て、点数が伸びきれない、素直になれない等はこの自信のなさからくるものではないか。全てとは言いきれないが、中学生の顔を思い浮かべても思い当たるところが大きいです。

二点目は、自信は何か実現できたときに倍数的に一気に高まるのではなく、毎日少しづつ高まっていくものだという事。目から鱗でした。日誌に毎日「今日のよかったこと」「がんばったこと」「陸上部としての成長」を書き込むうちに、生徒達は日々自信を高めていったそうです。早速「良かったこと」というMyライフスキルシートの項目に入れました。Myライフスキルシートの記入は週1回であり効果は薄いかもしれませんが、項目としてある方が間違いなく良い。自信は自分で持つものであるから、周りがいくらとやかく言ってもダメです。自己認識してもらう方法をより具体的に編み出していきたいです。

三点目は、振り返りの仕方で有効な問いがあったこと。原田メソッドでは日誌に「今日もう一度やり直せるなら」という問いを入れています。この問いは単なる原因分析にとどまらず、未来志向で次の策を生み出せる問いと感じました。早速中1の振り返り作戦シートの次の作戦欄に「もう一度やり直せるとしたら」という問いを書いてもらい、各教科振り返ってもらいました。来週水曜日までの課題なので、提出後じっくり見てみたいと思います。

最後に、コーチ―と生徒の信頼関係がやはり人の成長を促していくと再確認しました。原田先生は生徒の日誌に毎日赤ペンを入れてました。指摘・称賛・意見等々。この労力が信頼感を生んでいると感じます。私もMyライフスキルシートに赤ペンで記入し、塾生とコミュニケーションをとっていきます。

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第8週『ライフスキル教育入門』

第8週
9/25/17
『ライフスキル教育入門』
特定非営利活動法人 青少年育成支援フォーラム(JIYD) 風人社

「自分達の道を」
ライフスキル教育という言葉は、感覚としてはまだマイナーではある。検索すると、様々な団体や定義が出てくるのだが、ライフスキル教育を本格的に学校教育に導入している団体がこのJIYDである。リックリトルが開発したライフスキルプログラムは、ライオンズクエストという名で世界40ヶ国に展開されている。校数までは詳細はつかめていないが、このライオンズクエストは、かなりの数の公立小中で導入されているようだ。
本書を読むと熱狂的な校長や教員のファンもいることが分かる。清二中の学校改革にヒントとなるものがあると感じ、手にとったこの書。参考にしたい点は大きく三つあった。

一点目は、国連で定義されているライフスキルの3本柱を知れたこと。1.コミュニケーションと対人関係。2.意思決定と問題解決。3.感情コントロールの力。私達のライフスキル教育にも取り入れる要素があると感じる。ただ、成熟社会の日本だからこそ必要な力と考えると、私達の定義の方がしっくりくる。

二点目は、学校への定着のコツがわかった事。異動が前提の公立学校で一過性で終わらせず定着するには、3つのコツがありそうだ。1.カリキュラム化 2専門部署の立ち上げ3教員の理解と一体感。

三点目は、教育養成のカリキュラムとして、大学に入っている事。私達のプログラムも全大学の教職課程に入ることが、とてつもなく大きな影響力となるかもしれないと感じた。ライオンズクエストはプログラムとしても良質でよく考えられていると感じる。
既に体系化され授業パッケージ化されているので普及も進むだろう。全公立にこのプログラムが入るのも私は良いと思う。一方で入らないのはそれなりの理由がある。その点を探求し、私達なりの道で教育改革に取り組みたい。

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第7週『日本流イノベーション 日本企業の特性を活かす方程式』

第7週
2017/9/16
『日本流イノベーション 日本企業の特性を活かす方程式』
吉村慎吾 ダイヤモンド社

「ミッションをもう一度見直す」
著者である吉村氏の前作に心を揺さぶられたのだが、自社のプログラム紹介の側面も強く、研修参加者の課題図書としてより適切なものがないか、吉村氏の二作目を読んでみた。IOTを中心に世界の事例潮流を多く伝えると共に、日本がどうすれば良いかも提言している。世の中を変えようとする人には相変わらず勇気がでる本だ。

特に印象に残った点は二つ。一つ目は、パーソナライズの流れ。メガヒットが消え、マスメディアが凋落する。なぜならマスが存在しないから、というのは、納得感がある。
ウーバーなどのシェアリングエコノミーも「自分に合わせた便利さの追求」と捉えることができる。教育業でいえば、個別指導が隆盛なのも分かる。だらといって、個別じゃなきゃだめだと考えるのは非常に安直。私達が見ているのは間違いなく一人一人だ。集団型の良さである「集団効果」を活かしつつ、個の学力とライフスキルを伸ばせばよい。自学の力を高める、ライフスキルを高めるために、今一人一人に自分で決めてもらう流れができつつある。これは間違いなくパーソナライズの流れと一緒だ。一人一人まったく違うものになる。うちは単に授業が集団なだけ。授業を集団にしたほうが、魅力ある先生の授業がより多くの塾生に受けてもらえるからだ。

今の技術を磨き確固たる武器を創ると共に広げるには、「分かりやすさ」が課題だ。集団×個別といっても分かりづらい。ただそこで何か降りてきたら、必ず私達はブレークする。言い訳せずに、あるもの活かし、このままの流れでいけば、ブレークするのは時間の問題だ。どこまで時間を短縮するかだけだ。

二つ目は、企業のミッションが大事ということ。勝つまでやめなければイノベーションは起こり絶対に成功する。要は勝つまでやめない強い使命感を感じているかどうかだ。それがミッションになる。「自分の道を自分で拓ける人を創る」というのは、強い使命感から生まれたことは確か。ただ、陳腐化してないか、今本当にしっくりくるかもう一度自分自身で再考したい。9月中には一定の結論を出そうと思う。

結論でいうと、この本より1作目を課題図書にしたいと思う。というのもメッセージの強烈さが1作目の方があったからだ。嫌悪でも良いから揺さぶる。その点では1作目の方が優れている。参加者にとって刺激となるであろう。

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第6週『イノベーターズ 革新的価値創造者たち』

第6週
9月9日
『イノベーターズ 革新的価値創造者たち』
吉村慎吾 ダイヤモンド社

「イノベーションの正体は自らの理想をあきらめない勇気」
イノベーションが生まれるにはイノベーターが必要という、当たり前だがシンプルな答えを提示し、イノベーターの作り方を指南する書。著書の断定口調の強烈な物言いから、反発心も生まれたが、目から鱗や首肯せざるをえない部分が多く、私の研修の課題図書にしても良いと思える程だった。印象深かった点を4つ列挙する。

一つ目は、イノベーションの定義だ。イノベーションは「斬新な技術」と私も思っていた節があったが、「革新的価値創出である」と著者は言う。技術ではなく価値なのだと。私自身、教育改革を行うのに新しい手法、特にITと絡めた教育法が必要と手段(技術)を探していた。新しい手法が重要ではなく新しい価値創出が重要なのだ。目的と手段をはき違えていた。

二つ目は、イノベーターを生み出す環境は3つの条件が必要という事。明確なミッション、限りなく少ないルール、異質の尊重だ。ブルームウィルもなるべくこの要素を取り入れたいと思う。

三つ目は、絶対的価値で生きるという事だ。イノベーターは他人の評価を気にしない。失敗によって経済的に困窮することもいとわない。多くの悩みや苦しみの体験を通して、とことん自分と向き合い、己が何者なのかを探求し尽くしている。スティーブジョブズしかり、孫正義しかり。自分が何が好きで、嫌いか。自分が何を美しいと思い、何を醜いと思うか、人生において最重要なもの何か。他人に左右されない絶対的な幸せの
基準(絶対価値)を持っている。だから他人の評価みたいな相対的なものを恐れない。と著者は言っている。あらためて、基本的価値観とミッションを個人も会社を明確にすることが大切だと感じた。どちらも原体験から来るものであり、「●●がしたい=ミッション」なぜなら私は「●●のような体験をして=原体験」と続いていく。私自身もう一度、基本的価値観とミッションを自答していきたい。特に基本的価値観は、「1000億あり、健康状態もよい中で働き続ける理由は?」という問いで導き出しやすいとあり、自分自身もそうであるし、英克、浩子にも行ってもらい、会社としての基本的価値観も設定したい。

四つ目は、自身の価値観からビジョンを生み出すという研修のアプローチに自信が深まったこと。人に何が欲しいと聞いても、見たことがない者は欲しがれない。イノベーターが己の直感を信じ、「俺が欲しい」の想いで作りだしたものが、イノベーティブな商品となる。逆に、その想いは、因果関係を論理的に分析する手法でマーケットは?収益性は?でつぶされていく。と著者は言っている。

自分にとっては本当に刺激になる、自分の道を推進してくれる本だった。この本が研修参加者にとって本当に良いものかは、じっくり考えたい。

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第5週『いちばんやさしい教える技術』

第5週
2017年9月1日
『いちばんやさしい教える技術』
向後千春 永岡書店

「教える技術を身につける」
インストラクショナルデザイン(教え方のデザイン)を専門にする教育学の教授の著書。教える技術をシンプルに体系化し、とても分かりやすくまた、すぐに使いたいTIPSがある実用的な良書でした。

本書を通じて印象に残った所は二点あります。一点目は、教える事のゴールについて。「教えた」といえるのは、ただ単に「伝えた」ではなく、「伝わった」でもなく、「対象の人が出来ないことができるようになった」状態を指す。この点認識をあらたにした事は指導力の向上につながります。これに付随し、できるようになる事がゴールであれば、どのようになって欲しいかを示すことが必要です。しかもそれは、抽象的な事ではなく具体的な行動で示すことがポイント。例えば「思いやりを持って欲しい」ではなく、「老人に席を譲れるようになって欲しい」というように(願いではなく行動にする)。

二点目は、教えたい事を3つに分類し、それぞれ効果的な教え方が違うという事が印象的でした。教えたい事は具体的に「運動スキル」「認知スキル」「態度スキル」の3つとなります。これまで自分も何となく分けて教え方を変えていた気はしますが、ここまで明確に教え方を分けたことななかったです。特に「態度スキル」の教え方については、「確かに」とうなりすぐにでも実践しようと思いました。具体的には、態度を直接的に指摘すると反発を招くので、コーチング的に質問で促し、相手の頭にストーリーを作るやり方です。

今後の行動としては二点。一点目は必ず授業前にゴール・コツを明示すること。もう一点は、態度変容を促進するために、コーチングの技術を使っていくことです。教える人間であるにも関わらず、自身の指導体系が不明瞭なことは薄々感じていたので、とても役に立ちました。英克、浩子にもお薦めしたいです。

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第4週『フィードバック入門』

第4週
2017年8月26日
『フィードバック入門』
中原淳 PHPビジネス新書

「成長する職場を作る」
本書は人材育成の最も重要な手法としてフィードバックを説明しています。フィードバックとは「耳の痛い事を伝え、成長を立て直す」ことであり、1on1の面談を通して行われます。

本書を通して一番感じたことは「成長する職場を作る」必要性です。成長する職場には「経験軸」と「ピープル軸」の二軸が必要であるが、特にピープル軸を今の職場で強めたいと考えています。ピープル軸は「業務支援」「内省支援」「精神支援」の3つに細分化でき、この3つは、全てフィードバックを通して実現できます。以前私は1on1でフィードバックを毎週実施していましたが、今は止まっています。これを復活していく事が、ピープル軸を強めることにつながると考えました。

ただ、縦の関係でピープル軸を強めるだけではなく、横の関係でもピープル軸を強めることが成長する職場づくりには効果的です。具体的には英克と浩子の二人が互いにFBし合うようにすることです。全ての時間帯が重なるわけではないので、個人のみに対してFBは難しいと思いますが、個人や職場について気づきを共有し合うだけでもとても効果が高いと感じます。

まとめると具体的には、二つのフィードバックMTGを定例化したいです。1週目・3週目吉田との1on1。2週目・4週目英克浩子で1on1。吉田とは15分。英克・浩子は30分が丁度良いと思います。

最後に、成長人材=「フィードバック探索行動」をする人材という事です。どうしても成長には成長痛という痛みを伴うことが多くなりますが、仲間の皆にはやはり自ら勇気をもってFBもらう人材であって欲しいと思います。自社のサーベイは強制環境であるが、自らフィードバックをもらう機会を作って欲しいと思います。こればかりは私が伝え続けることや自分で体現することが道ですね。

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第3週 『あの学校が生まれ変わった驚きの授業』

第3週
2017年8月18日
『あの学校が生まれ変わった驚きの授業』
木原雅子 ミネルヴァ書房

「学校は変えられる」
京大医学部の免疫学の先生が、「WYSH教育」という方法を編み出し、効果が高かったモデルケースとして九州のT中学校での実践を伝える書。

結論として、生徒の学力を上げるには、二つのことが必要です。

一つは、生徒の達成感・自尊心を高めること、もう一つは先生の姿勢や力量を上げて生徒との信頼感を強めることです。この二つは私達が清瀬第二中へのテーマ設定とほぼ同じであり、先に実践して結果を出した著者に背中を押してもらいました。
しかし、具体的なアプローチについては、考えているものと違い、どう取り入れるかは検討する必要があります。上記二点の発火点となっているのは、「WISH授業」と言われるもので、これを受けた生徒は、教科が面白いと感じられるようになり、
この授業をみて生徒の変化を目の当たりにした先生方も変化にその気になっています。

本当にこの一発の授業で生徒達が変わるのか・・・と疑問が残る部分があります。子供の事なのできっかけ一つで変わる可能性もあるので、何とも言えませんが。一方、先生方に対してはとても説得力のあるやり方と感じます。ただ、私達はWYSH教育のように、綿密に練られた授業を提供する時間やスキルはありません。この点をふまえて、具体的なアプローチを考えていきたいです。

何にせよ、学校全体の学力を上げることは可能な事が分かりました。これを励みに、清瀬中によりよいものを提供していきます。

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第2週 『愛に生きる 才能は生まれつきではない』

第2週
2017年8月14日
『愛に生きる 才能は生まれつきではない』
鈴木鎮一 講談社現代新書

「才能はあるものではなく、才能はつくるもの」
スズキ・メソードの創始者である、鈴木先生の著書。人の可能性を信じるという私の信条と根底に流れる想いが近いのではと感じました。そのメソードのポイントは二つと解釈をした。一つは、人の生きようとする生命活動(生命の力)を引き出すこと。もう一つは、繰り返し繰り返し繰り返すこと。才能は環境次第でいくらでも作れるということです。

ある6歳の女の子の話が衝撃的でした。右半身が不自由で、右の眼は斜視。曲の終わりに右手がかってに強く行動し、弓が手から離れて飛んでしまう。この子が毎日の訓練で、
右手の力が養われ、弓が飛び出さなくなった。そして、半年のうちには『キラキラ星変奏曲』が弾けるようになった。驚くことに、一曲を弾けるようになっただけでなく、右の眼の斜視が正常な位置に移り始め、同時に不自由な右半身のすべてが、しだいに正常に活動するようになってきたそうです。

この話から私は3つのことを実行に移そうと思います。

まず一つ目は、塾生に得意科目を作ってもらうこと。一つのことを伸ばすと、その能力が更に他の能力を援け、様々な能力が伸びていくのだと思います。まず一教科を伸ばす=得意科目をつくる。そこをスタートにしてみたいです。

また、環境によって必ず能力を伸ばすことができる。矯正という考えを捨てることが重要であり、新しい能力を形成するという考えを持つことを徹底します。

最後に、やはり能力を作るには毎日の繰り返しにかなうものはない。毎日の繰り返しワーク的なものをやはり作り、能力を伸ばしたいです。上記を英克、浩子と対話し決めていきます。

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第1週 『社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、10億円ビジネスのつくり方』

第1週
2017年8月9日
『社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、10億円ビジネスのつくり方』
矢田祐二著 セルパ出版

「事業家としての覚悟」
本書からの一番の気づきは、年商●億円の延長に年商10億円、20億円はないという事。本書が示す3つの変革、年商10億円を売る事業モデルへの変革、年商10億円をこなす分業への変革、年商10億円、20億円に育つ成長組織への変革は、とても納得感があり、特に事業モデルは耳が痛い話でした。社長の業務を一人のできる社員に移管しただけでは、実はあまり変わりがない。実際咲心舎において、モデルが作られてないまま、英克に移管して、なりゆきで拡大しようとしていた節があります。

事業モデルの変革のポイントは二つ、今の強み・弱みではなく、ニュートラルな視点で、より商品・よい顧客を描きなおすこと。自社で売るちからをもつこと。その二つを考えながら、社長抜きで回る仕組み作りを社長がすることと解釈をしています。要は、社員が活躍する仕組み作りに徹するのです。

ただ、この仕組みづくりについて、一番の問題は、私自身がそこに注力する意志と情熱が持てるかどうかです。道筋としては非常に納得しているのですが、実はこれを読んでも湧き上がるものがありませんでした。

「子供達の成熟社会で生き抜く力をつける」という使命のもと、「公立小中30000校にライフスキル教育を」というビジョン実現に確かな道であるならば、10億円の仕組みづくりは、私にとって情熱の道となります。同時にそれは「事業家として」の覚悟を持つことを意味します。

あと4ヶ月以内に自分は何屋かを決めます。その決断に際してとても有意義な情報を本書から得たと考えています。