宗興の本棚

第148週『無敗営業』

第148週
2020/6/22
『無敗営業』
高橋浩一著 日経BP社

日経ビジネスの広告に何度も掲載されている本書。営業テクニックを体系的にまとめた本はあまりないため、あらたに営業組織を築く際の材料になるかと思い、手にとりました。

4つのことが印象に残っています。

一つ目は、お客様にとって営業は「ズレない」=「わかってくれる」ことが何より大切ということです。私は、初回や二回目など提案前の場面では、とにかくその企業様を理解することに努めます。お客様が真に目指したい姿や、深層の悩みが分かれば、的確な提案ができ信頼を得ることができるからです。「わかってる営業」もしくは「ズレない営業」になれるかどうか、営業部隊の合言葉にしても良いぐらいです。

二つ目は、営業状況の種類分けです。著者は案件や商談を「楽勝・接戦・惨敗」の3つに分けています。そして、強い組織に至るには「接戦」を勝ち抜く筋力をつけることが必要というのは同感です。案件を常に3つに分け、接戦の戦略を練ることや、惨敗案件をかぎ分けることはとても有用であり、また提示されていた既存顧客リテンションチームにも、新規顧客開拓を課すことも組織全体の営業力を高める良策だと考えます。ただいくら社内用語であれ「楽勝」というのは、お客様に失礼です。社内での使用言語が社員の考えや行動を規定するため、私であれば「相愛」という言葉を使います。

三つ目は、「決定の理由」ではなく「決定の場面を問う質問」を聞くというのは、是非取り入れたいです。「どんな場面で、心がぐっと動いたのでしょうか」という質問はいつ・何が必要だったかをより具体的に浮き上がらせると感じます。

四つ目は、この著者の「執念」の凄さです。著者は12年前あるIT系企業に対する20社の大型コンペで敗れました。どこが受注したのかお客様から教えてもらえなかったのですが、3ヶ月色々なツテをたどり、敗れた相手を見つけ出し直接会いにいったそうです。また、以前は失注したとしても「100%決定かどうか」「再提案させてくれないか」と必ず粘ったそうです。ある分野でプロとしての立ち位置を確立している方は、こういった「執念」があるのではと感じました。
(878字)

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第147週『一番になる人』

第147週
2020/6/15
『一番になる人』
つんく♂著 サンマーク出版

今年のテーマである筆力強化。筆力を高めるには、根本のメッセージや、構成だけでなく、「人の心を動かす言葉」が必要であることを知りました。おもしろい言葉、目を引く言葉、刺さる言葉、そういった言葉のテクニックが詰まった本ということで、オススメされていたのが本書です。学生時代、モーニング娘。のファンだったので、つんくさんは知っていましたが、まさかつんくさんの本を手に取るとはという感じです。

【読者として】
特に響いたのは、「売れる人を徹底的に分析する」ということです。

「売れなかった二年間。僕は必死で『売れる音楽とは何か』を研究しました。」とあります。150万部以上売れたコンマリさんを世に出した名編集者、高橋朋宏さんが「ベストセラーを徹底的に分析した」と仰っていたことがすぐに頭に浮かびました。また、綾香さんやYUIさんを世に出した音楽プロデューサー西尾芳彦さんも、ヒット作を徹底的に分析したと仰っていました。やはり売れるものを生み出す方々は、売れているものを分析し、独自の「ヒットの法則」を編み出しています。

【書き手として】
伝えたいことを、伝わりやすく書く力をひしひしと感じました。まさに「人の心を動かす言葉」をもっている方だなと感じます。身に着けたいと思う点は二点です。

・オリジナルかつ目をひく言葉
「教室内ニッチ」、「勝負パンツをいつもはいておく」、「『四位』こそが大衆のなかの一位」、「エネルギー業者」、「サクセスストーリーはピンチ―ヒッターから」等。これだけで「おもしろそう」となりました。

・身近でリアルな言葉
つんくさんの歌詞は、非常に身近でリアル。いつも秀逸な歌詞だなと感心していましたが、「ヒントはいつも自分のいちばん近いところにある」とあり、その謎がとけました。

ちなみにお気に入りの歌詞は、
「選挙の日はうちじゃななぜか、投票行って会食するんだ~」(モー娘。『ザ・ピース』)
です。あまりこういう家庭はなさそうだけど、リアリティがあり絶妙です。

この本でも、「売店のおばちゃん」や「おしゃれな中学二年生」、「『チャック空いてるで』と言われるやつ」「我が家の手伝い」など、誰でもイメージができる「身近な」シチュエーションが頻発します。

要は、読者に寄り添い言葉を生み出すことです。プロは凄い!
(945字)

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第146週『深夜特急1 香港・マカオ』

第146週
2020/6/7
『深夜特急1 香港・マカオ』
沢木耕太郎著 新潮文庫

コロナで外出自粛が続く中、ふと新聞に「今だから読みたい本」なるものが載っており、そこの上位にあったのが本書です。この本を読んで旅に目覚めた人は数知れずと言われる超有名本。いつものビジネス本ではなく別角度からの新鮮さが欲しくて、新聞に促されるまま手に取りました(若干ネタバレあります)。

この本が、なぜ人々をこれほど魅了するのか。

それは「真剣に酔狂なこと」をしているから、という一言で表されると思います。

「ほんのちょっぴり本音を吐けば、人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実をきわめることもなく、(中略)まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴ではなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ。」と著者は言っています。

酔狂とは、辞書で引くと「普通は人のしないようなことを、好んですること。ものずき。」とあります。この本の中毒性は、著者が酔狂を追い求めたことにあるのだと思います。

1巻で印象に残った酔狂な場面が3つありました。

まずは、ニューデリーの鉄道駅の旅行案内所へ行った場面。「アムリトサルにバスで行きたい」と著者がいうと、係員に鉄道で行けと言われる。押し問答を繰り返し、そのうち鉄道の方が「ベターで、カンファタブルで、ラピッドで、セーフティーだ」と係員がむきになり大声でまくし立てるように言う。それでも筆者が「でも、バスで行きたい」と主張します。

次に、香港についた初日、いかがわしい宿に泊まる場面。「面白そうだな、と思った。このいかにも凶々(まがまが)しくいかがわしげな宿の窓からは、絵葉書的な百万ドルの夜景も国際都市の活気あふれる街並みも見えなかったが(後略)」
「理性的に判断すればこんな宿に泊まるべきでないことは明らかだ。危険を覚悟しなくてはならない。(中略)とにかく、ここには私の胸をときめかせる何かがある。」

最後に、マカオでカジノにのめりこみ、負けても「どうしても取り返すのだ・・・」と、あきらめないでしつこく勝負にいく場面。どんどん負けが込んでいく中で、持ち金が減って旅が続けられないぐらいまでに。しかし、最後にカジノの法則を読み、負け分を取り返します。

特に、最後のカジノの章は、バカだなと思いました。無一文で旅を続けるのだろうかと、読んでいてハラハラしました。しかも、負け分を取り返し終わりかと思ったのですが、まだありました。

「香港に帰ろう」とホテルに戻って荷造りをするものの、船をまっている時間に、「得体のしれない荒々しい感情に衝き動かされそうになった。」「やろう、とことん、飽きるか、金がなくなるまで・・・足は聖パウロ学院協会に近い船上カジノへと向かっていた。」と、再度カジノで勝負をします。

読んでいて、絶望に近い感覚におそわれました。勝てるはずがないのに、完全にバカだなと。あきらめに近い境地でしたが、どんどんページは進みます。

そもそもデリーからロンドンへバスで行く事自体が酔狂です。日常からかけ離れ、自由に普通ではやらない体験をする。少し危険を伴うようなこれらの体験が、自身の中にある冒険心や解放の欲求に触れてくるのでしょう。

どこかで2巻を読み、いつかのアジアの旅に胸膨らませたいです。
(1322字)

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第145週『「超」文章法』

第145週
2020/5/31
『「超」文章法』
野口悠紀雄著 中公新書

今年の読書テーマの一つは「筆力強化」。書くという行為は、これから先も増えていくことを見越し、今年のテーマとしました。その第一弾が本書です。

結論として、第1章「メッセージこそ重要だ」がとても響きました。この章だけでも十分財産となりえるものと感じます。

第1章の主張は、「メッセージを明確化せよ」ということです。著書は「メッセージが8割の重要性をもつ」と言っていますが、伝わりやすい文章の核心はここだと感じます。しかも、メッセージは質が問われます。メッセージとなりえるための条件で、メッセージが、ひとことで言えるか、ためになるか、面白いか、の3つが響きました。質の高いメッセージとしてあがっていた例は「猫は笑う」です。おっ?と意外性があり面白く、また雑談のネタの一つとしてためになりそうです。

更に、筆者はメッセージが見つかったときも、読者にとって「ためになるか」「面白いか」と何度も自問自答を繰り返すことを勧めています。要は、「謙虚になれ」ということです。筆者と読者の間には、常に書きたいことと読みたいことの乖離があり、筆力が素人レベルを脱するには、この大河を超えることが必要と感じました。

私の場合、日常で書くのはメールとブログになります。
メールは自分の武器となるので、時間をかけ日頃推敲を重ねた後送るようにしていますが、メッセージを明確にしつつ、宛先の方にこれが伝わるか、ということを謙虚に考えていくこと。この姿勢を続けていきます。
またブログについても、毎回1つメッセージを考え、伝わるかどうか謙虚に考えていきます。

他、表現方法としては、文章は削る、削る、削るで読みやすくなることを取り入れます。つい冗長になりがちですが、思い切って削ることを心がけます。

また、抽象的な概念に名前をつけることもチャレンジしていきたいです。著者はベストセラー『「超」整理法』で、「神様ファイル」「君の名はシンドローム」など抽象概念に名前をつけ、「こみいった概念を上手く伝えるのに役立った」と言っています。まずはユニークに命名されたものにアンテナを張り、収集するところからです。
(876字)

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第144週『職場学習論』

第144週
2020/5/24
『職場学習論』
中原淳著 東京大学出版会

「成長する職場とは?」

この問いの解を探求することで、研修参加者の部課長に、成長する職場づくりのヒントを伝えられると考え、手に取りました。

まず、職場における他者からの支援は「業務支援」「内省支援」「精神支援」の3つであると著者は言っています。その上で二つのことを研修で伝えられそうです。

一つは、「上司が単独で育成を担うな」ということです。本書の調査から、業務支援は上司が多く、精神支援は同僚・同期が多いという結果が出ています。しかし、実際の効果は、
1)上司からの「業務支援」は量として多いが、能力向上に結びついていない
2)上司があまり行っていない「精神支援」は、能力向上に結びついている
という、著書曰く「アイロニカルで興味深い結果」になっています。

ここから、職場の上司や上位者だけが単独で育成を担うのではなく、皆で育成を担った方が効果が高いことが分かります。具体的には、同僚・同期からの業務支援や、上司からの精神支援はインパクトがあるので、独自のメンター制導入や、失敗成功体験を共有する自然な場づくり、1オン1の上司の育成面談は、成長促進に実に有効であると考えます。

もう一つは、成長する職場ために「互酬性規範(ごしゅうせいきはん)の形成」が必要ということです。

職場学習風土の3要素は「互酬性規範」「オープンコミュニケーション」「学習資源」であり、
「互酬性規範」は、
「困ったときにお互い助け合っている」
「他者を助ければ、今度は自分が困っているときに誰かが助けてくれるように自分の職場はできている」
「他者を助ければ、いずれその人から助けてもらえる」
「人から親切にしてもらった場合、自分も職場の他の人に親切にしようという気持ちになる」
の4つの項目で表されています。

本書では、調査結果から互酬性規範をつくることが、全ての支援の質を高める。ゆえに、職場内のメンバー間に互酬性規範が認知されているかどうかが重要である、と結論づけています。簡単に言えば、皆が「ここは助けあいのある職場だ」と思っていることが重要なのです。

それでは、互酬性規範はどうすれば形成できるのか。それは、仕事の割り振りや、人の組み合わせを工夫するなど上司のふるまいが大きいと本書は言っています。

例えば、ある仕事をやったことがないA君とやっているB君を組み合わせて、きつい納期で仕事をさせると、助け合わざるをえない、といった実際の管理職のコメントが掲載されていました。

この辺りは、更に探求をしていきたいと思います。
(1034字)

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第143週『リーダーシップの教科書』

第143週
2020/5/10
『リーダーシップの教科書』
ハーバードビジネスレビュー編集部編 ダイヤモンド社

ブルームウィルのリーダーシップ研修を更に進化させるべく手に取った本。リーダーシップ研究が最も進むアメリカにおいて選ばれた10論文が掲載されています。積極的にプログラムに取り入れたい部分を掲載します。

第一章 「リーダーシップとマネジメントの違い」 1990年
ハーバード・ビジネス・スクール 名誉教授 ジョン P. コッター

・「変革を起こすことがリーダーシップの役割である」、
「複雑な状況にうまく対処するのが、マネジメントの役割である」と言い切っている点。リーダーシップ論の大家がリーダーシップ=変革と言い切るのは、私達も勇気をもらえます。

・「ただし、統制のメカニズムのように、正しい方向に無理やり向かわせるのではなく、達成感、帰属意識、正当な評価、自尊心、自分の人生は自分の手に握られているという実感、理想に向かって生きる力など、人間の基本的欲求を満たすことによって、である。このような感情が芽生えることで、人は深く感動したり、力強く行動したりできる。」
この一節はリーダーがビジョンを伝える際、情動に訴える必要性を補強してくれます。キング牧師の演説と共に、「景色」の明確化を促進していきます。

第4章 「共感のリーダーシップ」2000年
ロンドン・ビジネススクール教授 ロバート・ゴーフィー
BBC人事・社内コミュニケーション担当役員 ガレス・ジョーンズ

部下にやる気を出せるリーダーには、共通して4つの資質が備わっています。みずからの弱点を認める、直感を信じる、タフ・エンパシーを実践する、他人との違いを隠さない。

特に、みずからの弱点を認める部分は、メンバーを不安にさせないよう、できる部課長を演じる方が多いと感じるため、エビデンスとして伝えていきたいです。

また、最近の部課長は、メンバーに嫌わられたくない優しい方々が多い印象もあります。「厳しい思いやり」であるタフ・エンパシーもとても響くと考え、伝えていきます。

第6章 「レベル5 リーダーシップ」2001年
コンサルタント ジム・コリンズ

まあまあの企業を偉大な企業へと変革させるためには、「レベル5リーダーシップ」が必要であるという主張です。著者は、対市場平均6.9倍の利回り実績を残した11社に共通している特性として抽出しています。このレベル5リーダーシップは研修というより、私自身が進む道として大変参考になりました。

第8章 「自分らしいリーダーシップ」2007年
ハーバード・ビジネス・スクール教授 ビル・ジョージ
元スタンフォード経営大学院 講師 ピーター・シムズ
元ハーバード・ビジネス・スクール 研究員 アンドリューN.マクリーン
元シティグループ 執行役員 ダイアナ・メイヤー

・「リーダーとして成功する条件は存在しない」と言い切っているのが凄いです。自分らしさを貫くリーダーへの8つの成長ステップのSTEP4外発的動機と内発的動機は何か、の観点は研修の個人軸分析に取り入れてみようと感じました。

・「スタンフォード大学経営大学院の顧問委員化に名を連ねる75人に、『リーダーが伸ばすべき最大の能力は何か』と尋ねたところ、答えはほぼ一致した。『自己認識力』である。」これも個人軸を基軸とする私達の研修の論理補強となります。

現在この自分らしいリーダーシップを更に深堀するべく、別の著書を読んでいます。
ブルームウィルのリーダーシップ論を補強する強い学術的エビデンスとなりそうです。

以上です。学術論文は視野の拡張と、物事の深堀りを促進する素晴らしい材料です。何度も読み返します。
(1457字)

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第142週『FACT FULLNESS』

第142週
2020/5/3
『FACT FULLNESS』
ハンス・ロリング著 日経BP社

2019年初頭に出版されたにも関わらず、今年もまだ書店に面陳列されていた本書。反響の凄さについ手に取ることになりました。

本書は、データに基づき、世界を正しくみることが主題です。

冒頭、質問1「現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?」
A20%、B40%、C60%
というような世界の貧困や人口、医療、教育などに関わる問いが13問出てきます。
皆さんは何を選びますか?

ちなみに私はAを選びました。答えはCです。これまでテレビや社会の教科書などから低所得国への偏った見方が形成されていることを痛感しました。

ただ、メディアの影響や、情報がアップデートされてないことだけがバイアス形成の根本の原因ではないと著者は言っています。著者は、講演などで上記の事実を伝えたとしても、引き続き同じ誤解をする人達を目の当たりにしています。そこから、世界を悲観的に捉え続けてしまう原因は人々に染みついた「ドラマチックな本能」と結論づけています。

著者はその「ドラマチックな本能」を10個に分類して、各章でその本能から起因する勘違いを正していきます。

簡潔に三つの事を書きます。

一つ目、世界は着実に良くなっているということが実感できました。世界の平均寿命は70歳であること、2100年の人口は110億人であり、伸びは鈍化するということ。世界中の一歳児の中で、なんからの予防接種を受けている子供は80%であることなど。人類の進化への「希望」を更に強く抱くことになりました。

二つ目、「可能主義者」という言葉が響きました。著書は人類の素晴らしい進歩について誰かに語るたびに、「楽観主義者」というレッテルを貼られてきたそうです。「可能主義者」はそのアンチテーゼとして著者が生み出した造語です。根拠のない希望や不安を持たず、更なる進歩が可能なはずと思う人のことで、自分もそうありたいと思う言葉でした。

三つ目、著書も言っていますが、先進国・後進国という言葉すら、上からみている証拠であであること。欧米諸国は上からの感覚を強くもっていることが伺えます。

最後に、世界は良くなっているが勿論問題がない訳ではなく、特に5つのリスクを心配していると著者は言っています。①感染症の世界的な流行②金融危機③世界大戦④地球温暖化⑤極度の貧困です。特に、①は「感染症の専門家のあいだではいまも、新種のインフルエンザが最大の脅威だというのは共通認識になっている。」とありましたが、今回の新型コロナの大流行を予言していたかのような、言葉に驚きました。
(1052字)

宗興の本棚

第141週『共感SNS』

第141週
2020/4/26
『共感SNS』
ゆうこす著 幻冬舎

年初に書店で大量に購入した際の1冊。著者のことは全く知らなかったのですが、SNSを上手く使う方法を知りたくて手に取りました。

著者ゆうこすさんは、アイドルグループ脱退後、「もてクリエイター」という名のインフルエンサーとして活躍しています。脱退後自ら開催した初のイベントは100名規模のスペースにたった3名。そこから自己プロデュース法の試行錯誤を重ね、現在SNSのフォローワーは150万人以上になっています。

読後感としては、テーマの自己プロデュース方法がものすごくよく考えられていて、感心しました。最近読了した本の中で線をつけた箇所が最も多く、それだけ気づきや感性に触れた箇所が多かったと思います。はっきり言えば、プロのマーケター、プロモーターと言えると思います。ふわっとした外見とのギャップにやられました。

取り入れたいと思った事は3つあります。

一つ目は「共感」について。本書のタイトルにあるように、SNSで発信力を高めるの必要なことは「共感」と著書は言っています。そして、共感を生むためには、まず自分が寝食を忘れて没頭できる軸をつくる必要があるとのことです。これについて「自分がワクワクすることじゃなければ、発信しても意味ないし継続できない。」「SNSは、発信する人の熱量がそのままフォローワーに伝わってしまう場所だからです。」と著者は強く主張しています。私も新たなミッションの元「ライフスキル教育家」から皆の共通認識になるような旗を作り変えようと思います。

二つ目は、フォローワーを増やすための「メリット」について。「プロフィールがSNSを制す」と著者が言っているように、特にプロフィールが信用を生む部分であり、つくりこまなくてはいけません。また、著書のアカウント名は「ゆうこす/モテクリエイター」となっていますが、自分が何者なのかが伝わるアカウント名にした方がよいとのことです。

三つ目は、「共感+メリット=フォロー」の公式でフォロー数を増やした後、好きなことで仕事をするには、フォローワーをファンにする必要があるとのこと。著者はまさにマーケティング発想で、マニア、コアファン、ライトファン、新規(名前は聞いたことある)、新規(全く知らない)の5つの階層に分け、拡散性を軸に情報発信の内容と手段を変えています。例えば、新規は関連動画からリーチ―しやすく拡散性の高いYoutubeを。マニアには拡散性は低いが濃い内容を伝えられるブログ生配信を、という感じです。「可処分時間」をいかに増やしてもらうか戦略的に考えられており、驚きました。事業のプロモーションをする際に、間違いなく使える考え方です。

全体を通して感じるのは、著書がユーザーの目線、仕事を発注する企業担当者の目線にしっかりと立っていることです。これが「届く・響く」発信者の必要条件であることをあらためて認識しました。
(1185字)

宗興の本棚

第140週『見てる、知ってる、考えてる』

第140週
2020/4/20
『見てる、知ってる、考えてる』
中島芭旺著 サンマーク出版

先日、片付けコンサルタントの「こんまりさん」等を世に出した名編集者、高橋朋宏さん(タカトモさん)とお会いする機会がありました。数々のベストセラーを出してきたタカトモさんが手がけた中で、「言葉の力」がよく分かるものとして薦められたのが本書です。

本書は小学校に通学しない10歳の男の子、バオ君の「つぶやき」を書籍化したものです。

1
「僕は泣くなって言われた事がありません。

泣いていい、
悲しい気持ちは涙が流してくれるからって、
いつも言われていました。」

このつぶやきから本書は始まります。いきなり胸に突き刺さります。涙腺が緩く1日1回以上は必ず泣く息子に、小学生になって以降「泣くのはやめなさい」と言ってきたからです。

ここから、沁み込んだ言葉を5つ記します。

6
「自由にやっていいよ!
でも、ゲームはダメだよってどっちだよ!

自分で選んでいいよ!
でも、ゲームはダメだよってなんだよ!

好きにしていいよ!
でも、お母さんの好きなやり方でねーって

もっと子供を信じたら?
自分の子供だよ?」

・・・。これもぐっと言葉が刺さります。そうですね。親は本当はもっと子供を信じたいんですよね。最近小言が多くなっていた気がして、もっと褒めよう、見守ろうと思います。

25
「どうなりたいかという質問に僕は、
『僕は僕でありたい』と答えている。

世界中みんなが自分であるということは
正解がないということ。

正解のない世界でいきていく僕達は、
好きなことをやる勇気が必要だ。

自分の勘を大切に。
自分に正直に。
自分が好きなことをやる勇気。」

いつの時代だろうと、人生には元々「正解がない」ということを10歳で結論づけていることに驚きました。正解がないから「好きなことをやる勇気」が必要、というロジックも素敵です。皆さん、好きなことやってますか?

71
「『こわい』は、やりたいということ。

やりたくなかったら『やりたくない』って思う。
『こわい』ということは、やりたくないわけではない。」

凄い言葉です。勇気をもらえました。こわいはやりたい。研修でも伝えていけます。

80
「今年の僕がもらったクリスマスプレゼントは
ママが生きてて笑っていてくれるってこと。

大切な人は生きていて笑っていてくれれば良い。やっとわかった。」

ママが風邪で寝込んだ場面のことが2ページに渡りつづられ、その後の最後の部分だけ抜き出しました。毎日妻や子供達に「いてくれてありがとう」と伝えようと思います。

83
「自分では気づかないが、
自分の未来は分かっているんだと思う。
だから僕は勘を信じる。」

私達一人一人(の脳)は既に自分の人生を分かっており、人生とはそれを明らかにする過程であるのではないかと最近、私は感じています。僕も自分の勘を信じます。

私は、書籍は出会いだと思っています。固いビジネス本ではなく、こういった柔らかい本を時折読みたくなるのも今自分が必要としているからです。だから沁み込みました。
(1194字)

宗興の本棚

第139週 『ゼロから始めるフルマラソンの本』『走りがグンと軽くなる 金哲彦のランニング・メソッド』

第139週
2020/4/12
『ゼロから始めるフルマラソンの本』 内山雅博監修 枻出版社
『走りがグンと軽くなる 金哲彦のランニング・メソッド』 金哲彦著 高橋書店

ここ1年ぐらい仕事において気力は充実していても、体力的に厳しいと感じる日が何回も出てきました。生涯現役でいたい私は体力をつけることが大事と考え、今年に入って週2回×30分程度のランニングを始めました。昨日までで計21回行い、少しずつ疲れづらくなっているのを実感します。今回、目的に照らしてランニングの効果を上げるために2冊購読しました。

内山さんの著書からは、3つのことを取り入れました。一つ目は、オーバーペースにならないこと。私は大体最初の10分はきついのですが、15分をすぎると調子がでてきて、ついスピードが出てしまうことがありました。そうすると最後がきつくなるので、アプリで7分/1kmを確認しながら、できる限り均等ペースでいくことをしています。二つ目は、アフターのストレッチ・マッサージ習慣です。疲労を取り除くために、丁寧に行うようにしています。三つ目は、フルマラソンへの希望を抱かせてもらいました。本書には3~4ヶ月かけて6時間台でフルマラソンをゴールできるメニューがあります。たった4ヶ月且つそこまで強度の強いメニューではないため、自分でもいける気がします。フルマラソンはいつか挑戦したい目標です。

金さんの著書からは、2つのことを取り入れています。一つは、準備運動を念入りにすること。走りがグンと軽くなるためには、眠っているカラダを起こす必要があると書かれています。関節体操やストレッチなどに、より時間をかけるようになりました。もう一つは、走っている時に丹田を意識すること。走りが軽くなるには、3つの部位の意識(丹田、肩甲骨、骨盤)が重要であるとのことですが、私は体のバランス力をアップさせるために、丹田に意識を向けて走るようにしています。実はこの2つを行っても、走りが軽くなって感覚はまだありません。ただ、このまま継続していきます。

コロナで小学校が休校になり、週2回家族全員でランニングをしています。一人で走るより皆で走った方が、わずかですが楽しさが増します。

いつまでもバリバリ仕事ができるよう、続けていきます。
(862字)