第70回
2019/12/29
「認知療法②ベックの認知療法 10章 カウンセリングとは」
【まとめ】
3つの心理療法
1.クライアント中心療法
2.行動療法
3.認知療法
今回も認知療法。米アーロン・ベックの認知療法。
アーロン・ベック(Aaron Temkin Beck、1921年7月18日 – )は、アメリカの医学者、精神科医で、うつ病の認知療法(Cognitive Therapy)の創始者として知られる(Wikipediaより)
ベックは心理的な問題をもった人には、思考パターンの歪みがあることを見出し、クライアントが自分のもつ思考パターンの歪み(認知の歪み)に気づき、これを修正することを治療の目的とした。実際の臨床場面では、認知的な技法と共に行動療法的な技法も多く取り入れられている。
アーサー・フリーマン(Freeman, 1989)の認知の歪み。
1.全か無かの思考(善か悪か、白か黒かの両極端「1位ではないとびりと一緒」)
2.破局的な見方(ちょっとした困難を大変な災難と思う)
3.過度の一般化(一度失敗しただけで、いつも失敗すると勝手に結論づける)
4.選択的抽出(自分の考えにあったわずかな事実を選び出し他を無視「いつもこうだ」)
5.独断的推論(試験時、準備を十分したのに落第すると思う)
6.誇大視と極微視(自分の欠点や他人の長所を過大評価、自分の長所や他人の欠点を過小評価)
7.自己関係づけ(渋滞時「僕が急いでいるときは、いつもこうだ」と思う)
<選択的抽出の実験的研究>
クローソンとクロムウェル(Crowson&Cromwell, 1995)の簡明な実験。
抑うつ的な傾向の強い大学生とそうではない大学生を選び、否定的なメッセージと肯定的なメッセージのいずれかを好んで聞くかを実験的に検討した。20分間テープを聞き、いつでも切り替え可能で好きな方を聞くことができる。抑うつ傾向が強い学生は同じぐらいの割合で聞くが、そうではない学生は肯定的なメッセージを多く聞いた。音質についても、否定的なメッセージを音質がよいと抑うつ的な学生は評価する傾向にあった。
【所感】
フリーマンの7つの認知の歪みをみると、2~7はほぼ同じ内容に感じます。事象をマイナスに且つ大きく解釈してしまう認知の仕方でしょうか。自分を照らすと1の全か無か思考が強かったところから、歪みが治ってくるというか、徐々に和らいでいる気がします。認知療法は例えば「その考えは、全か無か思考であり、歪んでいる」と認知するところから始まりますが、ではその歪みをどう治すかは本書には言及されていません。心療内科の領域でしょう。今回で『やさしい教育心理学』の全ページまとめが終わりました。次回は、吉田が勝手に考える「本書から選ぶすごい心理学者ランキング」を載せたいと思います。
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