週の風景

041 月曜日に出社したくなる会社

先週の日曜日に、ホワイト企業大賞の授賞式に出席しました。
http://whitecompany.jp/#aWC

これは現在私が通塾している天外塾代表の天外さん主催の賞であり、「ホワイト企業=社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」と定義しています。私自身「新しい経営の在り方」を設計しようとしており、そのためのインプットとして参加致しました。

授賞式~大賞企業の講演~ワールドカフェ形式の対話、という流れの中、心奥に達するような大変深い気づきのある場でした。

例えば・・・

・思い切って「やりたくないこと」を一切やめるとして、「やりたいこと」だけを社員に出してもらい、社員が話し合い決め、そこから生産性ややりがいなどが飛躍的に上がった大賞企業GCストーリー様。社員が仕事の解釈をし直し、自己決定するような「考える機会」を都度提供することは大切。

・社員の9割以上が「月曜日にワクワク出社する」西精工様、同じようなやりがい企業のネッツトヨタ南国様。衝撃。共通するのは社員が「居場所がある」と感じ、仲間とのつながりが強く、また皆で会社のために貢献しようという気持ちがある。

・この場の受賞企業や参加企業は、皆経営者が社員にやりがいをもってもらうことに心を砕いている。粉骨砕身して社員と組織のために尽くすというか。それが嫌ではなく、当然ながら経営者自身がそれを楽しみ、やりがいをもち、手ごたえをもっている。

要は「本気」で社員の幸せと働きがいに向き合う。これですね。

先週は毎日研修がある週で、緊張感はありますが張りがあり充実しました。忙しいのは、ありがたいことです。
今週も研修WEEKです。

※ちゃっかり発表してます


宗興の本棚

第127週 『超効率 勉強法』

第127週
2020/1/19
『超効率 勉強法』
メンタリストDaiGo著 Gakken社

未読の書籍を含め、本棚に食指が動く本がなく、またアマゾンの検索でもピンとくるものがなかったため年始に書店へ行きました。そこで8冊ぐらいまとめ買いした中の1冊。咲心舎の塾生、自分、娘・息子に役立ちそうだと思い手に取りました。

内容は、著者が学術研究で裏付けられたテクニックを紹介するもので、冒頭で掲載された間違った勉強法7つには軽くショックを受けました。これは2013年アメリカのケント州立大学が200件を超える勉強法の検証を行い「効率が悪い」と判断したものです。特に7つの中で下記3つはこれまで私が非効率とは知らず、教育者として知っておいてよかったと強く感じたものです。

一つ目、ハイライトやアンダーラインは「重要な情報」を選別するだけで、「この内容には覚える価値がある」とまで脳は考えず、覚えたいことを脳に刻み込むにはまったく使えないそうです。考えてみれば、選別と記憶は確かに別物です。

二つ目、「自分の学習スタイルに合わせる」のも非効率だそうです。近年インディアナ大学が、数百万人のデータ検証を行い「自分が好きなスタイルで勉強をしてみてもテストの成績は全く向上しなかった」と報告していると著者は言っています。咲心舎では塾生に自分なりの勉強法を確立しようと言っていますが、『本当に効く勉強法には個人差などない』とのこと。自分なりの前に、まず効率的な勉強法をおさえることが重要と感じます。

三つ目、「忘れる前に学習する」というのも非効率だそうです。忘れる前ではなく、「忘れかけた時点」で復習するのが効率的とのこと。著者は分散学習という研究者のピョートル・ウォズニアックが過去の膨大なデータをもとに考え出したインターバル復習法を紹介しています。これは①最初の復習は1~2日後②2回目の復習は7日後③3回目の復習は16日後④4回目の復習は35日後⑤5回目の復習は62日後というように、記憶した情報の量が90%まで減ったタイミングで復習を行うよう設定されています。咲心舎の80点テスト(単元テスト)は、エビングハウスの忘却曲線を元に、忘れる前に実施する設計でしたが、忘れかけた時点に設計し直すのも良いかもしれません。

上記に加え、インターリビングの考え方も参考になりました。はさみこむ、交互に配置するという意味ですが、1回の練習の間に複数スキルを交互に練習する手法を指します。野球の投手だったら1回の練習で「カーブ→フォーク→スライダー」などの投球練習をするイメージです。2015年南フロリダ大学が行った実験で、二つのパターンの勉強法を指示しました。①1つの方程式をマスターしたら次に進む(ブロック練習)②1回の授業でさまざまな方程式の使い方を学ぶ(インターリビング)。すると、翌日のテストではインターリビングを使ったグループのほうが25%も成績が良く、さらに1ヶ月後の追試では、両グループの得点差は倍近くに開いたそうです。この結果はパワフルです。これは脳が刺激に敏感に反応するためで、一つのことより複数の方が刺激があるからと著者は言っています。企業研修でもインターリビングの考え方を伝えていこうと思いました。

最後に、著者Daigoさんの参考文献は全て海外論文でした。日本語訳もありません。完全な一次情報であり、そのこと自体、私に刺激になりました。
(1366字)

週の風景

040 年頭の感謝

明けましておめでとうございます。

咲心舎の冬期講習もあるので、私達は1/4(土)が仕事はじめでした。初週、冬期講習の熱気と笑いが溢れる塾は高橋が全て運営し、私は研修報告や制作、翌期のプランの提案など大変立て込んだ週でした。高橋が責任をもって運営していること自体ありがたいですし、そもそも仕事が忙しいのもクライアント企業様のおかげであり、本当にありがたいことです。ありがとうございます。

また、年賀状のやりとりで普段中々会わない方から「ブログ見てるよ~」と言ったお声をかなり頂きました。ブログはメールと違い誰に届いているか分からず、時折心もとない感覚になるため、こういった声を頂けるととても励みになります。ありがとうございます。

大体年初にビジョンの見直し及び、目標と行動計画を設定をしますが、今年の有言実行策を一つ。体力をつけるため週2回ランニングします!実は昨年仕事をしたくても体がついてこず、自身の想定より生産性が上がらないことがありました。ずっとバリバリやりたい私は50代以降に向けて体力をつける必要性を痛感し、一念発起して大の苦手であるランニングを始めることに。そして早速昨日から開始しましたが、たった30分で恐ろしい程にバテました。股関節やひざがいたい・・・。手足に力が入らない・・・。前途多難ですが、続けます!

今年はこれまでにないエネルギーで走りたいと思っています。
宜しくお願い致します。

宗興の本棚

第126週『動機づける力 モチベーションの理論と実践』

第126週
2020/1/12
『動機づける力 モチベーションの理論と実践』
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 ダイヤモンド社

学術研究により生み出された考察や理論は、数多の情報が氾濫しエビデンス重視の現代においては重要性を増していると感じます。本書は代表的なモチベーションの理論と実践を集めた論文集です。今回私達の研修でも言及しているハーズバーグの2要因理論について新しい気づきを2つ記載します。

一つ目は、『KITA』という言葉。論文の冒頭に出てくる言葉で、「尻を蹴飛ばせ:Kick in the pants」の文字を組み合わせています。そしてKITA的な施策はモチベーションにならないと筆者は言い、効用が乏しいのにも関わらず次々にKITAが生み出されていく流れをシニカルに描写しています。

まずKITAは①労働時間の短縮②賃上げ③フリンジベネフィット(諸手当)からはじまります。しかし、効果が出ず社員の金銭欲も怠け心も飽くことがないことがわかったとき、マネージャーが人間の扱い方を知らないことが原因とされます。そこで④人間関係トレーニングが導入され、その後自分を直視する必要性が生まれ⑤感受性のトレーニングへと移行します。更に、より他者との関係を考える⑥コミュニケーション論が導入されますが、モチベーションは喚起されず、一方的なコミュニケーションが原因とされます。この流れから⑦ツーウェイコミュニケーションの必要性が叫ばれ、モラールサーベイ、提案制度、労使双方のコミュニケーションが開始されます。しかし、これでもモチベーションは改善されず、人間は自己実現を欲するものという心理学に焦点があたり、ネジを締めている行員に「シボレーを作っている」と教えるなど⑧仕事への参画意識をもたせる取り組みがなされます。それでも意欲喚起が難しいため、社員は何か患っているという結論を出し⑨カウンセリングが導入されます。『使い古された積極的KITAが飽きられると、また新種が開発さていくわけである。』とあるように、著書曰くこれらの施策はあくまで全てKITAであると主張しています。

現代で使われている様々な施策が、50年以上前に一巡していることが驚きです。著者は『KITAの効果は短期的である』と言い切っており、アメとムチの効果が一時的であることに強い裏付けとなります。

もう一つは、『仕事の充実化』(Job enrichment)という造語です。これは『仕事の拡大』(Job enlargement)へのアンチテーゼです。著者は、動機づけ要因をうまく操作し、仕事の充実化を図れば社員のモチベーションは持続すると主張しています。仕事の充実化の手法として、より高い目標数字の設定や、同種の仕事の増加という「水平的職務負荷」ではなく、権限と責任を増やし、統制を省くなど「垂直的業務負荷」をかけることを提唱しています。実際の実験でも、「垂直的負荷」を新たに導入したグループの業績格差が半年で10%以上の差となりました。ちなみに、最初の3ヶ月は新たな業務への不安などから、業績が下がっていることも注目です。

まとめると、著者は『苦痛を避けようとする動物的な欲求ではなく、心理的に成長しようとする人間的な欲求』を重視し、人間の心の奥底にある向上心に着目しています。メンバーから給与や休みの不満を言われているマネジメント職に『仕事の充実化』という言葉を含め、新たな手法を伝えていけそうです。

二次情報ではなく、原文、原典という一次情報に触れることは、対象となる項目の根本理解に必須であると再認識しました。論文系は完読するのに物理的な時間を多く要しますが、今年10本程度は挑戦したいと思います。
(1456字)

週の風景

039 ものづくりの人

仕事納めの先週はプログラム制作WeeKでした。

特に部長向けリーダーシップの新プログラムは相変わらずうんうんとうなりながら、制作していました。参加者の顔や場面を想像しながら決めたものを、一晩寝かして翌日またやっぱりこっちだと変更するなど、納得のいくものに仕上げるべく往来を繰り返しました。例えば社会環境の分析を何年後の社会に設定するのか(社会軸)、会社全体の分析を何年後の会社に設定するのか(会社軸)、そして自部門のビジョン設定を何年後のものにするのか(ビジョン)は、その企業様や同じ企業内で職種によって、いや究極人によって異なります。リアリティをもって燃えられるのは何年後の目標かというのは、個々によって違うものです。パワポ資料に反映されるのはただ年数だけ。よってパワポを打ち込む時間はわずか3分。しかしその3分までに、日をまたいで何年後がよいかなーと考える訳です。

考えてみると、起業して6年半以上、平均毎月10日ぐらいはプログラム制作の時間があったと思います。質を第一に、1社1社、1回1回作りこんでいくためこのように多くの時間をかけることになりましたし、中々生み出せず苦悶する時間も多かったです。ただ、営業側の人間だった自分が、自分の手で創り届けるという「ものづくり」の感覚や喜びを感じることができました。クライアント企業様がいたから体験できたことであり、心から感謝しています。本当にありがとうございます。

今年も色々とありがとうございました。起業してもうすぐ丸7年が経ちます。実は自分としては大きな決断をし、新たな挑戦も開始します。今はその準備なども進めていますが、是非また良いタイミングでお伝えしたいと思います。来年も宜しくお願い致します。

教育心理の部屋

第70回「認知療法②ベックの認知療法 10章 カウンセリングとは」

第70回
2019/12/29
「認知療法②ベックの認知療法 10章 カウンセリングとは」

【まとめ】
3つの心理療法
1.クライアント中心療法
2.行動療法
3.認知療法

今回も認知療法。米アーロン・ベックの認知療法。

アーロン・ベック(Aaron Temkin Beck、1921年7月18日 – )は、アメリカの医学者、精神科医で、うつ病の認知療法(Cognitive Therapy)の創始者として知られる(Wikipediaより)

ベックは心理的な問題をもった人には、思考パターンの歪みがあることを見出し、クライアントが自分のもつ思考パターンの歪み(認知の歪み)に気づき、これを修正することを治療の目的とした。実際の臨床場面では、認知的な技法と共に行動療法的な技法も多く取り入れられている。

アーサー・フリーマン(Freeman, 1989)の認知の歪み。
1.全か無かの思考(善か悪か、白か黒かの両極端「1位ではないとびりと一緒」)
2.破局的な見方(ちょっとした困難を大変な災難と思う)
3.過度の一般化(一度失敗しただけで、いつも失敗すると勝手に結論づける)
4.選択的抽出(自分の考えにあったわずかな事実を選び出し他を無視「いつもこうだ」)
5.独断的推論(試験時、準備を十分したのに落第すると思う)
6.誇大視と極微視(自分の欠点や他人の長所を過大評価、自分の長所や他人の欠点を過小評価)
7.自己関係づけ(渋滞時「僕が急いでいるときは、いつもこうだ」と思う)

<選択的抽出の実験的研究>
クローソンとクロムウェル(Crowson&Cromwell, 1995)の簡明な実験。
抑うつ的な傾向の強い大学生とそうではない大学生を選び、否定的なメッセージと肯定的なメッセージのいずれかを好んで聞くかを実験的に検討した。20分間テープを聞き、いつでも切り替え可能で好きな方を聞くことができる。抑うつ傾向が強い学生は同じぐらいの割合で聞くが、そうではない学生は肯定的なメッセージを多く聞いた。音質についても、否定的なメッセージを音質がよいと抑うつ的な学生は評価する傾向にあった。

【所感】
フリーマンの7つの認知の歪みをみると、2~7はほぼ同じ内容に感じます。事象をマイナスに且つ大きく解釈してしまう認知の仕方でしょうか。自分を照らすと1の全か無か思考が強かったところから、歪みが治ってくるというか、徐々に和らいでいる気がします。認知療法は例えば「その考えは、全か無か思考であり、歪んでいる」と認知するところから始まりますが、ではその歪みをどう治すかは本書には言及されていません。心療内科の領域でしょう。今回で『やさしい教育心理学』の全ページまとめが終わりました。次回は、吉田が勝手に考える「本書から選ぶすごい心理学者ランキング」を載せたいと思います。
(1115字)

宗興の本棚

第125週『マーケティングとは「組織革命」である。』

第125週
2019/12/29
『マーケティングとは「組織革命」である。』
森岡毅著 日経BP社

最近特に強く思うことがあります。より多くの組織を束ねられる方は、結局ビジョンや事業戦略を描く以上に、組織マネジメントの力が長けていると。個ではなく組織(チーム)として行うのであれば、個の力を引き出し、つながりの化学反応を起こし成果を最大化させることに腐心するのはある意味当たり前かもしれません。著者はUSJをV字回復させたマーケティングの専門家ですが、実際のマーケティング手法ではなく「組織変革」という題名に惹かれ手に取りました。

非常に実用的な書籍のため、私共のリーダーシップ、マネジメントプログラムに直接取り入れそうな項目がふんだんにありました。中でも下記3点を取り入れていきたいと思います。

一つ目は、組織マネジメント・システムの位置づけについてです。そもそも組織とは何か。著者は組織を「機能の鎖」として捉えています。そしてシンプルに4つの機能、ファイナンス・システム、マーケティング・システム、生産マネジメント・システム、組織マネジメント・システムに大別しています。最後の組織マネジメント・システム(人をより生産的に働かすための仕組み)を3本柱の土台とおいているところがミソです。これは特にプレイヤー志向が強い技術系の管理職に対して、組織マネジメントを促進する事例として紹介できそうです。

二つ目は、変革の仕方の「勝ち筋」を明確にすることです。著者はUSJのV字回復の際、戦略として「三段ロケット構想」を掲げました。目玉であったハリーポッターの施設は450億円かかり、700億円の売り上げの会社としては投機的な色合いの強い投資になります。当然いきなり導入はできないため、コラボや低予算アイデアで稼ぐ→新ファミリー・エリアで稼ぐ→ハリー・ポッターで稼ぐ→パークの多拠点展開で稼ぐ→アジア最大のエンターテイメント・カンパニーになるという勝ち筋を明確にみせました。そして第一段階のコラボや低予算アイデアを成功させ信用貯金を増やし、ハリーポッターの導入を実現させました。勝ち筋をつくる際に、「逆算の階段」として壁の頂上(魅力的な成功)から階段を一段ずつ下げながら今いる地面まで組み立てることが重要と言っています。参加者に策定していただくビジョンと実現策を伝える際、この「勝ち筋」という言葉は有効な考え方として組み込めそうです。

三つ目は、個の便益です。人を動かし突き動かす情熱のエネルギーは公の便益に訴えるだけでなく、深層面の個の便益に響くことで生み出されていくと著者は言っています。そして個の便益は、評価や報酬が上がる実利系の便益以上に、「やりがい」という感情系便益が重要であるとも言っています。実際にハリーポッター導入の際、『このプロジェクトは、子供だけでなく、孫にもひ孫にも自慢できる仕事になる』とメンバーに伝え鼓舞したそうです。この心の奥底の種火に火をつける考え方も、ビジョンを伝え、意識統合と動機づける際に、有効な考え方として組み込めそうです。
(1223字)

週の風景

038 景色が変わる

先週の木曜日は今年の研修納めでした。

研修納めは、ある会社様の執行役員向けの最終回です。6ヶ月計8回に渡り、自分と、社会と、会社と、メンバーと、そしてまた自分と向き合い、独自解を創り上げてきました。最後の感想共有である一人の方から放たれた言葉が、私の中で琴線に触れました。

それは

「景色が変わりました」

という言葉です。

この方は、責任はきっちり果たしますがどちらかというと保守的なタイプと感じていた方です。その方が研修を通して自身で立てた部門のビジョンを部門のイベント時に取引先の企業様にも宣言をするという、驚きの行動をしていました。これはとてつもなく勇気のいることです。

研修参加者の方が学びと実践を通してこの境地に辿り着いたことを心から嬉しく思います。と同時に何となく羨ましさを感じました。私自身が「景色が変わった」と言える程のチャレンジをしているのか自問をする良い機会となりました。負けてられん・・・来年はより熱くいきます!
今週は新年の研修に向けた制作WEEKです。

宗興の本棚

第124週『受けてみたフィンランドの教育』

第124週
2019/12/23
『受けてみたフィンランドの教育』
実川真由・元子著 文藝春秋社

2003年度のPISAで、フィンランドは3項目中2項目で1位、1項目で2位という驚くべき結果を出し、これ以降フィンランドの教育は注目をされ続けてきました。今回久々に日本の教育を再考する際のヒントにしようと手にとりました。

本書は、日本の中高一貫に通う女子高生がフィンランドに1年間留学をした時の体験をつづったものです。各章の終わりには翻訳家・ライターの母親が、親の視点から解説をしています。

本書を読み、日本との「PISA力」の差を生み出す二つの違いを抽出しました。一つは、高校のテストのほとんどがエッセイ(作文)であることです。英語、国語はもちろん、化学や生物、音楽までもエッセイであり、穴埋め問題はそもそも存在しないそうです。例えば、「あなたにとって文化が意味するところはなにか」(英語)、「耳について知っていることを全てかけ」(生物・留学生用)など、上級になると数学もエッセイがあるそうです。エッセイを書くだけの知識を詰め込む必要はありますが、あくまで自分の意見を問われており、『本や資料から得た知識を、自分なりに解釈していくという訓練がフィンランドの学校が教えていることだ。』と筆者は言っています。

もう一つは、全体を通して実学志向であることです。まず中学生について、職業教育が組み込まれている点は日本と一緒なのですが、職業体験が2週間もあります。次に高校卒業後、すぐに大学入学をする人は珍しく、若者のほとんどは高校を卒業すると仕事をしながらその後の進路を考えるそうです。フィンランドにはヴァリヴォシ(猶予期間)という言葉があるのですが、多くはこのヴァリヴォシを大切にしていると著者は言っています。そして大学について、就職で実務経験が問われるので、大学生はインターンシップなどで実務経験を積むことに一生懸命になるそうです。フィンランドの人口は約550万人、大学数も20のみで大学間の偏差値格差もないそうです。大学生の就職率はほぼ100%であり、全入時代の日本とは大学のあり方自体異なると思いますが、教育の目的を「自分の納得のいく仕事をみつけるため」とおくフィンランドらしい実学志向がうかがえます。

この実学志向に付随し「納得のいく仕事」につくまで年齢制限を設けていないのもフィンランドの特徴ではないでしょうか。著者が高校卒業後、ほとんどがすぐに大学入学する日本の現状を話すと、フィンランド人の友人が目を丸くして「え、将来のことなのに、なんでそんなに急ぐの?」と言ったシーンが印象に残っています。

国立大入試の記述式が実現できなかった今、日本の教育はどこに向かうのがよいのか。解を出すこと自体至難ですが、せめて自分の子供には社会の「年齢制限」に囚われず、応援していきたいと思います。
(1139字)

週の風景

037 規格外の塾

※昨日は人生初の内視鏡検査のためお休みでした。

先週は研修WEEKでした。5日中4日研修があり、体的にはハードな週ではありますが、自分が一番好きな参加者接点の場であり、とても楽しく過ごせました。一生懸命に参加して頂くマネジメント職が多く、本当にありがたいです。

さて、今日は「学び」についてのネタを。私は大体2年に一度、新たな集中インプットとアウトプットを通した劇的成長の場を求め、学びの場に入ります。2015年は日本政策学校、2017年はフォスターワンの経営者コンサルティング、そして今回2019年は天外塾(てんげじゅく)です。

天外塾は、ソニーでCDやアイボを開発した元上席常務の天外さんが、開催する経営塾です。月1回6か月間の学びの場となっています。丁度先週第3回がありました。

資本主義大礼賛だった私は起業からの6年半を通して、驚くぐらい価値観が変わりました。現在は、世界的な資本主義の限界を感じると共に、これまで刷り込まれた社会通念への懐疑をもとに別の価値観への移行期に入っています。その移行は、ある社長に頂いた「蛻変(ぜいへん)」という言葉が当てはまる気がします。蛻変は脱皮ではなく、セミなどが全く違うものに変態する様を指します。受講済みだった親友の経営者が進化する様をみて私も自身の変化を決定的なものにしたく、10月より参加することにしました。

天外塾は主に経営者の内的進化により、現象面としてはホワイト企業、フロー経営、ティール組織に近づくことを目指します。

話をしていることは宇宙の話、禅の話、自身にすくうモンスター(怨憎会苦)の話、親子の葛藤の話、メンタルモデルの話、キーガンの5段階説など、これまでの経営論的アプローチからは一線を画す、いわば規格外の塾でしょうか。「世界的に資本主義の次に進んでいる」と天外さんは仰りますが、分からない人には全く理解ができない、そんな世界観の中で学んでいます<笑>。

どんな場でも目的を明確にして、参加することが重要です。私も今回二つの目的をもっており良い感じて達成に近づけています。学びを通して自身が進化し、社会に還元していくのは私にとって心底楽しく充実感があります。ご関心がある方は下記サイトを是非ご覧になって頂ければ幸いです。引き続き、楽しみながら学んでいきます。
http://www.officejk.jp/