宗興の本棚

第123週『自己肯定感の教科書』

第123週
2019/12/15
『自己肯定感の教科書』
中島輝著 SBクリエイティブ社

ライフスキル概念図の真ん中にあるのは自己肯定感です。これまで自己肯定感を高める理論を探し続けてきましたが、「決定的な」学術研究はまだ見つかっておりません。本書は、学術研究ではないですが、久しぶりにこのテーマで新たなインプットがしたくなり手にとりました。

新たな知見として得られたことは下記3つです。

一つ目は、自己肯定感は揺れ動くということです。著者曰く、自己肯定感の「強い木」を育んだ人でも、環境により自己肯定感は上下するそうです。これまでは自分が何かに不安にかられると、自己肯定感がまだ低い人間だなと考える節がありました。不安になるからといって自己肯定感が恒常的に低いと決めつけず、「今は」自己肯定感が下がっている状態だなと認知することで、自分自身が整いやすくなると感じました。

二つ目は、自己受容感を高める方法です。著者は自己肯定感を6つの感に要素分解しています。①根の自尊感情②幹の自己受容感③枝の自己効力感④葉の自己信頼感⑤花の自己決定感⑥実の自己有用感です。

この中で、特に②幹の自己受容感は、最近私がとても重要視しているものです。この定義は『自分のポジティブな面もネガティブな面もあるがままに認められる感覚』です。実例として、上司に責任転嫁された傷がいえず、ふとした時に苛立つ30代男性が挙げられていました。この方に著書が『エクスプレッシブ・ライティング』という負の感情を思いっきり書き出す方法を処方したところ、区切りをつけることでき先に進めたそうです。人間は区切りをつければ忘れられる。私は「幕引き」という表現をしていますが、幕引きにこの手法は有効だと感じました。

これに関連して、アメリカの心理学者ダニエル・ウェグナーが行った「シロクマの実験」が興味深かったです。協力者を3つのグループを分け、シロクマの1日を追ったドキュメンタリー映画をみてもらいます。そしてA:シロクマのことを覚えておいて、B:シロクマのことを考えても考えなくてもよい、C:シロクマのことは絶対に考えないで、と伝えます。
1年後、映像の内容について覚えているかどうか聞くと、Cのグループが映像の内容を一番鮮明に覚えており、これを「皮肉過程理論」と名付けたそうです。この実験で、人は「忘れたい」「こだわりたくない」所に「忘れられず」「こだわってしまう」生き物であることが実証されました。負の感情を感じることは自然であり決して悪いことではないと私は思います。区切りをつける『エクスプレッシブ・ラインティング』は、自身でも早速実践してみたい方法ですし、これも子供向けに上手く展開できると良いなと感じています。

三つ目は、セルフハグです。精神科医のミシェル・ルジュワユーが「セロトニンなどの幸福感をもたらすホルモンの分泌は、自分で刺激することができる」と提唱しているそうです。ここから幸福物質である「セロトニン」を分泌させるのに8秒間セルフハグをするのが有効と著者は言っています。なぜ8秒かというと、大人が深呼吸をするのが大体8秒になるからです。ハグしながら「ありがとう、私」「がんばっているぞ、私」など自分を褒めるのも効果的だそうです。不安や焦燥、怒りに苛まれた時だけでなく、習慣としてセルフハグを取り入れると簡単でも効果が高い手法と感じました。
(1357字)

週の風景

036 積み重ねの大切さ

今日は研修報告のお話です。

先週火曜日は、丸3年お世話になっているIT企業様の経営層への研修報告を致しました。この企業様は大変ご多用にも関わらず、毎回社長と取締役全員が出席されます。経営層が教育に関心をもって頂いていることが私としてはとてもありがたく、毎回報告を楽しみにしています。ただ楽しみではあるものの、経営層が集まる場なので当たり前ですが空気に緊張感があります。

さて、いざ報告が始まると、和気あいあいまではいかないですが、これまでより何かやわらかく少し砕けて対話が進むような場になっていると感じました。単純に席配置の関係かもしれませんが、3年(マネジメント職全員や新卒)教育をお任せ頂き、その積み重ねにより、もしかしたら私に対して少し安心が生まれているかもしれない(そうだったらいいな)と勝手にプラス解釈をしています<笑>。

丁度先々週も別の企業様で新卒向け研修の報告をしていました。創業期から丸6年も実施させて頂いているのですが、参加者の反応からこれまでで一番手ごたえがある回だったことを率直に伝えると、人事の方々にも同意して頂き「6年経って私達のことをよく知って頂いて、見ていて安心感がありますし、そういったことが参加者にも伝わっているのだと思います。」とありがたいお言葉を頂きました。このことがあって、上記のプラス解釈が生まれた次第です。

IT企業様の真相は分かりません。しかし積み重ねというのは、クライアント企業様と私共にとって価値のある大切なものであることをあらためて感じます。これからも積み重ねていけるよう、研鑽をしていきます。

今週は怒涛の研修WEEKです。体調管理をしっかり行い、走ります!

教育心理の部屋

第69回「認知療法①エリスの認知療法 10章 カウンセリングとは」

第69回
2019/12/8
「認知療法①エリスの認知療法 10章 カウンセリングとは」

【まとめ】
3つの心理療法
1.クライアント中心療法
2.行動療法
3.認知療法

今回は認知療法。クライアント中心療法は人の感情に焦点。行動療法は行動に焦点。認知療法は、人のものの考え方、信念こそが感情や行動の問題を引き起こすと考える。よって治療は、クライアントの思考パターンや信念を変容させることに力点がおかれる。

エリスの論理療法(Ellis, 1973)やベック(Beck, 1976)の認知療法を紹介。

米アルバート・エリスの論理療法。ABC図式に要約できる。
A(Activate event):出来事「就職面接を受ける」
C(Consequence):結果「強い不安や気分、自分への憎悪」
B(Belief):思い込み「面接で落とされたら人生真っ暗、虫けら同然。絶対にうまくやらなくては」

「不合理な思い込み」により、不安や絶望感などの不適切な感情が起こる。
エリスは10の不合理な思い込みを列挙している。

エリスはABCの後にさらにDEを付け加えている。
D(Disute):論駁=不合理な思い込みへの挑戦「面接に落ちたらなぜ人生が真っ暗になるのか。面接に落ちたら自分は虫けら同然とは何の証拠があるのか。」
E(Effect):効果=認知的な効果「面接で落ちたから虫けらなのではなく、自分で自分を虫けらだと定義するからそう感じるだけのこと」面接で不安を感じることがずっと少なくなる行動的効果も得られる

【所感】
エリスの論理療法は、自身の経験からもとても効果の高いものだと感じます。私自身、漠然としているものの鈍痛のような重い不安を感じる時があります。それは大体その原因や対策がはっきりせず、しかも具体的な未来が見えない時と認知しています。その際、具体的になぜそう感じるのかなど紙とペンをもって自問自答をするとすっと気持ちが晴れていくことが多いです。不安や怒りをはじめとした大抵の否定的感情は各々独自の論理療法で解消される気がします。

では自分でも比較的簡単に解消できることに対して、なぜカウンセリングを必要とする方が多いのか。二つの理由が浮かびます。一つは紙に書くなどの行為がそもそも面倒くさいと思うから。例えば、確かに疲れた週末に紙とペンをもって自分と向き合うのはパワーがかかることです。もう一つは、自身の内面と向き合うのが怖いから。ABC図式のBeliefを作るは幼少期からの経験であることが多く、強いトラウマがある場合などはそこと向き合うこと自体多大なストレスを引き起こします。こう考えると治療には論理療法だけでなく、行動療法と組み合わせが必要な気がします。私の場合、気が向いた時にノートに書くようにしていますが、月2回など習慣化した方が、より一層不安解消をはじめ精神の充足には効果があるかもしれません。
(1145字)

宗興の本棚

第122週『将棋「初段になれるかな」会議』

第122週
2019/12/8
『将棋「初段になれるかな」会議』
高野秀行×岡部敬史×さくらはな。 扶桑社新書

私が人生で初めてハマったものは仕事です。そして次にハマったものは子育て。そして最近ハマっているものは将棋です。将棋は初めての趣味です。

将棋教室に通い始めたのは2017年2月です。アキレス腱を断裂しスポーツが出来なくなったこともきっかけで、娘、息子と共に始めました。最初の1年10ヶ月は、楽しむことを念頭にのんびりゆっくりと進んでいました。しかし昨年の12月、千駄ヶ谷(北参道)にある将棋会館(将棋連盟)の道場に行ったことが完全にハマる転機となりました。道場は入室料を払い様々な方と対局できる場所です。その日、何人かと対局しそこで認定された級位は10級。宗真は8級。実来は11級でした。ちなみに段・級は15級~1級、初段~6段まであります。

当時自分の棋力は少なく見積もっても6級ぐらいはあると思っており、また息子にも負けたことで大変落ち込みましたが、ここで私に火がつきました。翌週、将棋教室の先生に「子供と共に連盟の初段を目指したい」と宣言をします。しかし先生からは「大人になって将棋を始めた方が初段になるのは難しいと言われてます。」と返され、うっとなった直後「吉田さんだったらできるかもしれませんね」と言われ、更にやる気に火がつきました。

そこから1年が経ち、それまでの1年10ヶ月とは明らかに伸びが違います。10級だった私は現在3級です。ちなみに宗真は5級。何とか抜きました。(実来は9級で中学受験に意欲が傾いたため一旦将棋はお休みです)

私にとって将棋は5つの意味があります。
一つ目は、子供との共通体験。子供と一緒に取り組み互いに伸びるとても豊かな時間を過ごせます。
二つ目は、思考力の向上。論理力、想像力、大局視点が鍛えられます。また小・中学時代、遊びの将棋で私はとても弱く、将棋が強いこと=論理的で賢いことと捉えコンプレックスを感じていました。大人になってその脱却にも一役買っています<笑>。
三つ目は、教育理論の実践。持論である人の成長=成長サイクル×モチベーションを実証、改良できる機会となっています。将棋を通して、人が伸びるには、何と言っても正しいやり方とモチベーションが重要と実感しています。
四つ目は、自己分析。将棋は棋風や癖など「自分自身」が盤面に出ます。これが自己分析になり自身のことを知る事ができます。例えば、私は臆病なくせに攻め好きで無謀に突っ込む癖(へき)がある、よく馬(角)の効きを見逃す視野の狭さがある、など再認識をしました。
五つ目は、楽しさ。仕事以外でハマったものがなかったので純粋に楽しいです。人生を豊かにする方法は仕事だけでなく、趣味もあるなと今更ですが実感しています。

さて、本書についてです。本書はプロ棋士、将棋が趣味のライターと漫画家の3名の対談形式で読みやすいものです。将棋の本はプロが書いた本が殆どなので、実は級位者(初段に届いていない人)には複雑で実践できない筋も多いと常々思っていました。本書は、はじめにの部分で『本書は、今まで身の丈に合った本がなかったに違いない級位者のみなさんにとって「これならわかる」を目指したものです。』と書いてあり、まさにニーズと合致し手に取りました。

読了して総じて「迷い」がなくなり、独自のトレーニングメニューの構築につながりました。
例えば、迷いが消えた3つは下記です。
・詰将棋は5手詰めまでで十分
・戦型は一つ覚えれば十分
・棋譜並べは必要なし(楽しむためにやるだけでよし)
疑念が晴れ、やり方への迷いがなくなったことは棋力の伸びに大いに影響したと感じます。

現在のトレーニングメニューは下記の三本柱です。
1.基礎体力づくり→詰将棋。5手詰めをマスターした後、詰め将棋は自分に合っているので現在7手詰めを毎日
2.基礎力づくり→『駒落ち定跡』、『寄せの手筋』を気が向いた時に。駒の効果的な動き方がわかる。
3.課題のクリア→三間飛車対策、後手番の時、端攻め等々。会館での対局をもとに課題設定し、次の機会までに勉強して課題を克服する。これも週の中で気が向いた時に。

将棋を通して、とにかく伸びるには「モチベーション」が最も重要であることを実感します。やらされ感は何をやっても伸びません。私だけでなく、企業研修の参加者の方々も、咲心舎の塾生も、我が子も同じではないでしょうか。「やりたいことをやる」、原則これだけです。

上記の実感から年々管理職の方々に無理強いは一切しなくなりました。「できること、やりたいことを一つだけから是非」と。咲心舎の塾生にもモチベーション重視で。また我が家では「勉強しなさい」とは基本言いませんでしたが、一切言わなくなりました。「やりたかったらやろう」。お稽古も全部そうです。

今年の目標は1月中に2級。3月中に1級。そして6月中に初段で、夏の合宿を越え、9月に二段を目指しています。かなり挑戦的な目標ですが、今年の目標であった3級をクリアしたので、いけると勝手に思っています。モチベーション重視で楽しみながら伸びていきます。
(2050字)

週の風景

035 一人一人を大切に

先週はお世話になっている方々との会食が続きました。

最初は先輩経営者であり、大切なクライアント様であり、背中を支えてもらっている社長様との会食。相変わらず小気味よいテンポで互いに近況報告と想いのたけを話し、見守って頂いている安心感を感じる場となりました。

火曜日は、創業当初コンサルもお願いし、NPOライフス会員にもなって頂いている社長様との会食。歳だけでなく性格が近くて互いのブラックな面も含めて何でも話せる方。「戦闘力と吾唯足知」が幸福には重要だなと感じる場でありました。

そして水曜日は、15年来のおつきあいがあり、心から敬愛する社長様と人事役員様との会食。起業して6年半で私の何が変わったのか、をはじめ自身の恥ずかしい出来事や弱い面も話しをしました。「根っこでつながる方との時間は本当に楽しい」と仰って頂き、未来へのワクワクと希望が見える場となりました。

最後に金曜日は、大変お世話になっている校長先生との場。腹蔵無く今の想いを話すことができ、結果として前へ向かう闘志が湧いてくる場となりました。

こうして書いてみると、私の場合割と何でも話せる、聴ける方々に囲まれているなと感じます。多分それは私の性分が関係しているかもしれません。数の多さを追求するより、一人一人とのご縁を大切にしていくことが純粋に好きなのです。結果として自分が心から「好き」と言える方々とつながりを頂き、本音のおつきあいができるような、大変恵まれた環境にいると思います。本当にありがたいです。

これからも、どこまでいっても一人一人の方といわゆる「根っこ」のつながりを大切にしていきます。

今週は制作WEEKです。

宗興の本棚

第121週『夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。』

第121週
2019/12/1
『夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。』
高橋歩著 サンクチュアリ出版

自由人で作家、事業家でもある高橋歩さんの名言集。学生時代に歩さんのトークセッションに参加し、感銘を受け、それ以降も歩さんの存在は頭の片隅にありました。本書は何年か前、妻が自分にプレゼントしてくれました。今自分の胸に刺さる言葉を挙げていきます。

1.「カッコいい」を大切にする

『オレらが何かを始めるとき、世の中は必ずというほど「理由を説明しろ」と言ってくる。でもそんなもん、自分がただ「カッケェって思う」とか「鳥肌が立つ」とか「ああいう風になりてぇ!」とかで十分じゃね?』

『自分が格好良いと思うことをやる。以上!』

『何かをはじめるとき、たいそうな大義名分は一切いらねぇべ。そんなこと考えているうちにテンション下がっていくしね。理由なんて、ヒーローになりてぇとか、格好良いとか、マジぶちかましたいからとかで十分だろ。自己満足でいいんだよ。結果、上手くいった時には、世のため人のためになってるよ。』

自分のエゴ(自利心)はダメだと決めつける人もいるのですが、そうではないと私は思います。私もかつてエゴは悪でありビジョン実現の阻害要因であるとして、禅なども取り入れながらエゴマネジメントをしてきました。ただ最近大きく変化しました。私は「子供たちが成熟社会で生き生きできるために必要な力を育みたい」と宣言しながら、「成功して力を持った事業家は『カッコいい!』し、そうなりたい」という自利心も根っこの原動力になっていたことに気づくことができました。「カッコいい」を追求して、より会社が大きくなれば、歩さんの言うように結果としてそれだけ援けられる人は多くなっていきます。自利も利他も両方を大切にしていく方が、私には合っています。

2.「やる」か「やらないか」
『「やりたい」か、「やりたくないか」か。「やる」か、「やらない」か。常に二択で生きたい。』

『「やりたいけど忙しいからできない」みたいな真ん中はない。』

本当にやりたい時は、自分に変な言い訳なんかせずに、やるものです。このモードの時は、何か障害になるものがあってもこうやって解決していけばよいという「How発想=どうしたらうまくいくか発想」で進んでいきます。私の言葉で表すなら、大切なことは自分のワクワクや、やりたいと思う衝動を大切にし、1週間経ってもその火が消えない場合、素直に従うことでしょうか。人に10段階やりたい度があるとすれば「やりたいけど今できないんだよね。」はまだ3~5あたり。ただ、歩さんの場合はそもそも度合いなど存在せず、10か0かのみ、ということでしょう。「今はやりたくない」といった方が嘘偽らない感覚かもしれませんね。ちなみに最近私は「『やりたい』か『やりたくないか』」よりも「『やる』か『やらないか』」を重要視しています。

3.やり切ることに意味がある
『やり切ることに意味がある。やり切ってはじめて終わりが始まりになるんだよ。』

『自分が決めたことはクリアしてから次にいかないと、人生が積み重なっていかないしね。なにをやっても同じ段階で無限ループすることになって、ひとつ上のステップには絶対にいけない。』

私にもこれは当てはまります。自分は挑戦好きで、自然に過酷な環境を選択する傾向があります。その道程で大体一度進退がかかる大きな壁に当たります、そこで一旦打ちひしがれながら、再度起ち上がり積み重ねてきたので今があります。公教育という堅牢無比な壁が立ちはだかる中これからNPOをどうしていくのか。この言葉に触れ、やり切ることに意味があると、あらためて闘志が湧いてきました。

4.家族が全て
『「会社の存在が掛かっているどんな大事な会議よりも、子供の運動会を優先する」って、オレは全社員に宣言して会社を創ったから、家庭を犠牲にしてまでやりたい事なんてなにも無いよ。』

今の仲間にも、そしてこれから自社にジョインしてくれる未来の仲間にも私もしっかりと宣言したいです。何よりも優先したいのは「家族」だと。家族との時間がとれない、家族の平穏が保てない事業や仕事をするつもりはありません。仮に資金がショートして、投資家がどうしても日曜日のその日しか空いていない。でも子供の運動会がある。さあどうする・・・。まだ自分はどっちもとりたいです(笑)。

壁にあたり、先のビジョンが描けず、熱さが失われていく中、歩さんの魂の言葉に触れ、深奥から闘志が湧き上がってきました。さあここからです。
(1806字)
※今日は息子に持ってもらいました。

週の風景

034 生活リズムまで踏み込む

今回は学習塾咲心舎の話です。

咲心舎は4月より全学年高橋に任せているため、あまり週の風景にもあがってきませんが、塾生の動向などは高橋の日報で毎日確認しています。先週は2学期の期末試験が近隣の学校全て(千川中、西池袋中、明豊中、板二中)で行われました。それに合わせ高橋も集中指導を行っていましたが、手ごたえ云々というより、高橋から「やはり生活リズムがちゃんとしないとダメですね。なんだかんだ言って、成績が伸びない子は、スマホで夜更かしとかしているんですよ。」という切実な声があがってきました。そして12月から塾生個々が毎月書いている「ビジョン実現シート」に、勉強課題ではなく、生活課題への取り組みを必ず入れてもらうとのことでした。

学校の授業理解がされていない塾生が散見されたため、9月から高橋は学校の授業の聴き方に切り込み、ノートチェック及び、適切な授業の聴き方=先生の話をメモることを指導してきました。そして今度は生活リズムに切り込んでいくことに。携帯使用のガイドラインを設けてはいますが、やはりそれだけでは生活リズムは整いません。塾がどこまで踏み込むかは難しい所ですが、目の前の子供の学力を上げることに一番熱のある人が促進していけばよいのだと思います。塾も研修もまずをもって大切な事は、目の前の参加者の成長にどれだけ情熱を注げるか。実施者の熱の高まりに必ず参加者は呼応します。高橋の更なる熱の高まりを感じた週でした。

今週は、大切な方々との会食が多く入っている週です。体に気をつけて走ります。

教育心理の部屋

第68回「行動療法②オペラント条件づけ 10章 カウンセリングとは」

第68回
2019/11/25
「行動療法②オペラント条件づけ 10章 カウンセリングとは」

【まとめ】
3つの心理療法
1.クライアント中心療法
2.行動療法
3.認知療法

行動療法の中の「オペラント条件づけ療法」について。小林重雄ら(小林, 1985)の研究を紹介。

登校できない小学1年生の児童、1学期は問題なかったが、2学期から登校をしぶるように。登校の準備の際に、泣いたり、部屋の隅に座り込むようになったりした。登校時、登校班に入ると支障なく登校でき、学校でも何の問題もなく過ごすことができる。治療者は、本児が単独で集合場所まで行けることを目的とした。

自宅から集合場所まで8段階で設定をし、まずは至近まで母親が同行し、それが達成されると少し離れた場所まで母親が同行する、と段階的に移行をはかり、最終的に自宅から単独行が達成された。

これはシェーピングの考え方だが、このためには報酬による強化が必要であり、この事例では、児童が母親と分かれて集合場所へ向かう際に、母親から1枚~3枚のシール(児童にとって価値がある賞品)が与えられ、児童の行動は強化された。児童の帰宅後、自らが用意した「がんばり表」にシールを貼った。その時に、母親は「大変よくできた。この次もがんばろう」と言葉により、強化をした。さらにシールがたまると、就寝時母親が添い寝をして、本を読んであげた。シールの獲得量が多いほど、その時間も長くするようにした。

結果、開始から約9週間後に集合場所への単独行が達成された。その後も、問題なく登校できているとのこと。

【所感】
行動療法の代表格として、スキナーの道具的条件づけが挙げられます。オペラント条件づけはこの道具的条件づけと同義です。これはいわばアメとムチ的な考えで、外発的動機づけにより行動変容を促すものです。本人の内発的動機を喚起することなく、アメでつるようなやり方は本当に子供のためになるのか?と常々疑問を感じてきました。よって、我が家では毎日の些細なことに称賛はしますが、だからといってご褒美的におもちゃなどの賞は極力あげないようにしてきました。
今回の章を読み、人が行動変容をし、前に進むには両方のアプローチが必要なのだなと感じました。たとえ外発的動機付けであっても、今回の不登校児が元気に単独行ができるようになったことで、本人や家族がどんなに嬉しかったことでしょう。皆の笑顔が見えてきます。
小2の息子が学校で落ち着いてきているのも、毎日の行動チェックシートに花丸(落ち着いて活動をできた印)を沢山もらってきたときに、妻が思いっきりキスとハグをしてきたからだなとあらためて感じます。
(1048字)

宗興の本棚

第120週『小児科医の僕が伝えたい 最高の子育て』

第120週
2019/11/25
『小児科医の僕が伝えたい 最高の子育て』
高橋孝雄著 マガジンハウス

物事を知るには理論知だけでなく、実践知も私は重視をします。今回は研究機関の学術的な見解ではなく、小児科医の経験的な考究に興味がわき本書を手に取りました。

本書を総括すると、「人の伸びは遺伝で決まっているのだからあくせくせずにね」ということでしょう。ごく平凡な両親から超がつく優秀な子どもが生まれたとしても、それは遺伝情報がもっている正常な「振れ幅」に収まる程度で、遺伝子が決めたシナリオの「余白」のようなもの。そして教育とは親から受け継いだ遺伝子の特徴を上手に生かせるようにすること、と著者は言っています。

遺伝子で決まっているというのは、カルヴァンの予定説を想起させ、人の可能性を否定するように聞こえて違和感がありました。ただ、少し引いてみると、過熱する早期教育や心配性の母親群に対して「安心メッセージ」を届けたい著者の意図がみえてきます。

遺伝子決定論ともいえる、著者の人間観で印象に残った視点を二つ挙げます。一つは、思春期が『人生最大の遺伝子イルミネーション・ショータイム』としている点です。思春期は遺伝子スイッチが一気にONになる時期。「ざけんな」「うぜえんだよ」と物騒な言葉で反抗されても、うろたえず「人生最大のショーが始まった」として、子供の成長を歓びそっと見守って欲しいと著者は言っています。確かにこのぐらい鷹揚に構えた方が、上手く超えられるかもしれません。

もう一つは、遅咲きの遺伝子がある点です。著者は50代になってからマラソンをはじめ、58歳で3時間7分を達成したそうです。幼少期は体育が苦手な男子だったのですが、長距離走こそが遺伝子が自分に与えた特技だったことに気づき、「遅咲きの遺伝子」に感謝したそうです。何歳になってもチャレンジをすることで、未開の自分に出会えることも人生の楽しみの一つだなと感じました。

最後に子供の自己肯定感についても著者は言及しています。著者は自己肯定感を「子供が自分で生まれてきてよかったと感じること」とし、自己肯定感を育むには、やればできるようになるという経験を沢山積ませてあげることに尽きる、と著者は言っています。様々な研究結果をリサーチしても、自己肯定感を高める決定的な方法はまだないように思えます。ただ著者を含め多くの方がその経験知より、成功体験の実効性を挙げています。「尽きる」という著者の強い想いに背中を押してもらえました。
(988字)

週の風景

033 目的は「収益向上」

先週から、あるIT企業様の今期の部長と課長研修が始まりました。部長にはリーダーシップを課長にはマネジメントを体系的且つ実践的に行っていきます。2014年にお会いし、これで5期目。継続してお任せ頂き、本当にありがたい限りです。

早速初回の3日間が終わり、参加者の皆様の感想レポートを拝見すると、「私共の研修の目的=『収益向上』」という事が印象に残っている方が多いと感じました。「数受けてきた中で、目的が収益向上は初めてです。」という参加者の声に代表されるように、そこと真正面から向き合う教育というのは少ないようです。

「研修などの教育は成果が見えにくい」とよく言われます。単なる気づきで終わらず、成果=成長が実現できる教育は何か。ずっと考え続け起業後、「実践型プログラム」という形で世に出し、この積年の課題の解決に取り組んでいます。

激しい業界の変化に沿うように、このクライアント様も毎年変化、発展をされ続けています。お会いした時は500名ぐらいの社員数だったのが今は驚くほどの人数に。ダイナミックで魅力的な会社様です。そしてその変化に合わせ、私達も毎年プログラムの改訂を重ねてきました。今期も参加マネージャーの方々にインタビューをし、よりフィットする内容へとリニューアルしています。初回を終え、皆様の反応も良かったので内心、安堵しました。

部課長の成長=収益向上。
参加者の皆様に寄り添い、一緒に向き合っていきます。

今週も研修WEEKです。走ります!